Ep.35 その剣は地獄すら焼き尽くす星光を纏い、銀焔の歌姫に呼応して闇を払う。
さらに新ヒロイン登場……しかしこの人が本格的に絡むのはSeason 7からです。
まぁ顔見せやね。
サイコ女に誘拐された翌日。怖くなった私は1人、ファミレスで暴食していた。
テーブルの上にはピザとハンバーグとサラダ2個とスープ2個とチキン3個、あとその他諸々が並んでいた。
「普通に頼みすぎたかもしれない」
私は後悔した。いくらなんでもこれは1人で食べ切れる量じゃない……!
なんだ? 頭が回ってなかったのか……!?
そんなことを考えながらサラダをむしゃりむしゃりと口に運んでいると、突然私の横に誰かが座ってきた。
ま、まさか……もう奴に場所がバレて……!?
「……なんでそんなに頼んでんの、ユキ?」
顔を見る……よかった、普通に知り合いだった。ストーカーではないらしい。
「そっちこそなんでこんなとこに来てんの、ミライ?」
アレティ・レーヴァ……本名、鏡夜 ミライ。
美しい銀髪と見た目のわりに熱い歌が特徴の歌手である。まぁ今はウィッグつけてるけどね。
「私? 私は普通に食事取りに来ただけだよ。ねぇ、いくらユキがお腹空いててもその量は無理でしょ。誰か連れがいたりするの?」
「いや、誰もいないよ。なんか気づいてたらこんなに頼んでて……ちょっとミライも食べてくれない?」
「お? 奢り? おっけー……あぁ、一応店員さんに問題ないか聞いてくるね」
そう言った彼女は店員と少しだけ会話し、そしてこちらへと戻ってくる。
「あ、このバッグちょっとそっちに置いといてよ」
そう言って手渡されたのはやたらと重たいバッグ。すんごい高そうっすねこれ……
「じゃ、いただきます」
ミライはすぐさまピザに手を伸ばし、一切れを一口で飲み込んだ。
その後はすぐさまハンバーグに目をつけ、半分に切ってから片方を一口で頬張る。スープを一口啜ったかと思えば、即座にハンバーグのもう片方も一口で食べ尽くす。
「あ、あー……もうちょい頼んだ方がいい?」
「いいの? じゃあこれとこれとこれと……あ、これは2個ね。それとドリンクバー忘れてたから頼むね……お、これもいいじゃん」
なんでこの人太らないんだ……?
いや、まぁジムとか通ってるんだろうけどさ。私はチキンを咀嚼しながらそう考えていた。
「ねぇミライ、私さ、今“オリジンズ・ウォー”ってゲームをやってるんだけど……」
「むしゃむしゃ! ぐぁつぐぁつ! んぐ、ずずーっ!」
……食べ終わってからにしよう。
◇30分後
「いやぁ……ちょっと食べすぎちゃったかも」
「い、1万円……?」
2人で1万円とかこの店で見たことないんだけど。マジでこの人の胃袋どうなってるんだ……
「で? なんか話したそうにしてたけど……」
「今やってるゲームで人手が欲しいから、一緒にやらない?って話」
「なんのゲーム?」
「オリウォだよ。話題になってるでしょ?」
「あー……なるほどね、うーん……」
ミライは少し考え込むような姿勢をとる。いつもならノータイムで了承って感じなんだけど……これはもしかして仕事が忙しいパターンかな。
「ごめん、ちょっと今は無理。でも、仕事落ち着いたらやれるよ」
「おっけー。じゃ、その時は連絡してくれると嬉しいな」
「うん、じゃあまた今度ね。ばいばい!」
そして、彼女は大きく手を振りながら帰って……いかなかった。
突然立ち止まったミライはこちらへと振り返り、そのまま小走りで近づいてくる。
「ユキちゃんさ、ちょっと私に付き合ってよ」
「なんかやるの?」
「カラオケ行こう、カラオケ」
なるほど?
私はとりあえず着いていくことにした。
◇
『Everyone laid their dreams to rest, and I once tried to do the same. But then the aster arose, its silver light called out my name.』
ミライが歌っている曲……これは彼女の代表作である『Raevateinn』だ。彼女のすべてはこの曲から始まった。
『A voice once laughed with me: “If conquest is my dream, then yours can be to sing.”』
彼女はかなり大人しい性格をしている。そこまで感情を表に出すこともない……歌を歌っている時以外は。
『Laevateinn! A dream that cuts the chains, a flame that makes the night obey. No fear remains, I’ll rise and sing— My song will light the way.』
まぁ別に、彼女もそういった激しい歌を歌うことが多い……そういうわけではない。激しい曲調を歌うのはこの曲のみだ。
『Scars remind me where I came from,
but they shine when I move on. Past won’t hold me anymore, my voice becomes the storm……』
さて、私は何を歌おうかな……最近は高音を素で出せるようになってきたし、なんか丁度いいのに挑戦でもしてみようかな?
◇
「ありがとう、ユキ。私に付き合ってくれて」
「んー、まぁ私もちょっと今はあんまり家に居たくなかったからね、全然問題ないよ」
「え? なんで家に居たくないの? いっつもずーっと家にいるのに」
「それを説明すると長くなるね」
「えー? それでもいいから教えてよー」
「じゃあまずは私がオリウォからログアウトしたら誘拐されてた話からしようか」
「……えっ?」
その後は30分くらい話してから解散した。去り際に、彼女は私に防犯ブザーを渡したが……いや、うん……まぁありがたく貰っておこうか……




