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Ep.123 THE END VII

「おいおい、こんな街中でそんなキショい真似して大丈夫か?」

『んぁ……あぁ、確かに』


 床に散らばったポリゴンを舐め散らかしていた私に斬りかかりながら、面識もないプレイヤーが話しかけてくる。

 まぁ確かに、これ録画されてネットに上げられたらたまったもんじゃ……



 ……ちょっと酔いが覚めた。なんかさっきまでの私、変じゃないか?



『ふぅ……ありがとう、キミのおかげで目が覚めたよ』

「そりゃなによぐぺぇー」


 それはそれとして、さっきから剣でグサグサされててウザったらしい。私は彼の首を鎌で刈り取った。



『さぁて、それじゃあそろそろ本題に……また来たね。第何波?』


 【根源解放】したプレイヤーの群れが、こちらへと迫ってきている。

 なんなら普通のプレイヤーも混じってるし、それに———








◇少し前———LapiS.Lazuli




「……まだですか?」

「ふふふ……まぁまぁ、待ってよヨミちゃん……乙女の身だしなみを整えるには、時間が必要なんだから……」

「アイツらそろそろ抑えきれませんよ?」

「えー……あ、アチコチちゃんからのメッセージだ……」

「やっとですか。というか……あー、ついにこの時が……私も仲良く裏切り者かぁ」



—————————————————————

アチコチ:

出番

造花咲かせようぜ!!!

—————————————————————



「ふ、ふふ……ヨミちゃん、みんなに出発だって伝えて……わたしも、すぐに行くから……」


 ラピスが率いるクラン、アストライア。

 彼女はクランハウスに配置された自室にて、装備のチェックを行っていた。


 それも、【魔王襲来】イベントの真っ最中に。




 最高に見た目がいい装備を選んだ彼女は、そのまま自室を出て……律儀に待機していたクランメンバーたちの前へと出る。



「遅いですよ、ラピスさん!」

「早くいきましょう! 乗り遅れます!」

「あのクソ気に入らないアステリアをぶっ飛ばしましょう!」


「ふふふ……みんな、いい雰囲気だね……いいよ。それじゃあ……行こう? わたしに……ついてきてね……」


 そう言いながら、彼女はクランハウスの扉を抜け……外へ出る。



 その顔には、満面の笑みが浮かんでいた。










◇中央国 セントリア———アステリア



 化け物軍団、それに混じる一般人軍団。


 それを指揮するのは———天使の羽で空に浮かぶ、ラピス。



『みんな……行って……!』

『『「「「「『「うおおおおおおお!!!!」』」」」」』』


 ドスンドスンドスン!と地響きが鳴る。


 巨大な化け物たちによって土煙が巻き起こり、そのすべてがこちらへと飛び掛かる———




 ———しかし、私を止められる者はいない。



『【私のために死ね】——————【虚鎖ノ黙示(ナイトヴェイル)()黄昏ノ王域ネクロリッジドミニオン】』



 1時間前から既に、儀式は済ませている。

 セントリアを囲うよう、6箇所に血の魔法陣を描いておき、私の足元にはさっき舌で(・・)舐めながら描いた魔法陣。

 そして、ガチャで出てきたゴミアイテムによる詠唱の省略。


 気色悪い行動にも意味はあるのだ。あるったらある。



「ぐっ」

「がっ!?」

「あ、足が!?」


 地面全てが黒に染まり———鎖に縛られた無数の手が、地面に足をつけていたプレイヤーたちを拘束する。

 【根源解放】済みだろうが関係ない。そういう奴らはさらに巨大な手が現れ、拘束していた。



『ははは……あーっはっはぁ!!! ひれ伏すがいい!!!』


 ヤバい。酔いは覚めたけど、それはそれとして調子に乗ってきちゃった。



 まぁいっか!!



「ふふふ……それじゃ、わたしの出番……だよね?」

「やっちゃってくださいラピスさん!」

「アイツ殺しでー!!」

「殺せー!」


 ラピスは天使の羽をばさりと動かし、そして一直線にこちらへと飛翔した。


 こちらも飛翔、彼女と視線を交わして———









「えっ」

「え?」

「なにっ」

「あ……」

「え、えぇ?」

「百合……?」



『ん……』

「んむぅ……ちゅっ……んちゅっ、ちゅむ……」


 戦場の喧騒が、遠のいていく。



「ん、ふ……ぁ、んむ……っ」


 ラピスの頬が、赤く染まっていく。

 ラピスの羽が、黒く染まっていく。



「は、ぁ……ちゅ、ぷ……ふふ、アステリアひゃん……おいひいね……んちゅ……ぷはっ」


 唇が離れ、糸の橋が掛けられた。


 周囲の反応は……困惑5割、驚愕5割。

 一部は目を逸らしている。



「ふ、ふふ……ふふふ……」

「ら、ラピスさん……なんで……」

「なぜ急にこんな……」


 ラピスの羽が、根元まで真っ黒に染まり———彼女が背負っていた剣も、赤黒く変色していく。



「ねぇ、アステリアちゃん……ほら、いいよ? わたしを……眷属にして……?」



 吸血鬼の特性———噛みついたモンスターの眷属化。

 プレイヤーは名指しで『眷属にできない』と書いてあるが……


 このゲームにおいて、テキストなんてものは飾りである。



 こうやって、そうなるしかないシチュエーションを用意したのなら———



『んぁ……かぷっ』

「んっ……んぁ……ふぅ、っ……」



—————————————————————

『キャラクター【LapiS.Lazuli】の眷属化に成功。』

『【LapiS.Lazuli】の種族が【淵月堕隷大天使】に変化しました。』

『オリジンスキル獲得:【私たちの黎明】』

—————————————————————



『ぷはっ……』

「ん、ふふふ……」


 首筋に埋まっていた顔を離す。


 彼女の羽も、彼女の持つ勇者の剣も黒く染まり……


 そして、ラピスは地面へと降り立つ。




「【桜吹雪・白氷華】」



 彼女の放つ無数の斬撃が、周囲に立ちすくむプレイヤー全員の身体を切り刻み……彼ら全員の頭が転がる。



「ふふふ……ねぇ、アステリアちゃん……これからは、わたしも……」




「あなたと一緒に、戦うから。ね?」


 とびきりの笑顔で、彼女は私にそう言った。


見せつけ


【脚本】

ラピス<こいうのはどうですか、アチコチ監督

アチコチ<まぁいいんじゃないですかね。知らんけど


いっぱい練習した



【根源解放:ラピス】

淵天使徒→淵月隷徒(堕天後)

特殊分類。魔人系統ではない。

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