Ep.125 THE END IX
◇ R・C起源世界管理基地———アステリア
『ばーい♡』
「ぐ……ごげぇっ……!?」
その辺にいたスーツ姿の職員……?の首を掴んで握り潰す。
こいつら全員ポリゴンに青いエフェクト付いてるし、多分リスポーンするんだろうけど……痛みは感じるっぽいから、なるべく痛いようにやるね♡
「【キリング・ドロ———『だからさぁ! キミたち他のやり方とかないワケ!?』
すぱんっ!と鎌で背後から近づいてきたプレイヤーの頭を切断。どいつもこいつも背後からひっそりしやがってさぁ!
ねぇ!?
『キミも……そう思わないかい?』
『まぁ背後から狙う、というのは基本だろう。安直ではあるが、な』
機械のアーマーで全身を守る、多分女性……アチコチの資料に書いてあった『リサーチャー』だろう。前も会った気がする。
『それ、なんだい?』
『これか? セレンティの奴が使おうとしたんでね……急いで取り上げてこっちまで来たんだが、運が悪かったようで』
彼女の手に持っているのは……メガホン?みたいな謎の機械。
そんな危険物なんだ。
それじゃあ私が回収してあげないとね!
『そう簡単には渡さん。戦うのもダメだ』
リサーチャーが首元のボタンを押すと、彼女の全身が透明に変化していく。
はっ、そんなの魔力見ればすぐに……あ、これ魔力まで隠蔽されてる?
それはちょっと困るなぁ。
『そういう時はぁー……これっ!』
【ルナティック・フォージ】起動。即座に血の剣が百、創造される。
『そしてぇ……【虚滅】っ!』
『なにっ……ぐぁっ!』
剣たちが私の周囲を回転し、やがて斬撃の嵐となる。
ヒットエフェクト的に……これ私の背後じゃん! お前もか!
『ちょっと面倒だったけど、それでもちょっとだけだね』
『くっ……ぐぅっ……!?』
ギリギリと彼女の首を両手で握り、少しづつ力をこめていく。
顔は見えないけど、まぁ今回は趣向を変えて声で楽しもうねぇ。
『か、はぁっ……!』
『あは♡ いいね……そういう声の出し方好きだよ……』
『ゴ、ゴミが……が、はっ……だが……時間、は……こほっ、かはっ……』
時間は?
『何のことかなぁ?』
『はぁっ、はぁっ———あぐっ!?』
首から手を離し、放り投げ……そのまま胸元を力いっぱい……いや嘘、ちょっと手加減しながら踏む。
『もう用は済んだ。生憎だが、私を拷問してもアストラのようにはいかないぞ……文字通り効果ナシだ』
『でも痛みはあるでしょ?』
『それでも、だ。私がそこまで弱く見えるか?』
『え、うん』
『うーむ……それはちょっと心外かもしれん』
おい、急にフレンドリーになるな……ん? あ、もしかしてこれ時間稼ぎ?
はぁぁぁぁ……私はこういうのによく引っかかるなぁ、まったくもう。
『ま、それじゃキミをイジメるのは次会った時ったことで……またね♡』
『あ? な、ちょっと待———』
ぱぁんっ!と綺麗な音と共に、私は彼女の頭を踏み潰した。
風船みたいな音したな……
『さぁて、それじゃさっさと中心部に……』
……
………..?
なんだ、違和感があるな?
何故だろうか……どこかから、見られてるかのような……
『どうやら……“魔王”と呼べるだけの邪悪さを持ち合わせているらしいな、君は』
この部屋の奥に備え付けられた扉。
それがゆっくりと開き、そこから人影が現れる。
その人物は、やたらとサイバーチックな車椅子に座っていた。
髪色は茶色で、長く……その目は虚ろで、眠たげ。
服装はキッチリとしたスーツで、その手には一本の錆びた刀が握られている。
『あら、1人で抜け駆けは良くないわよ?』
扉の奥から、もう1つの人影。
その人物は、展開的な“吸血鬼”といった様相の銀髪赤目で……服装もこれまた典型的なゴシックドレス。
表情は自身ありげで、ストローで缶のトマトジュースらしきものを飲み……しかし、その両腕は包帯が巻かれている。
『ほら、ちびっ子も出てきなさい?』
『あ!? 誰がちびっ子じゃたわけが……って、あやつは……あっ』
扉の奥から、さらにもう1つの人影が現れる。
その人物は、長い金髪で……非常に背が小さい。
角も生えていて、そしてやたらと豪華な服装だった。
表情は傲慢全開だったが……私の姿を見て、怯えたものへと変わった。
『へぇ……? そういう展開なんだ?』
思わず笑みが溢れる。
良いね、夢島アカリ。ファンサービスというものをよく分かっている。
『ご自慢の名刀はどうしたのかな、斬星?』
『ふむ、どうやら私のことを知っているらしいが……それには普通に答えてあげよう。この世界を訪れたその瞬間、なぜか分からないがこうなってしまってな……』
車椅子に乗った茶髪———斬星が、錆びた刀を見せながらそう答える。
『キミには言いたいことがあったんだ、イコル。トマトジュースって血の代わりとしては微妙すぎないか? 私はとっっっても嫌いなんだけど』
『は? お前はトマトジュースの良さも理解できないの? ふん、底が知れるわね』
いつの間にやら取り出した椅子に座りながら、銀髪の吸血鬼———イコル・ノスパイアがそう答える。
……じゅっ!とトマトジュースを勢いよく飲み込みながら。
『で、キミは……あはぁ♡ また会いに来てくれたんだねぇ♡』
『ひっ……お、お主そんな性格だったか……?』
金髪の幼女魔王———力を失ったメイノドーラが、怯えながらそう答える。
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『アノマリー・エンカウント!!!!』
『天命会総長【斬星】』
『真祖の吸血鬼【イコル・ノスパイア】』
『多元魔王【メイノドーラ】』
『かつての力を失った、ネクサス・ユニオンのリーダーたちが立ち塞がった。』
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『やってくれるか、セレンティさん』
「あぁ……“起源空間展開”」
金髪のスーツ女が、さらに彼女ら3人の背後から現れ———“何か”を握り潰した。
すると、そこから光が溢れ———
◇起源空間
「あー……えっと、これもしかして使った人も巻き込むやつか? 仕方ない……こっちの方が、あいつみたいに弄ばれるよりかはマシだな」
そう言い残し、金髪の女は自らの首をナイフで切ってその場に倒れた。
……いじわるしちゃお。
『蘇れーっ』
ぽい、と【エリクサー】を倒れた彼女へと投げつける。
過去作ラスボス三人衆の全員がそれをスルーし、眺めている。
やがて、それが当たると……金髪の女はむくり、と起き上がった。
「……おい、これはどういうことだ?」
『セレンティさんも戦ってほしいんだろうね』
『あら、1人で逃げるつもりだったの? 私たちを呼びつけておいて?』
『お、お主もあやつ殺すのを手伝うのが道理じゃろう! わらわだってあやつ苦手なのに!』
おいおい、こんな序盤から仲間割れか?
それなら……こっちから行こうか。
『あはっ♡』
【ネクサス・ユニオン】
過去作ラスボス連合軍。ネクサス・メガロポリスを管理する3人の領主。
強すぎる(主に斬星とメイノドーラ)ので現在弱体化中。お前ら簡単に星ぶっ壊せるのやりすぎなんだよ!
イコル?はて……
この3人にはシステム的な保護が存在するので、まぁあんまり変なことはやれない。セクハラも禁止だ!
【“天命会総長”斬星】
一刀で星を斬ることができます。
今は足が呪われているし刀も錆びてるけど、まだやれます!
【“多元魔王”メイノドーラ】
一撃で星を破壊することができます。
今はアステリアに力を封印されたせいで弱体化してるけど、それでもまだやれます!
【“真祖の吸血鬼”イコル・ノスパイア】
……
あ、トマトジュースください。
血よりもトマトジュースが欲しいです。




