Ep.49 Mech’N Shock!! —Fireworks—
◇防衛側———Auron
「【受け継がれし罪業の一撃】ッ!!」
茶髪の女が放つ攻撃により、防衛を担っていたプレイヤーたちがほとんど消え去ってしまった。
幸い、ファミリーのメンバーにそこまでの打撃はない。
「やぁ、もしかしてキミが話に聞くアウロンさんかな?」
「あぁ、そうさ。アステリアから私のことも聞いてるんだろ? なら話は早い」
私は右の拳を彼女に向けて放ち、彼女もそれに合わせて拳をこちらに向ける。
「ぐっ……かなり、強いな……!」
押されているのはこちらの方だ。やはりオリジンスキルを使わなければ話にならないらしい。
私を差し置いて新しく女を増やしているあのネカマ野郎のことはムカつくが……それはこの戦いに勝つことで憂さ晴らしとしよう。
「【Shamazrian Familiar Link】!」
「む、急に力が強く……」
茶髪の女が後ろへと跳び、警戒の態勢をとる。
このスキルは“クランメンバーの数に応じた強化”を私に与える。その他にも強力な効果はいくつもあるが、それはまだ伏せておく。
このスキルを発動したというのに、おそらく総合的なパワーではこちらが劣ってしまっている。その上、周囲には機械の群れ。
「ファミリー、カモン!」
「ボスをお守りする!」
「邪魔だよ、死んでくれ」
「ぐべぇっ!?」
一撃で伸されるクランメンバー。彼は一応かなりの防御力を誇るのだが……やはりこのゲームはトップ層とそれ以外との差が激しすぎる。
「もう面倒だし殺していいかな? 今の私はあの人の期待に応えなきゃいけないんだけど」
「……そうか、お前はそういうタイプか」
これはなんというか、利用されてそうというか……可哀想ではあるが、別に彼もそこまで酷い扱いはしないだろうし……いやちょっと待て、なんで私は彼のことを援護しているんだ。
「ガラ空きだよ」
「しまっ……」
私が自分の世界に一瞬浸っていたそのタイミングで、彼女は私の元へと潜り込んでいて———
「【灰永ノ世界ヲ照ラス光】」
至近距離で、灰色の光が爆ぜた。
「……これで死なないのか。なんとも頑丈なことだね」
「ファミリーのボスが死ぬことはない!」
無傷で生還した私を見て、彼女は目を細める。正直あの攻撃はヤバすぎる……もしかしたら街を守るバリアにすらダメージが入るかもしれないほどだった。
「それに、そんな強力な攻撃は連発できない……そうだろ?」
「ふむ……こういう時は何も喋るなと言われてるからね、ノーコメントとさせてもらおうか」
少なくとも数秒で連発、ということは無さそうだ。とりあえずそれだけでありがたい。
「まぁどうせやることは変わらないんだろう? 正々堂々、殴り合いといこうじゃないか……そういえばキミはアステリアにフラれたらしいね?」
「ハハハ……死ねぇっ!!」
私は全力で彼女の顔に向けてパンチを放った。
◇攻撃側———アステリア
「芸術は、爆発だ——————」
ドミノはそう言って、突然どこからともなくクソでかいロケットランチャーを取り出し、発射しようとする。
おい! その弾道は狂夜にも当たるだろ!
「ご主人様……どうせなんとかなりますって」
おいなんだそのドヤ顔は。やめろやめろ、ちょっとそのサイズは流石にプレイヤー相手だとヤバいから……
「ファイアーッ!!!」
「話を聞けーっ!!!」
ボン!という音と共に弾が発射され———狂夜たちから少し離れた場所で着弾、プレイヤーたちと多少の戦車を破壊した。
「仲間巻き込んでどうするんだよ!?」
「ハハハ、爆発サイコーーーッ!!!」
ヤバい、こいつマジでヤバい。
身体を持ってない時はポンコツだな〜ぐらいだったけど、ちょっと今の状態は洒落にならないぐらいヤバい。
だってもうコイツ私の言う事聞いてないからね???
「フッ……ドミノちゃん、分かってるじゃん。アタシもやろうか。【淵星の鍛造炉】——————【火華の花火玉】」
ヒバナがそう言うと同時に、彼女の手元に真っ赤な球体が生成される。やめろ、悪ノリするんじゃない!
というか、それまた狂夜のとこに投げるんじゃないだろうな……
「たーまやーっ!!!」
野球選手かってほどに綺麗なフォームでぶん投げられたその玉は、ちょうど狂夜とアウロンが戦っている場所に着弾し———
「え?」
「ん?」
轟音と共に、その周囲を吹き飛ばした。
◇
「けほっけほっ……ありがとう、助かったよ」
咄嗟に私がバリア魔法を貼ったからいいものの……こいつらには敵味方の判別がついていないのだろうか。ついてなさそうだわ。
「今のは痛かったぞ……痛かったぞアステリアーーーっ!!!」
「いやアレ私じゃないし……」
うるさい声で叫ぶアウロン。しばらく見ないうちに性格変わった? 自動翻訳の都合か?
というか全然痛そうに見えないんだけど。無傷じゃん。
「ファミリーがいる限り私は死なない!」
「じゃあ無限に殺し続けてみよう」
「えっ?」
「ん?」
なるほど、図星……残機ありかな、これは。
ファミリーがいる限り死なない……このゲームのスキルの傾向とかから考えると……自分が死ぬ代わりにクランメンバーを身代わりとかかな?
オリジンスキルはそのぐらいまでならやりそう、というかやる。
ラピスや私、狂夜のスキルを見ている限り、オリジンスキルは本人の精神性に大きく影響を受ける。
アウロンは半分陰気で半分陽気って感じの人物だけど……これは違うな、今回のはクランが関わっている。
となると……あ、なるほどね?
「“他人より自分”って部分から生えたオリジンスキルかな、多分」
「お前、それ私の悪口だよな? というかお前が言えた義理じゃないだろ」
「いやぁ……? そんなつもりで言ってないけどなぁ……」
いやほんとに^^
マジで煽りじゃないですって^^
「そうか、なら死———うぶぅっ!?」
「はいストップ」
私は触手を1本彼女の口の中に突っ込みながら、他の触手でぐるぐると巻きつける。
「さて、じゃあいっかーい……にかーい……」
「んー!んー!」
私は手元に生成した剣で彼女の身体を斬り続ける。どうやらやはり、一度死んでから即座に復活しているようだ。
「やっぱりクラメンの生命犠牲にして生き残るスキルだよね?」
「んー!ぷはぁ……な、なぜバレた……」
「カマかけられた時はせめて黙ってた方がいいよ、余計なこと口走るよりはね。てなわけで再開、さんかーい……よんかー……邪魔が入ったね」
こちらに向かってくるプレイヤーの群れ。群れというのはなんだか動物っぽすぎて人間への配慮に欠けてる気はするが、実際群れにしか見えないから仕方ない。獣人多いし。
「“大砲用意……撃て!”」
その言葉と同時、周囲の戦車すべてが、上部に備え付けられた大砲をプレイヤーに向け……発射する。
「うわーっ!」
「【Circle Guard】! 全員守れ!」
「〔Mana Shield〕!」
ふむ……数人死んだくらいで、後は無傷か……
「やっぱり見た目だけだね、この子たち。だからもっと少数精鋭にしようって言ったのに……」
「【Ultimate Brave】!」
「あ……?」
突然背後に現れた黒髪の女剣士が、異常なほどに発光した剣を私に向けて振り下ろす。
これは少しマズい……食らったら死ぬかは分からないが、大ダメージは確実だ。それほどまでに嫌な予感がする。
「とはいえ私には転移があるからね、避けるのなんて簡単なわけだ」
「なっ……!?」
振り下ろされた剣からは真っ白な斬撃が放たれ……ズガガガガ!!!と異様な音を立てながら峡谷を作り出した。威力やっば……
念の為周囲に剣をばら撒いておいてよかった。つーかこの人アウロンより強いやんけ……誰だ?
「モーヴ、あなたは退いてくれ。予想よりもアステリアが強い……今あなたが死ぬと負ける可能性が……モーヴ?」
「んー!んー!」
はい一名様黄泉の国へご案内! 私は黒髪の剣士の頭を触手で握り潰し、そこから溢れ出した赤いポリゴンを啜った。
中々いい味してるじゃーん?
【Ultimate Brave】
剣士の極限スキル。超高火力防御無視単体攻撃(余波がヤバい)
日本サーバーで獲得すると【アルティメット・ブレイブ】
100レベに到達で獲得できる。一応他にも細かい獲得条件はあるけど面倒なので書かない。考えてないとも言う。




