Ep.128 THE END XII
イコルの口調に苦心しています
文章で見ると違和感がすごいんですよね、この喋り方
◇超巨大異界交流浮遊都市群型兵器ネクサス・メガロポリス———操縦室
「おい、お前。何か言い残すことはあるかしら?」
「いやほんとゴメンゴメン。まさかあんなに失敗するとは……」
「な、なにがあったのじゃ?」
「こいつが“星斬り”を暴発させたのよ。お陰で私まで戻る羽目になったじゃない……」
「ま、まぁでも? これやらなかったらどうせ負けてたし……仕方ないだろう、ね? 君もそう思うだろ?」
横に掛けた刀に向けてそう話しかける斬星。
刀はもはや、誰が見ても分かるぐらいにブルブルと震えていた。
「……うんうん、なるほど。そう思うってさ!」
「おい」
◇中央国 セントリア跡のオリジンホール———落下中
『あぁぁぁ……!』
このゲームでは、死亡判定を覆すスキルが存在する。
確率での即死回避や、特定の死に方の無効……
あるいはラピスの持つオリジンスキルのような、一定期間内で一回までなら復活できる物など。
それらを発動し、星斬りを生き残ったプレイヤーたちは……そのまま斬撃によって生まれた大穴を落ちていく。
いち早く現状を理解したラピスは、周囲の落下するプレイヤーの数を確認し……
この数が地下に辿り着くのは阻止しなければならない、そう判断する。
『あぇっ……』
異形の天使、その大きく開いた口の中……ギザギザの牙の奥の奥。
喉の中から、黒く光る物体が吐き出される。
それは———アステリアがラピスへと託した終幕の剣。
【勇者】の職業にはとある特性が存在する。
それは、勇者は世界の守護者であるという伝説から生まれた隠し要素。
勇者は【ワールドガーディアン】の職業であるという判定を同時に持っていた。
つまり、ラピスはアーティファクト【Arcallom, Sword of the WorldEnd】の装備条件……“【英雄】と【ワールドガーディアン】の職業を同時に設定しているキャラクター”を満たしている。
『【W’yharaa S’meth】【W’ykhaï Shyro’qot】【Vhar’tem Qotho】【Kryxys Noe’lha】……』
異形の天使からはみ出た、触手のような舌。
舌は黒剣に巻きつき、その刀身には邪悪な魔力が収束していく。
『【Kaï’oh Ajhemïna】【Shynnokh Pharao】【Warrhytime Al’noxes】【W’ysess Callom】……』
一部のプレイヤーが、彼女が大技を放つ気配を感じ取り止めようとしたが———時既に遅し。
『【Arcallom】』
“⬛︎⬛︎”の言語において“終焉”を表す言葉。
その通りの現象が、彼女を中心に放たれ……
◇R・C起源世界管理基地———アステリア
はー、危なかった。
あんなん当たったら即死だったよ、ほんと。
『さぁて、それじゃあ……邪魔者は勝手に消えたことだし、いよいよ手に入れちゃおっか!』
足を進めて、扉を開く。
なぜか戦闘員も社員みたいな格好のNPCもいないけど、どうしたんだろうか。
そんなことを考えつつ廊下を進み———
『危険』と書かれた扉を発見した。
『まぁ、ここかな』
しかしアレだね、このゲームって一応オリジナル言語らしき文字を使ってたはずだけど……ここは日本語使ってるんだね。
何かしらありそうだけど、まぁそこは一旦無視しよう。
私はその扉に手をかけ、一気に押し開いた。
『撃てーっ!!』
直後、無数の銃弾が私を襲う。
ま、せいぜいかすり傷だけど。
視線の先には、一斉に銃口を向ける構成員たち。
そして、その背後には白く輝く球状のエネルギー体。
私は、それらが鎮座する中心へと歩みを進める。
一歩、また一歩。
恐怖を刻みつけるように。そんな攻撃など塵ほども効いていないと見せつけるように。
「おいおい、嘘だろ……銀の弾丸は効いてくれよ、なぁ……」
銃撃を続ける武装員たちの隣に立つ金髪の女がそう呟くのを私のダウナーお姉さんイヤーが聞き取った。
お前さっき私と一緒に白い空間いなかったか?
なんか途中からいなぇなとは思ったけど、脱出されてたやつかな、これは。
『あいにく、私は招かれなくても侵入するしニンニクは食べるし、昼でも動けるタイプの吸血鬼だからね』
このゲームでも、そのあたりの弱点は【神蘇の吸血鬼】に進化した時ほぼ消えたんだよね。
お生憎様、ってことで。
「はっ……だが残念だったな。オリジンズ・インフィニティは誰にも制御できない。お前とて例外じゃない! 無限の力に呑まれて消滅するのがオチさ!」
『そうかなぁ? 私はできると思うんだけど』
ふん、と不機嫌そうに鼻を鳴らす金髪ちゃん。
……というか、銃弾を浴びせながら会話するの、やめてくれない?
普通に聞き取りづらいんだけど。
『ま、ひとまず消えてもらおう———【カット】』
雑魚にはこれで充分だ。ちなみに雑魚とはアイアンタイタン以下を指す。
武装員たちの身体に一斉に赤い断層が走り……文字通り、全員が真っ二つに両断された。
おや、金髪ちゃんもカットしたつもりだったけど……何かしらの方法で防がれたかな?
『あはっ、もしかしてキミは私と一対一でヤリたいっていうのかな♡』
「残念ながら気色悪い奴はお断りだ。お前は私が止め———」
彼女はどこからともなく謎の機器を取り出し、それを起動しようとして……
そのタイミングで、上の方から凄まじい振動が私たちを襲った。
「うおっ……とぉ!?」
『あはっ♡ 油断したねぇ…...?』
理由は知らないが、絶好のタイミングだ。
振動で金髪の子がバランスを崩し、地面に手をついた隙に……私は前へと地を蹴った。
そして、真っ白な球体へと手を伸ばし———
「やめろーっ!!!」
『あはははははは!!!』
その指が、光に触れた。




