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Ep.25 エーテル・ハザード/殺戮

 あぁそうだ。ドミノ、私は演算で忙しいから……プレイヤーの処理はキミにある程度任せたい。オーケー?


『フッ……任せてください』


 その『フッ……』っていうのが無ければもうちょい信用できたんだけどなぁ。



自律核(オートメーション)起動:【ルナティック・フォージ】』


 私の背後に血の剣が大量に生成される。それらはプレイヤーに狙いを定め……あ、ちょっと待って。



『なんですか?』


 ちょっとカッコつけたセリフ言いたい。私が言ったらやっちゃってね。



「さぁ雑魚共! せいぜい私を楽しませてくれよ……?」


 はいオーケー、やっちゃって。



『なんか締まらないですね……』


 私の背後の血の剣群が、それぞれプレイヤーを狙って射出される。剣は着弾と同時に爆発し、ほとんどのプレイヤーが一撃で消滅していく。



「なんだよこのクソ展開!」

「俺たちはヒャッハーって突っ込んですぐにやられるザコキャラかぁッ!」

「なめてんじゃねぇぞこらあッ!」


 キミたちはヒャッハーって突っ込んですぐにやられるザコキャラです。大人しく死ねぃッ!



 ザザザザザ、と至る所に赤黒い剣が刺さっていく。地面に、プレイヤーの心臓部に、はたまたプレイヤーの頭部に刺さった剣は即座に爆発し、周囲を赤いポリゴンに染める。


 まだだ、まだ足りない。



「もっと血を寄越せェッ!!!」


 私は荒くれな吸血鬼みたいなセリフを吐いた。血というよりキル数をください。正直に言うと血はもう間に合ってます。

 


「うわぁぁぁっ!」

「ぎゃぁぁぁっ!!」

「ぴょえぇーっ!!!」

「ぴーひょろろっ!!!!」


 変な断末魔を響かせながら爆散していくプレイヤー達を横目に、私は魔法陣の構成を続ける。


 あぁそうだ、【赤月の天軍】は条件を満たしていない場合でも、2体までなら分身を生成できる……ってこれ前も言ったかな。


 まぁともかく、よく考えてみるとまだ私の手数は残されていることに今更気づいた。ということで分身を2体生成。


 前に生成したのはシャマザリエにぶっ飛ばされて、もう荼毘に付したよ……血で出来てるから骨もない。



 さて、じゃあ分身たちには手分けしてキル数を稼いでもらおう。総員、散れッ!



『イー!!!』


 私たちは悪の組織の戦闘員じゃねぇぞ!

 なんだその掛け声は!



『ご、ご主人様の記憶から学習しました……』


 変なとこだけ学習するんじゃない!







◇LapiS.Lazuli


「【瞬転】」


 短距離転移をノーコスト(・・・・・)で行えるという破格の効果を持つスキルを使用し、ラピスはシャマザリエの攻撃を避ける。


 だが、ラピスにとってこれは緊急回避の手札を切らされたことを意味する。このスキルのクールタイムは25秒。ラピスの積んでいるCTカットスキルの効果を含めればおよそ13秒。


 その間、彼女は転移を使用できない。

 アステリアのスキルは転移のクールタイムが存在しないが、それは『武器を対象として、その場所に転移する』という制限がある上でリソースも消費するためであり、今回の場合はちゃっかりとクールタイムが存在する。



 そもそもアステリアの転移スキルは、本来『武器を遠くに投げる』という行為を踏んでから使用すること前提のコストだ。


 武器を大量に生成でもしない限り、あんなに簡単にかつ効果的な転移はできない。



『⬛︎?』

「うーん、ちょっと危ないかも……」


 経過した時間はおよそ4分。まだまだアステリアには時間が必要だ……そう考えた彼女は気を持ち直し、再びゾーンに入る。



「ご褒美は合鍵でもお願いしようかな……?」


 彼の外堀が埋められるまで、あと少し。






◇アステリア



「ヒャッハーぁぁあっ!?」


 私は手に持った剣でヒャッハーって突っ込んですぐにやられるザコキャラの首を両断し、即死させる。キミこの5分で3回ぐらい私のところに来てないか?


 あ、ちなみに手に剣を持っていても“装備”していなければ【無手の極意】は発動する。詐欺にしか見えないが、実際装備していない武器はナマクラ程度の切れ味になってしまうからまぁ(だいたい)無手、と言っていいだろう。



 現在のキル数はおよそ2000程度……この調子やってたら少しだけ足りない。


 街のNPC……を()ろうとすると教会のクソ強NPC(カオスの執行者)が出てくるのでダメ。


 モンスター……は既にもうやれるだけやってる。さて、どうしようか。



 イベントの時は簡単に10000キルまで行ったが、あれはあの比較的狭いエリアに16万人(公式の発表)のプレイヤーと大量のモンスターがいたからこそ成り立っていたものであり、今のような場面だと普通に条件が厳しすぎる。なぁオトン、このスキルって使わせる気無かったんじゃないかな……?



「あ、待てよ……?」


 よく考えれば、【虚鎖ノ黙示(ナイトヴェイル)()黄昏ノ王域ネクロリッジドミニオン】は範囲内の敵すべてにダメージを与えることができるし、雑魚だったらこのダメージを回避できない。


 これ使えば普通に条件達成できるじゃん、多分。



「じゃあ予定を変えよう」

「おらぁっ! 死ねっ!」


 私は向かってきた雑魚の首を刎ねながら、分身に新たな命令を出す。


 命令は各地に魔法陣を設置すること。

 分身たちは私の血で構成されているので、『指定の形式で7つの魔法陣を設置し、それらすべてに自身の血を与える。』という儀式も、その身体を血に変えて与えることで簡単に終わらせることができる。


 六芒星(それと中心にひとつ)を描くように魔法陣を設置しなければならないが、今回重要なのはその範囲だ。


 理論上、魔法陣で囲われた場所すべてがこのスキルの範囲になるが……あのイベントで分かったことがひとつある。


 それは、範囲を広げるとスキルの効果持続時間が減るということだ。


 実はあの時発動した【虚鎖ノ黙示(ナイトヴェイル)()黄昏ノ王域ネクロリッジドミニオン】の効果時間は1分程度しか持続していない。


 あの時は時間内に全員死んだからいいものの、今のプレイヤーはそれを耐えられるかもしれない。回復アイテムもあるしね。



 ということで、今回は前より範囲を狭め……かつ、なるべく多くの生命体を巻き込めるようにする必要がある。


 はじまりの街 オーヴァの正面から少し進んだ場所……つまり私の現在地をおおよその中心として、そこからオーヴァを円内に囲えるほどのサイズで範囲を設定。


 オーヴァ自体は謎の無敵バリアに守られているので、おそらく内部のNPCやプレイヤーに対してダメージを入れることはできないが……ノコノコ出てきたプレイヤーを2回ぐらいリスキルできたらそれで充分だ。



「じゃ、分身が魔法陣を設置してる間は……コイツらで暇を潰すとしよう」

「ヒャッハーッ!」


 またもや突っ込んできた三下の首を刎ねる。お前もうこれで4回目やぞ!



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