Ep.127 THE END XI
斬星<私の本気を見せてやるぜ
◇中央国 セントリア
『あぁぁぁぁぁ……!!!』
不気味な叫び声を上げながら、堕天使のような化け物がセントリアで暴れ回る。
その身から生えた無数の肉鎖が、彼女の周囲を飛び回る矮小なプレイヤーたちを掴み……そしていとも簡単に握り潰していく。
【瞬転】などの転移によって逃走を図るプレイヤーも存在するが……彼女の鎖から抜け出し、どこかに転移したその瞬間———
「えっ」
ジュッ!!という、何かが蒸発したかのような音だけが、そこに残った。
ラピスの羽に現れた無数の眼……そのうちの1つが放ったレーザーによって、そのプレイヤーは消し飛んだ。
『ヒャッハーッ!!』
『皆殺しだァァァ!!!』
全身を火炎放射器のような機械で覆ったような化け物、全身が影の化け物……シンプルな巨人のような姿の化け物、顔文字のホログラムで構成された化け物数十体……
彼らは皆、ラピスや地下へと続く大穴へと向かうプレイヤーを排除する。
アステリアの立ち上げたPKクラン———【ダウナーお姉さんファンクラブ】のメンバーたちだ。
「やっぱ根源解放はダメだな。的になりすぎる」
「時代はスニーキングだわ」
『あぁぁぁぁぁ……?』
「あっやべバレた」
じゅんっ、と一瞬で消し炭となって消える2人のプレイヤー。
ラピスの羽にびっしりと生えた眼は、ひっそりと動くプレイヤーたちも見逃さなかった。
『おぉぉぉぉぁ……!!』
『ヒャッハーっ!!』
『うおおおおおお!!!』
ラピス、そして彼女が率いるファンクラブ会員たちが、かつて彼女が設立したクラン……【アストライア】のメンバーたちも含めた全員を相手取り、彼らが大穴へと進むのを食い止めていた。
◇起源空間———アステリア
『【幽月ノ夜狂恋牢】』
『“アグナ・シぺっ……ミリエス・メロビアレイド”』
刀の先端から放たれた無数の斬撃により、空から降り注ぐ灰色の光線が切断……そして消失していく。
全部防がれちゃうねぇ……そういう時はゴリ押しだ!!
脳内で魔法陣構築。
ドミノの演算リソースを勝手に使用することでさらにその速度を加速させ……1秒も経たずに9重合成魔法陣を完成させる。
『えっ!? 今のどうやったんですか!?』
なんとなく……?
まぁいい、とにかくぶっ放すぞ!!
『させぬぞ! “ギャラクティック・インパクト”!』
横からメイノドーラ(小さい)が飛びかかってくるが……既に【武操の極意】による転移を発動済み。
上空にて手を掲げ———
『〔超過・独自———』
——————ふと、脳内に多少の悪戯心が芽生えた。
やれるかは怪しいが……まぁやってみよう。
魔法陣の交際を土壇場で変更。
アレはどういう感覚だったか……まぁいいや、暴発してもそれはそれってことで。
『———ネクサス・ボールト〕』
私の右手、その付近の空間が歪み……そこから黒い剣が現れる。
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『特殊裁定:【メイノドーラ】との戦闘中、プレイヤー【アステリア】は武器【起源へと別れを告げた夜】を使用できる。』
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武器【起源へと別れを告げた夜】
攻撃力:9500
《能力》
・完全不壊
・多元魔王【メイノドーラ】に対するダメージが10000%上昇する。
・多元魔王【メイノドーラ】に対する攻撃の最終ダメージが500%上昇する。
・多元魔王【メイノドーラ】からの攻撃の最終ダメージを70%軽減する。
・本武器は装備枠を消費しない。
・多元魔王【メイノドーラ】との戦闘終了時、本武器は消滅する。
《説明》
多元魔王を討ち果たした剣。
渡り人は世界を超えて持ち物を維持できないはずだったが、多元魔王を完全に消滅させるために……この剣はあなたの元へと帰ってきた。
ネクサスを目指す渡り人たちの願いによって鍛造された神話の剣。
《エンチャント》
・魔族特効:500%
・魔族特効:500%
・魔族特効:500%
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ぶち壊れすぎてて笑えるね。アストライアの攻撃力でも1000とかだったような……
というか別ゲーから武器引っ張れるとかそんなんアリかよ。いやまぁ、このゲームならギリやれそうだと思ったからこれしたんだけどさ……
ま、流石に制限付きではあるようだけど。
『ちょ、ちょっと待つのじゃお主……今のわらわにそんな物を向けるでない! 死んでしまう!』
『じゃあ試そっか♡』
最近、普通に剣を使うアクティブスキルも取ったからね……わざわざ転職繰り返して極限スキルも色々取れたし、ここで試させてもらおう。
『あはっ……【アルティメット・ブレイヴ】!』
『うぎゃぁぁぁっ!?!?』
青と黒の閃光を剣に纏わせ、単純に……上から下へと剣を振る。
さすがにレベル100到達者にのみ使える技能、凄まじく巨大な斬撃がメイノドーラへと放たれ———真っ二つにした。
……あ、これ一撃死!?
まぁなんか特効モリモリだったしそりゃそうか……
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『武器【起源へと別れを告げた夜】が消失しました。』
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あっ、もう消えちゃった……
『ちびっ子ちゃんがやられたか……しかし彼女は私たちの中で最強。ネクサス・ユニオンのリーダーよ……どうしようか』
『斬星、ふざけてる場合? このままじゃアレを奪われて面倒なことになるわよ』
『しかしだね、現状は私も本気を出せないわけで……』
真っ二つになってポリゴンと化したメイノドーラを見つめながら、斬星とイコルが会話する。
『さぁ、次はどっちが私にやられたいのかな?』
『イコルちゃんが先に戻りたいって』
『おい、刀バカ女。何言ってくれてるのかしら?』
笑顔で話してはいるが……彼女らの瞳は常にこちらを観察している。
抜け目はないってことね。
『ま、しかしこんな事していても埒が開かないのは確かだ。そこで提案だよイコルちゃん』
『何?』
『このままじゃ私たちは負ける。だから……私の案に乗ってみないか?』
『え、嫌だけど。どうせ自爆でしょう?』
『うん』
『2人でコソコソと……私も会話に混ぜてよ、ねぇっ!! 【金が剣を創り、剣は百万で束ねられた】———』
2人の周囲に百本の黄金剣が創造され、それを放つ———前に、斬星が動いた。
『制御できないけど、一か八かだ———』
『ちょ、ちょっと本当にアレはやめ……』
私がすべての剣を射出すると同時……いや、それよりもほんの少し前に、斬星が口を開く。
そして、そこから紡がれた言葉は……彼女の代名詞。
『——————“星斬り”』
『あっやば』
『おい』
◇R・C起源世界管理基地
「誰も侵入させるな!」
「撃てー!」
「執行者の応援が来た! 渡り人を抑えろ!」
ラピスたちの妨害を抜けて、大穴まで辿り着き……そして飛び込み、ここまで辿り着いたプレイヤーたち。
それを迎え撃つのはR・Cの戦闘員……そしてカオスの執行者たち。
彼らは全員、オリジンズ・インフィニティに渡り人が到達するのを防ぐため……ここで彼らと相対する。
【根源解放】によって巨大化したプレイヤーに対しては、スナイパーライフルのような武器……【シェル・ブレイカー】を用いて一撃でその肉体を破壊。
そうでない者たちは、ライフルのような武器……【デンジャー・キラー】を用いることによって蜂の巣に。
これらの武器は、そのどれもが魔力で駆動し……半無限の弾数を誇る。
プレイヤーたちは弾丸の雨を前に、死体の山を築き上げていた。
しかし———突如、異変が起こる。
異変の発生源は……会議室。アステリアが、異空間へ飛ばされる前に居た場所。
斬星の“星斬り”は、彼女の制御を軽く超えて暴走し……意図も容易く起源空間、それそのものを切断した。
その余波はそのまま会議室へと波及し……細い線が空中に現れた。
「あ、なんだこれ……」
カオスの執行者、そのうちの1人がそれに気づき近寄るが……
「あ……?」
ずるり、とその身体は真っ二つになった。
それを皮切りに、線はさらに大きく広がる。
会議室を、通路を、そして起源世界管理基地の堅牢な外壁を通り抜け———音すらも置き去りにした『切断』が、すべてを等しく両断した。
「なっ……!?」
銃を構えていた執行者の一人が、自分の身体が上下にズレるのを感じて絶命する。
それだけではない。
彼らと相対していたプレイヤーたちも全員、その身体が粉微塵に消し飛び……
一音遅れて、基地の南半分が“無”と化した。
広すぎる切断面は鏡面のように滑らかで、火花を散らすことすら許されない。
しかし———斬撃の勢いはそこでは止まらない。
基地を突き抜けた銀色の閃光は、そのまま垂直に地上へと奔った。
◇中央国 セントリア
『あぁぁぁぁ……ぁ?』
ドォォォォォォンッ!!! という、星そのものが悲鳴を上げているかのような轟音。
大穴……いや、セントリアの地下そのものから噴き出したのは、溶岩でも魔力でもない。
それは……斬撃。
扇形のように広がった斬撃は、やがて地上に到達し———セントリアの面積600%を塵へと変えた。
そこで戦いを繰り広げていたプレイヤーだろうが、魔物だろうがなんだろうが……そのすべてが等しく消える。
遠く離れたエリアで探索を行っていたプレイヤーたちだけが、その光景を見ることができた。
しかし、誰もがそのあまりに規格外な事象を前にして思考を停止させる。
「は、何あれ……?」
「魔王襲来とかやるって話だったし、それでしょ」
そして、その斬撃は起源世界を覆うバリアへと到達する。
R・Cが誇る、あらゆる物理・魔法攻撃を遮断するはずの絶対防御———
それが、まるで薄い硝子細工でも叩き割ったかのように砕けた。
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『SkyBreak!』
『起源の地を守る防護障壁が破壊された。』
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幾何学模様の破片がキラキラと光りながら地上へと降り注ぐ。
だが、それでもまだ———斬撃は止まらない。
大気を切り裂き、成層圏を突破し……その刃は、夜空に浮かぶ“太陽”へと届く。
無音の宇宙空間で、赤い一つ目の球体に一筋の亀裂が走り……
数瞬の静寂の後、その一部がゆっくりと、滑り落ちるようにズレて……圧倒的な高熱を放ち、爆散する。
“星斬り”の暴発によって、世界は甚大な被害を被ることとなった。
システム<シチュ的に斬星は強くして、イコルはサポートさせて、メイノドーラは……(笑)
【3人が現在受けているデバフ】
メイノドーラ:アステリアと蒼魂杖による力の封印
斬星:“星斬りの物語”ラストでの呪いによる下半身不随及び刀の錆び
イコル・ノスパイア:トマトジュース欠乏←?
斬星だけ力を制御出来ないって方向性なのでこんなことに……
【超技能“星斬り”】
ヤバすぎ
錆びた刀<ちょっと今の私じゃ一発が限界です。休ませてください……え? 余波でマスターが消し飛んだ? あのトマトジュース狂いと一緒に?
ほなしばらく休みかぁ……




