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Ep.48 Mech’N Shock!! —Crazy Night—

タグ:クズ主人公←

◇Steam City Oileris———Auron’s Family



「おうおう、まさか既に機械軍と手を組んでいるとは……これは予想外だ。だが問題ない、私たちにはアレ(・・)もあるしな」


 アウロンがアステリアから送信されたメールを見ながらそう呟く。同時に、会議室の扉が開かれ……クランメンバーの1人が入ってくる。



「ボス、報告します。どうやら教会の聖女が第三次機械戦争を予知したとのこと……1週間以内に戦争が起きます」

「いや、もうすぐ起きる。私の方で情報をキャッチした」

「マ、マジですかボス!? なら俺が全員に伝えてきます!」


 せわしなく部屋を出ていく、いかにも洋ゲーの主人公みたいな見た目をした男アバターのプレイヤー。


 こっちのサーバーではこういう見た目が多い傾向がある。ちなみに日本はネカマだらけだ……これでも普通のVRよりは少ない方ではあるらしいが。



「はぁ……しかし不安が残るな。こちらも色々と用意はしているが……どうせアステリアは本体がかなり強いだろうし」


 アウロン自身もオリジンスキルを所持しており、その無法さは身に染みて理解している。


 彼のことだから複数個所持していてもおかしくはないし、なんなら仲間のNPCやプレイヤーが大量にいても不思議ではない。



「アステリアが使うオリジンスキルか……絶対厄介だな」



 彼は人の心を掴むのが上手だった。いや、心を掴むというより……うまいこと誘導して利用するのが得意だったと言うべきだろうか。


 目覚めるとしたらそういったものだろうか。現に私は『クランメンバー』に関するスキルを獲得したのだし、彼も似たようなものを得ている可能性が高い。


 “支配”は確実に彼の根本の感情だ。だからもし彼が既に獲得しているのなら、私のオリジンスキルより悪辣なものになるだろう。



「……ん? 外が騒がしいな……まさかもう来たのか?」


 メールが届いてからおよそ1時間。すぐに攻め入るとは書いてあったが、まさかこんなに早いとは予想していなかった。



 そもそも機械戦争イベントは“黒幕”に見初められたレッドネームプレイヤー、もしくはNPCが1週間で戦争の準備をして、そこから攻め入る……そういうイベントだと考察されている。


 聖女の“予言”のやり方から考えても、この予想はそこまで外れていないはずだ。聖女は決まって“戦争が1週間以内に起こる”としか言わないのだから。



「それほどまでに自信がある……ということなんだろうな。だがお前の悪癖が仇になったな、そんな準備もしないで攻め入る……舐めプ癖は相変わらずらしい」


 アウロンは会議室のカーテンを勢いよく開け、そして外の光景を見て———




「……えぇ?」


 絶句した。


 視界には数千を超える戦車らしき機械に機械人形の兵士軍、機械の魔物、よく分からない金属のスライムらしきもの……それらが地上を埋め尽くしている。


 まだ街まで辿り着くには時間がかかるだろうが、それもすぐだろう。



 それに、空には巨大な飛行船が20か30は浮かんでいる。下部にはミサイルか何かを発射してきそうな武装まで装着されており、街への殺意が溢れ出ていた。



「……おかしいな、これまでと比べて規模がデカすぎるような……」


 なんというか、こう……もっと“機械の魔物の群れが攻めてきた!”的なイベントじゃなかったか?


 なんでこんなガチな戦争みたいになってるんだ、それも準備期間はほとんど無かったはずなのに。



「ヤ、ヤバい……自信無くなってきた」


 こちら側もかなり戦力が増えた———それにリアリティまで味方に付いている。彼も教会が嫌いだけど、ファミリーの頼みならということで引き受けてくれたが……これは本当に戦力が足りているのだろうか。



「ぐ……でもあんなメール送ったからには……やるしか、ないか……!」


 アウロンの内に秘めたナード仕草が表に出かけたが、それは今日に限って完全に封印だ。これはアステリアとの決着を付ける大会である———あくまで私にとって。



 そして、全域に開戦を知らせるアナウンスが流れた。




—————————————————————

『Warning: The Machine Army has begun its invasion.』

『Anomaly Event 【Machinery War PART III】 has started.』

『Participants: 1,011』

『Clear Condition: Defeat a certain number of machine-type monsters and defend 【Steam City Oileris】 for 30 minutes.』

『Defend the city!』

—————————————————————


◇Oileris前、戦争跡エリア———アステリア



 脳内にイベントが始まったことを示すログが送り込まれる。やっぱ普通に機械率いて突撃すればイベント開始なのね。



 さて、私たちはこの1時間で……アルテルトによって獲得したオリジンスキル【パペットメーカー】とアーティファクト【War Machine】について、色々と試していた。



—————————————————————

オリジンスキル【パペットメーカー】

消費MP:任意

CD:0

《儀式》

・任意のアイテムを好きな数捧げる。


《能力》

・任意のMPを消費することで、その支払ったMPと捧げたアイテムのRPとの合計分の能力を持つ【機械人形】を創造する。その特性は捧げたアイテムによって変化する。

・任意の【機械人形】を対象とし、それに【お気に入り】を付与できる。【お気に入り】を持つ【機械人形】は同時に1つまでしか存在できず、【お気に入り】を持つ【機械人形】のみユニークスキル【自動復活システム】を得る。


ユニークスキル【自動復活システム】

消費MP:0

CD:0


《能力》

・死亡してから30分後に自動で発動する。

・プレイヤー:【アステリア】(PNo.00,006,108)の設定しているリスポーンポイントで復活する。ただし、復活してから12時間、全ステータスが90%低下し、他のスキル、魔法すべてが使用できない。

—————————————————————


 アルテルトによれば、どうやらこのスキルに関しては契約内容に本来含まれていないらしく……私との契約で、意図せず私自身が目覚めさせたスキルなのだとか。


 内容だけ見ると大量にアイテムを消費するように見えるが、そこはラピスが勝手に彼女のクランから大量のアイテムを持ち出してきたので問題ない。


 一応彼女なら自由に使えるという規定ではあるらしいが……まぁラピスなら上手くやるし問題ないか?



 私はこれを用いて千体ほどの機械人形を創り出した。一部は特別製でそこそこ強い。



 そして次はアーティファクトだ。



—————————————————————

アーティファクト……?【War Machine】&&ワレ

消費スル:×MP ◯カネ

商売に休みなどナシ!!

《能力》

・アナタに求ム:任意の《ゴル》, ワレ創り出す《アナタお望みの機械モンスター》.。ただし!!! 強い機械→カネ沢山’ 複雑な機械→仕組み教エロ/アナタが作レ

・アナタに求ム:任意の《ゴル》ト任意の《機械》.。ワレはそれを【複製】ス

・(・◇・)/広告:アルテルト募金にご協力ください→[騙しリンク]

・値切り《STOP!!》お断りデス.。


《VIPサマ専用能力》

・消費ゴル《10%》キャッシュバックサービス!!

・ランダム追加【特性】ボーナス!!

・《機械》のレベル上限解放アリ!!

・さらに《カネ》払えば追加特典ありますヨ

—————————————————————


 翻訳すると『金くれたら機械作るよ』『ただし強いの欲しかったら沢山金寄越せ』『複雑な機構は仕組みを教えろ、もしくはそっちで作って後付けしろ』というものである。



 ちなみにこれで支払うお金もラピスがクランから持ってきた。本当に大丈夫なのかは知らない。


 ちょうど私とヒバナで色々兵器に関しては考えていたので、仕組みを教えるのはすぐにできた。

 このアルテルトとかいう胡散臭い謎の何かは意外にも飲み込みが早い……まぁ頭は良くなさげだけど。



 結果創り出したのは戦車千台、|アルケミースライム《ヒバナが思いつきで作らせた》200体、機械犬(私が作らせた)300体、機械恐竜20体、飛行船型モンスター35体。


 飛行船型モンスターにはクソほど燃費が悪くて使い物にならなかった砲撃装置をくっつけてある。飾りなので意味はない……一応発射自体はできるけどね。


 

 さて、これだけ説明したらもういいだろう。

 これより戦争を開始する!



「ドミノ、開戦の狼煙を上げてやれ!」

「りょーかいしましたご主人様ーッ!〔独自(オリジナル)超過(イクシード)・イレイズキャノン〕っ!! 死ねェーッ!!」


 髪色は水色と桃色のグラデーション。身に纏うのはメイド服。その身体は機械製……


 【お気に入り】に設定され、ドミノが『アレ欲しい!!!』と言って聞かなかったので与えたら勝手に憑依した機械人形。


 その右手が変形し、7つの魔法陣がそこに重なり……真っ白な砲撃が正面遠くに待ち構えていたプレイヤーたちを襲った。




「次は私が行こうか。緊張するね……」


 狂夜が腕を回しながらそう呟く。


 私はその言葉を聞いて、彼女は確か“高揚するほどに強くなる”オリジンスキルを持っていることを思い出した。


 ならもうちょっとやる気出させた方がいいだろうか?


 彼女は私やラピスよりは1段階強さで劣っている……下駄は履けるだけ履いてもらった方がこちらも楽だ。



「狂夜、こっち向いて」

「えぁ……んむぅ?」


 狂夜と唇を重ね、離す。

 一瞬、彼女の目が大きく開く。


 そして、私は囁くように言葉を紡いだ。



「期待してるよ。私のために戦ってくれ」

「ぁ……え?」

「できるだろ?」

「え、あ……う、うん! 分かったよ、私に任せたまえ!」



 扱いやすくて大変よろしい!

 ……ちょっと思考回路はぶっ飛んでるけどね。



 とりあえずこれで、彼女のオリジンスキル……高揚していればしているほどにステータスが強化されるとかいうヤツの効果は高まったはずだ。

 これで高くなってなかったら私はもう何をすればいいのか分からんぞ。



「じゃ、行ってくるね!」


 そう言い残し、彼女は大きくジャンプして向こうへ進軍した。



「【受け継がれし(インヘリット)罪業の一撃(・ギルト)】ッ!!」


 狂夜の拳は残っていたプレイヤーたちを吹き飛ばし、そこには遠目でも分かるほどのクレーターが出来ていた。


 ……なんか威力高くない?


オリジンスキル【受け継がれし(インヘリット)罪業の一撃(・ギルト)

実はオリジンスキル。効果は本人の【カルマ】ステータスに応じて威力が上昇するパンチを放つのみ。アステリアと絡み出してからカルマがグングン上昇しているらしい……



よければ下の方から★★★★★をいただけると嬉しいです。めちゃくちゃ喜びます。

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