Ep.47 (⊃$∀$)⊃クイクイ 1兆寄越せ
◇Liberty Plains———機械軍の秘密基地
「【コトゥーグ・ラッシュ】」
背中から生えた触手が、目にも止まらぬ速度で連撃を放つ。
スキルのテキスト的にはそこまで強くないはずなのだが、殴られた敵を見る限りは想像以上の火力が出ているらしい。
「が……ぁ……」
「やぁやぁ、早速だがトップを出してもらおうか。キミたちの裏に機械を街に放った黒幕がいるのは知ってるよ」
「だれ……が……ぐぎぃっ!?」
「出せって言ってるんだよ、聞こえなかったのかな?」
「言わ……ねぇ……っ!」
私たちは馬車に乗っていた商人から、アメリカサーバーで起きた事件やその他諸々の情報を手に入れた。
どうやら私たちが襲ったあの馬車はかなり重要なクエストに関するものだったらしく、機械戦争の親玉……その居場所を知ることができた。
なんか商人が実はこの親玉側だったりとか、プレイヤーを騙して街を内側から攻めようとしていたとか……その話はカットしよう。もう今となっては無意味だからね。
「ま、言わないならいいよ」
「ぁ……」
盗賊みたいな身なりのNPCの首を生成した剣で切り落とす。どうせあの厳重に守られた扉の奥だろ? わざとらしく鎖まで巻かれて……
「よし、じゃああれ開けようか。ちゃんと全員シメたー?」
「あぁ、キミのために全員殴っておいたよ。何人かは間違えて殺しちゃったけど、いいかな?」
「いいよ。ラピスは……」
彼女の方を向くと、なにやら冒涜的な白い化け物がNPCたちを貪り食っていた。
「……見なかったことにしよう。それじゃ私が開けるから、何か出てきたら対処お願いね」
「感じる……アタシの鼻がこの場所から金の匂いを嗅ぎ取ってるよぉ……!」
突然変なことを言い出したヒバナは無視して、私は触手2本を用いて扉を開いた。
そこにあったのは……
「あれ、何もな……い”っ”!?」
突然、脳内に砂嵐。
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『アノマリー・エンカウント!!!』
『オリジンモンスター【商売魂!のアルテルト】Lv.1』
『ワレこそ“商売” の《根源》なり!』
『アノ《馬鹿共》意思なき人形達,死んだ カ?』
『ナラ 《やり方》変えるのが凄腕商人.ダ』
『見えて るカネ、《渡り人》? デハ,??商売??ヲ始めヨウ!..』
『求ム:1,000,000,000,000 ゴル』
『結ブ:〔機械戦争万歳!〕の契約??その他オマーケまで付けちゃう!!タダシ 《錬金英雄》殺してモラーテ』
『アァ ワレ オカシクナリソ……万歳!! 万歳!! 《《終臨》》サマ万歳!! 許してクレーヌん?』
『もう一度 言おう《《渡り人》》。』
『(⊃$∀$)⊃クイクイ 1兆寄越せ』
『アナタの聡明さに期待する!』
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脳内に溢れ出す、意味不明なテキスト群。
1兆ゴルってそれおま、シャマザリエ討伐報酬全部持ってかれるじゃねーか!
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『ウォゥウォゥ、アナタ【Shamazrie, the Authentic Lie】の《殺害記録》アリネ??』
『ナルホド ナルホド,,,,,,』
『ワレ Lv.1??? 弱イノ《思い出す》たネ』
『……』
『お値引キ! 今ナラなんと半額!』
『求ム:500,000,000,000 ゴル。それとワレの《なるべく安全》』
『結ブ:〔機械戦争万歳!〕の契約??その他オマーケ&&【一時的眷属契約】,タダシ《錬金英雄》殺,,,,,,ン? モウ《殺害記録》アリか? ナラこれ《不要》.。 あの《馬鹿渡り人共》が守る街壊すのみ。街ノ名. 【Steam City Oileris】』
『こんなにお得ナ《機械》滅多にナシ。』
『守ってちょ(^_−)−☆』
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「そもそもなんでコイツはログで喋ってるんだ……」
「? ユキ、急にどうしたの?」
「なんか脳内で契約を持ちかけられてる。その扉開けた瞬間からね」
「扉の奥には……何もないね。じゃあ、魂みたいな存在……だったのかな?」
魂……いや魂かなこれ?
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『迷うのは分かるぞ《アステリア》! しかしワレは我慢できヌ! “5000億ゴル”早く寄越せ!!』
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まぁそのぐらいならいい。最悪金ドブだったとしてもそこそこの金は残るしね。
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『ウヒョー!!! 《取引成立》であーる。』
『500,000,000,000 ゴルを支払った。』
『混源解放:【魂と命の契約】』
『オリジンスキル獲得:【パペットメーカー】』
『アーティファクト獲得:【War Machine】』
『それデハ 後でまた会おう!!』
『ワレは《.Artifact.》に隠れてイルゾ』
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『オリジンクエスト【Machinery War PART III】を開始します。』
オリジンクエスト【Machinery War PART III】
《制限時間》
【06:23:59:59】
《クリア条件》
以下をすべて達成する。
・【“錬金英雄”アルケーレ=マニュア】の殺害(クリア済み)
・アノマリーイベント【Machinery War PART III】を【Steam City Oileris】で引き起こし、それに勝利する。
《クリア報酬》
・1,000,000,000,000 ゴル
・称号【戦争屋】
・特殊称号【War Machine】
・アーティファクト【War Machine】の強化
・特殊職業【パペットメーカー】
・ユニークスキル【人形たちの宴】
・アルテルトの裁量によりさらに追加
《概要》
『取引成立! 《アステリア》,オマエ良い奴ダナ?? ワレ超感激ゾ,,&& 頼んだ [Oileris]破壊.。 』
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「……なるほど?」
こういう契約をあのNPC達も結んで、それでこの機械戦争が起きた……という感じか。
いや、まぁうーん……多少不安だけど、そこまで裏切りそうな感覚は……するな。絶対最後に裏切るぞコイツ。
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『何言ってる!? ワレ《凄腕商人》ナリ, アノ《雑魚共》違いアナタ《《VIP》》ネ。 《VIP》言うこと絶対,,,,でなければワレが死んじゃう!!!』
『_| ̄|○<信じてくれないなんて……ワレ悲しい!!』
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じゃあこれ私じゃなかったら裏切ってるってことでは……?
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『∑(゜Д゜)』
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いや『∑(゜Д゜)』じゃないが……まぁいいや、私のこと裏切らないならそれでいいよ。
「ラピス、ヒバナ、狂夜。クエスト始まったのは通知いってる?」
全員首を縦に振る。よし、それなら問題ない。
「なんかさぁ……アウロンから変なメールが送られてきたんだよ。あ、狂夜に説明しておくとアウロンってのは別ゲーでのフレンドね?」
私は彼女から送られてきたメールを全員に共有する。そこには今回のイベントの目的地……オイレリスでお前のことボコボコにしてやるぞ!的な内容がクソウザい文体で書かれていた。
あの、一応あなた英語話者ですよね……?
なぜこんなに立派な日本語の煽り文を……?
「てな訳でついでにあの娘たちのクランも叩き潰してあげよう。なんか反論ある人ー!」
なるほど、じゃあ全会一致ということで。
今は土曜日の午前10時……アメリカだと午後9時くらいだ。これならすぐに喧嘩売っても問題ないね!
やっぱりやるなら敵もある程度抗ってもらわないとつまらないし、私は闇討ちなんてするつとりはない。ちなみにまともなやり方だと勝てなそうな時はやる。つまりは舐めプってことだ。
私はアウロンに対しメールを送信する。とりあえずこれで宣戦布告ってことで……メール見てなかったら知らんからな。
「さて、じゃあ……やろうか?」
私は仲間たちに向き直り、両手を広げてそう言った。




