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Ep.33 ネクロ・ハザード/終結

◇はじまりの街 オーヴァ———アステリア


『あーっはっは!!! テ⬛︎ェら全員皆殺しだ⬛︎ーっ!!!』


 私は左手に用意していた9重合成の闇魔法をその場で解放する。アンデッド追加だぜーっ!



『〔超過(エクシード)超暴走(ランペイジ)複写(マルチ)・デス・パレード〕!』


 私の手から溢れ出す、黒と紫の混じったような光。


 周囲の霧が更に濃く変色し、街のいたるところからゾンビやスケルトンがワラワラと湧いてくる。


 さらに、ここまで待機させていた魔法を追加で発動。

 アンデッド召喚魔法……それは数を稼げるだけの魔法。召喚されるモンスターたちはクズにも劣る弱さなので、私がそれを強化してやらなければならないのだ。



『『〔超過(エクシード)超暴走(ランペイジ)・グローリー・シンフォニー〕!』


 それは広範囲の味方を強化する、火属性のバフ魔法。音楽属性があるとかいう隠し要素に関しては今話すことではない。      


 アンデッドに火はダメ……そう思う人もいるだろうが、アンデッドが受けるバフ魔法に関しては光以外ならそこまで問題ない。光のバフ魔法は使ったらアンデッドが消滅するぞ!



『さぁ死霊共! こ⬛︎街を滅ぼせ!』

「させるか!」

「アイテム返せやゴラァッ!」

「ヒャッハーッ!」

『またお前らか! いい加減ウザいわ!』


 私は血の大剣を生成し、それを雑に振り回す。私に掛かってきたプレイヤー3人組は全員一撃で首が飛んで死亡する。



『街の住人を重点的⬛︎襲え! 渡⬛︎人は無視しろ!』


 まぁどっちかと言えば復活できないNPCを狙うべきなのはそうなんだが、別にそんなこと言う必要もなかった。


 なんで言ったのかといえば……多分、ノリだろう。最近の私は荒れ気味だ。自覚はしているが特に止める理由もない、なら好きにやっていいだろう。そう、クランの男を色仕掛けして脳破壊してた時みたいにね!



『む?』


 突然、空から光の矢が大量に放たれる。聖女の攻撃か?


 まぁそんな単純な攻撃は私に効かない。遠くに投げておいた武器を対象にして転移する。



『“陥落”ってど⬛︎程度破壊すれ⬛︎いいのかなぁ!? 【虚滅】ッ!』


 百の剣を円環状に構え、スキル発動。

 剣の嵐が周囲を斬り刻み、建物や道までボロボロに崩れていく。

 巻き込まれたプレイヤーもNPCも等しく悲鳴を上げ、やがてポリゴンとなって消滅した。



「総員、構え!〔超過(エクシード)・ファイアー・ボール〕!」

「〔超過(エクシード)・ファイアー・ボール〕!」

「〔超過(エクシード)・フレイムバースト〕!」


 突然建物の影から飛び出してきた魔術師プレイヤーの軍団が、私に向けて火の魔法を放つ。


 一部はタイミングが良かったのか、混ざり合って合成魔法に変化したものもある。



 まぁ確かに火属性魔法は火力が高いが……今の私はちょっと尋常じゃないぐらいにステータスがバフされているからね、そんなもの1ダメージも入らないよ。これを貫通してきそうなシャマザリエがおかしかっただけとも言える。



 さて、どうやってこいつら潰そうか……適当に剣ぶっぱでもまぁいいんだけど、せっかくだし新スキルのお試しもしておきたい。


 てな訳でまずはこれを使おう。



『【|神蘇術《Divinevival》】』


 ついさっきクエストクリア報酬として獲得したこのスキルは、名前の通り“神を蘇らせる”という効果を持っている……らしい。

 スキル説明欄にはそれしか書いてないから、実際は何が起こるのかよく分からないんだよねぇ……これ本当に大丈夫かな。



『スァ……ザァ……ウポァア……?』


 白と黒が混ざったようなエフェクトが発生したかと思えば、目の前の地面が黒く暗く変色した。そこは少しづつドロドロと溶けていく。


 やがて完全な沼となったそこからは……変な言葉を喋るトーテムみたいな何かが出てきた。いやなんだよこれ。民族系の神様ですか?



 トーテム神様は私の方を見て、そして身体を回転させながらプレイヤーたちの方を向く。



『ウポァア』

「あ……ぁ……ァァァエアアッ!!!?!?!!?」


 トーテムに見つめられたプレイヤーは突然発狂、泡を吹きながらその場に倒れ……やがてポリゴンに変わった。



『……エポァ』


 トーテムは私の方へと再び振り返り、その柄をにっこり笑顔に変えたかと思えば……



『えっ?』

『ポァァァアアッ!!!』

「えまってなんか爆発しそ」


 ドォォォォン!!!と、爆音と共に爆発。いやなんだよこれ。マ、マジでなんなんだお前は……?


 ま、まぁプレイヤーたちは死んだからいいか……


 それはそれとして、なんか怖いからこのスキルはちょっと封印しよう。やっぱ理解不能なものが一番怖いわ。









 ……あれから10分程度暴れ散らかしたが、まったくもってイベントが進行しない。“陥落”の定義を教えてください。



—————————————————————

アステリア:

という感じなんだけど、何したらイベント進行すると思う?


LapiS.Lazuli:

この街は領主が収めてるから、それ殺せばいいんじゃないかな


—————————————————————



『なる⬛︎ど……じゃあ⬛︎の屋敷か?』


 はじまりの街、オーヴァ。基本的に平坦な街だが、一部……少しだけ盛り上がっている場所が存在する。

 そこには他と比べてちょっと豪華な屋敷があった。



 私は足……これもう足と言えない気がするが、とにかく足に力を入れてジャンプする。もうこれめっちゃ跳べるし羽いらんくない?


 ずしゃあ!と音を立てながら屋敷の前に着地。私は身体から巨大な触手を生やし、それを使って『触手を横からぺしってするアレ』で屋敷を攻撃する……ビクともしない。なるほど、重要NPCの家はそんな簡単に破壊させないぞ、と……



『じゃあ壊れるまでやってあげよ⬛︎じゃな⬛︎の』


 私は更に10本ほど触手を生やし、屋敷に向けてラッシュを放つ。ちなみにこの触手たちは直径2mくらいあるぞ! あと血管浮き出ててキモいぞ!



 触手パンチをくらい続けた屋敷の壁にヒビが入り、そしてもう一発殴られれば……その壁は破片となって飛び散った。


 クソ、体がデカすぎてこの穴に入るのが難しいな……今の私は巨大な化け物の身体のてっぺんにちょこんと乗ってる感じだからね、なんとか本体だけ動かせたりは…………できたわ。


 こう、なんというか……一回引っ込んでから別の場所で身体が飛び出るっていうか……皮膚の下に潜り込んだ寄生虫みたいな動き? まぁ気持ち悪い感覚だった。



 今の私の状況……例えるなら、ナメクジみたいな状態だ。巨体の前方下側に私の身体が生えている。


 本当にこの身体が変になってて怖くなってくるが、まぁこれなら屋敷の中に侵入できる。お邪魔しまーす^^


 私は巨体の方をにゅっ、と伸ばして屋敷に侵入した。目の前には1人の女。彼女は多少豪華な椅子に座って目を瞑っていたが、私が侵入したことに気づいたのか、その場で動かず瞼だけを開いた。



「やはり渡り人は遊び気分か?」

『私は遊びでもなきゃ虐殺な⬛︎てしないよ』

「ははは、中々おかしな返答だ……起源生物を殺したのはキミかね?」

『起源生物……? あのミ⬛︎ズの中から騎士が出てきたアレのこ⬛︎かな?』

「あぁ、そうだ。どうやらキミは私の予定を超えているらしい……もしかしてキミだけ2()回目・・か?」

『……?』


 なんだ、急に話が変になったぞ。2回目?



「ふむ……まぁ流石にそんなことはないか。いいだろう、さぁ……私を殺すといい」

『じゃ遠慮なく』


 私はずい、と触手を伸ばし領主らしき女を掴む。



「私の名前はアルケリオート、オーヴァの領主。この名前を覚えておくといい……キミの名前は?」

『アステリアだよ。こ⬛︎から死ぬ奴の名前なんて覚え⬛︎必要あるかな?』

「ふふふ……さぁ? あ、そうだ。死ぬ前にひとついいかな」


 ダメです。私は触手の締め付けを強め……コイツ意外に硬いな?



「……やっぱりふたついいかな」

『なんでそこから増えるんだよ』

「じゃあ、まずは1つ目……合言葉は“二度目の夜明け”だ」


 アルケリオートは私にそう言った。何を言っているのかはよく分からないが、とりあえず脳内でメモしておこう。



「それと2つ目……ここに来る時、カオスの執行者はどうしたのかな?」

『アンタ意外と余裕あるね? 教会の懐刀とは会ってないよ……それがど⬛︎かした?』

「ふむ、いやこっちの話だ……そうか、奴らは逃げたか……かはっ、かほっ……そろそろ限界らしい」


 当たり前だろ。このサイズの触手に掴まれて30秒以上耐えてる時点でおかしいわ。



「か、は……はぁ、はぁ……ではまた来世で会おう、アステリア……合言葉は忘れるな……時が来たら伝えるんだ……」


 ぐしゃっ!

 嫌な音を立ててアルケリオートは死んだ。口からは真っ赤なポリゴンが溢れ出し、そしてやがて死体は消える。


 なんだったんだこの人。やたら意味深なことだけ残していったけど……




—————————————————————

『【はじまりの街 オーヴァ】の陥落を確認』

『アノマリーイベント【ネクロ・ハザード】クリア』

『“聖女”機能停止。』

『特殊称号獲得:【ネクロ・ロード】』

『エリア変質:【シカバネの街 オーヴァ】』

『モンスターの発生頻度が上昇します。』

—————————————————————


 ログが脳内に流れると同時、この街の空気が文字通り“変わった”


 オリジンスキルも今をもって『戦闘終了』と判断されたのか解除され、私の化け物みたいになっていた身体が元に戻っていく。


「視界が低い。ちょっと飛ぼうか」


 私は盾を生成、真上に飛ばしてからそれを対象に転移……そして浮遊させた盾の上に足をつける。



「ほーん? ふーん?」


 そこから見た景色は……かつて見たオーヴァとはまったく変わっていた。



 いたるところから紫色の煙が噴き上がり、骨で構成されたモンスターたちがそこら中を練り歩く。


 ある程度残っているプレイヤーたちはゾンビに集られ、NPCの姿は既にない。


 建造物はそのほとんとが崩れ落ちている。綺麗に整っていたはずの道もキズだらけになってしまった。



「…………」


 自然と笑顔が溢れる。

 少しだけ、この世界が自分のモノになったように思えた。


【トーテム】

これ全然プロットに無かったのに突然生えてきたんだよね……特に意味はないよ。


【アルケリオート】

まぁ本当は普通に強い。戦わなかっただけ。


【渡り人】

プレイヤーの別名。 bloodポリゴンに青いエフェクトが追加されている。


【アステリア】

お察しの通りアステリアはゲームをゲームとしか捉えていないし、AIを人間だとも思っていない。

ただ…………




これにてSeason 2終了!!!

面白いと思ってもらえたら評価ください!!!

評価されるとモチベーションになるから!!!

ね!!!

下の方からできるよ!!!

ちなみにストックがそろそろヤバいから次回からは隔日投稿だよ!!!

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