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Ep.34 一目惚れしたのであなたを誘拐します

ガチストーカー誘拐犯系ヒロインが好みです、対戦よろしくお願いします。

 さて、今の状況をお伝えしよう。

 私はあの後数日間、普通に検証とかをしながらオリウォをやっていた……しかしそろそろプレイ開始から2週間。


 そろそろ一旦ログアウトしようかな……そう思ってすぐにログアウトを敢行。


 目の前に広がっているのは和風な部屋。どこだここは、私の知らない部屋だ。いやマジでどこ?


 しかも、どうやら私の両手は手錠で拘束されているらしい……まさか逮捕ってわけでもないだろうし。


 私がそう考えていた時、突然奥の障子が開く。

 そこから現れたのは長い黒髪で……意味深な笑顔を浮かべた女性。



「やぁ、おはよう。ずいぶんと遅いお目覚めだったね?」


 おはようございます。あなたは誰ですか?



「私は哀華竜宮庭(あいかりゅうぐうてい) 狂夜(きょうや)っていうんだけど……聞いたことはあるかな?」

「あるわけないでしょ。というか名前カッコいいね」

「ありがとう。正直この名前嫌いだったんだけど、キミにそう言って貰えると嬉しいな……」


 あの、美人なお姉さんは好きなんですけどもね……とりあえずこの手錠外してくれない?

 いや、別に無理やり引きちぎる(・・・・・)ことはできるんだけどさ……



「さて、キミは今の状況をしっかりと理解できているのかな?」

「ごめん、まったく分からないな……まさか誘拐したなんてことはないだろうし」

「そのまさかだよ。昨日、キミを誘拐してここ……私の家に連れてきたんだ」


 わぁ^^



「ユキくん……私はね、キミに一目惚れしたんだ」

「よく言われる。その後性格が無理って何回も言われた」

「私はキミのそういう性格も受け入れられるよ……あ、キミの性格については盗聴器と監視カメラで全部知ってるよ」


 あの、ナチュラルに犯罪を自白しないでください。



「サクラちゃんは邪魔だけど……あの子をキミから引き離すのは無理そうだから、仕方ないね。私は何番目の女でもいいよ?」


 この人サクラとまったく同じタイプの人間だ……なんで私の周囲にはこういうタイプの女の子ばっかりくるの?


 なんか、『いい子』って感じの人が私を好いてくれることが無いのは……性格なのか? 性格だっていうのか?



「で? どうなの? 私のこと受け入れてくれるの? ねぇ、ユキくん?」

「……いいよ。大歓迎!」


 私はそういうのに逆らえないのだ。性欲に負けるカスでごめんなさい……!



「じゃあ式はいつ挙げる?」

「ん?」


 今なんて?



「結婚するんだから、式の日程も決めないと……」


 は、話が通じない……!

 私はそこまでやるとは言ってないぞ!



「私は結婚なんてしないよ。誰であろうとも」

「なに……?」


 狂夜……さん、はわりとガチな目でこちらを見つめる。ひえぇ……怖いめぅ>_<



「なるほど、キミがそれを望むなら……仕方ないけど、許してあげよう」


 なんでそっちが許す側なんですか?

 え? なんかおかしくない?

 私が堂々と『何股しても許してくれるならいいよ』って言ったようなものは確かに悪いけどさ、それでもこの流れはおかしくないか?



「……」

「……? いや、なんで会話止まってるのさ。そっちが誘拐してきたんだから話を回すのはそっちであるべきでしょ」

「あ、あはは……いやぁごめんね? ちょっと緊張しちゃってて……自分でも悪いとは思ってるんだよ? でも、これ以外にキミと話す方法が思いつかなくて……」


 私は絶句した。もう本当にこの人頭がおかしい。

 見た目は完全にデキる上司って感じのクセして中身がこれだよ。これ隠したまま仕事とかしてるんスかね……?



「あ、あぁもちろん! 誘拐するのはキミが初めてさ。今後もキミ以外にする予定はないよ?」


 それまた誘拐するってこと?

 さすがに次からはせめて普通に会おうよ。

 毎晩誘拐されてるかもしれないって恐怖で体が震えて夜しか眠れなくなっちゃうって。



「そ、そうだよね……! うん、その通りだ。これからはちゃんとキミの家に行くよ!」

「インターホンは鳴らそうね」

「……! あぁ、もちろん!」


 お前今完全に押す気なかっただろ!?

 クソ、先が思いやられる……普通に拒絶するべきだったかもしれない。



「あ、そ……そうだ! キミさ、何かやってほしいこととか無いかい? 私にできることなら何でもしよう」


 なんでも……?

 うーん、じゃあ《自主規制》でも……いや、これ流石に初対面で言うのは私の方が頭おかしくなるわ。ダメです、もっと普通の……健全なやつ……あ、そうだ。



「私は今、“オリジンズ・ウォー”っていうゲームをやってるんだけど……人手が欲しいと思うことが結構あってね。よければ一緒に攻略してくれない?」


 これなら狂夜のことを監視しつつ、かつ利用することができる。一石二鳥とはこのことだ。



「そ、そんなことでいいのかい……? 私はてっきり《自主規制》とか言い出すのかと……」


 ……言っとけば良かったかな。



「それと、いい加減この手錠外してくれない?」


 そろそろ腕に跡がついちゃいそうだからね。



「っ……分かった、分かったよ……」


 狂夜は分かりやすく落ち込みながら、私の手錠を外した。なんだろうな、言うことは聞くんだよなこの人……いやぁ、うーん……?



「はい、これで……うぅ……外れたよ」

「ありがとう……いやこれありがとうって言う場面なのかな?」


 分からない……もうなんか色々とおかしいことが起きすぎててよく分からないよぉ!



「じゃあ、私は帰るから……私に会いたいんなら“アポを取った上で”私の家に来てね」

「……!」


 私が立ち上がってすぐ、狂夜は足に抱きついた。



「今からでも良いかな……!?」


 私は拒否した。


哀華竜宮庭(あいかりゅうぐうてい) 狂夜(きょうや)

名前がやたらとかっこいい。

アステリアとラピスは現実の方も色々と特殊な出自なのだが、この人は純然たる在野の狂人。

普段は特に問題起こさないで普通に社会人をやってるらしい。




今日から隔日投稿

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