Ep.114 勇者<本当にこの人は真面目な人なんですよ。え?魔導核ミサイルの開発?多分人違いじゃないですか?それよりこの人をこの施設に入れましょう。きっとこの装置も完璧に解析してくれます!
◇中央国 セントリア———LapiS.Lazuli/ヒバナ
◇———————————ORIGINSWAR—◇
《魔 王 襲 来》
開始まで、あと……
::【09:23:55:20】::
開催地:【中央国 セントリア】
◇—MAINEVENT_COUNTDOWN———-◇
「おー、ラグナロクの時よりUIが凝ってる。まぁ夢島アカリはこういうとこ凝るの好きそうだしなぁ」
セントリア全体を囲う“悪しき物を拒む結界”……その頂上に、魔王襲来までのカウントダウンが非常に大きく表示されていた。
そして、それを眺めるヒバナの元へ桃色髪の女性が近づいてくる。
そう、ラピスだ。
「やっほー……お待たせ、ヒバナちゃん……」
「……前から思ってたけど、神蘇国にいる時だけ格好ヤバいのやめた方が良いんじゃないかな」
「えっ……そんなに凄いの着てたかな……?」
「……アレが“凄い”判定にならないの本当にラピスらしいね。アレもはや娼……まぁいいや。さて、アタシをセントリアの地下に連れてってくれるんだよね?」
頭を抱えるような仕草をしながらも、ヒバナはラピスにそう問いかける。
にこりと笑ったラピス(騎士っぽい装備を着ている)はすぐに首を縦に振った。
「さぁ……それじゃ、一緒に行こ……?」
「うん、じゃあごまかしはお願いするよ」
◇セントリア城———地下への階段前
ラピスの職業は【勇者】である。
つまりは他の一般的なプレイヤーに比べて、こういったNPC関連の建物へのアクセス権が広いことを示している。
「ふふ……ねぇ、きみたち……この子と一緒に地下に行きたいんだけど、いいかな……?」
「勇者様、そのお方は?」
「この子は……ハナビちゃんだよ。真面目な研究者の渡り人で、きっとこの地下にある装置も完璧に解析してくれる……それは魔王討伐にも、きっと役立つ……だから、ね……?」
「……城内に入れているということは、そのお方は信用されているのでしょうね。分かりました、通ってください」
「ふふ……ヒバナちゃん、行こ……?」
「失礼、ハナビと言っていませんでしたか?」
「あ、間違えた。ハナビちゃん……行こ……?」
本当に大丈夫なのか、ヒバナは少しだけ不安になった。
◇
「ねぇラピス、長くない?」
「長いよ……? まるで「あぁもういいよ、どうせ変なこと言いたいんでしょ」
しゅん、とテンションを下げるラピス。
ラピスは放置するとすぐ発言が酷いことになるな、とヒバナは思った。
「あ……明るくなってきたよ……そろそろ、かな……?」
「10分くらい掛かった……」
このゲームはこういう無駄に長い通路が多い。やはりそういうところはドリメカらしい……ユーザー体験を重視しているのかそうでないのかよく分からないところが、だ。
「あ、あった……これだよ、ヒバナちゃん。目的の……【台座】」
「ふーん……なるほど、これが……ね」
彼女らの目の前にあったのは、石で造られた【台座】
【台座】という名前通り、それはシンプルな造形で……上面には7つの窪みがあった。
「ひとまずこれで確認」
ヒバナは取り出したハンマーのようなもので、【台座】を軽く叩く。
コツン、という音。台座は一切損傷しない。
「【不壊】はさすがに付いてそう。タイプは【頑丈】で……取り外しも基本出来ない感じかな」
【不壊】にも種類がある。単純に硬い【頑丈】や、何度壊しても復活する【再生】など……今回は【頑丈】タイプだ。
「んー……やっぱりオリジンストーンを全部集めて嵌めるのが使い方なんだろうけど……まぁガントレットと似たような仕組みだろうし、そこから重点的に調べて……んぁ?」
「どうしたの、ヒバナちゃん……?」
「いや、ちょっとね……」
いつの間にか取り出していた虫眼鏡で台座を観察するヒバナ。
もはやそれは虫眼鏡を使う必要はあるのか、というぐらいまで顔を近づけている。
「ほう……ほう、なるほど! これ凄いね!」
「なにか……分かった……?」
「うん。どうやらアタシたちが作ったこれ……」
そう言いながら、彼女は左手にガントレットを装備する。ストーンはクールタイム中なのでアステリアに預け中だ。
「このガントレット、ストーンの力を引き出すことに成功したとアタシは思ってたんだけど……どうやら全然引き出せてなかったらしい。だから、この台座を参考にこのガントレットを改良しようと思う」
「ふふ……でもヒバナちゃん……目標の日時まで、あと3日しか……ないよ……?」
アステリアたちが騒動を引き起こそうとしている日時は、本来のイベント開始時刻より1週間前……つまりは今日から数えて3日後だ。
そんな短時間で作れるのか、至極単純な疑問をラピスはヒバナに投げかけた。
「大丈夫さ! アタシが新たに得た力を使えば……【Stealt the Secreterlt】を使えば……」
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オリジンスキル【Stealt the Secreterlt】
消費ゴル:任意
CT:7d
《能力》
・任意のオブジェクトを対象に、任意のゴルを支払うことで発動する。支払ったゴルとオブジェクトの価値によって成功が失敗かを判定し、成功した場合、そのオブジェクトを、条件を無視して入手する。
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ピカッ!と光る台座。
彼女がそのオリジンスキルを発動した瞬間、台座の根元が切断され……ゲーム的に“アイテム”と判断されるように変化した。
「はい成功ーっ! お金が無くなったけど……あ、ラピス? これバレないよね?」
「うーん……多分?」
「ま、どうせああするし……別にいっか。さて、帰ったらこれを組み込んでガントレットを改造しちゃおうかな!」
◇神蘇国エル・レイヴィア———ヒバナ/アステリア
「お、ヒバナー? それ何やってるの?」
「ガントレットの改良だよ。まぁ……もうこれガントレットと呼べるのかは怪しいけど」
まぁ、確かに……ちょっとゴツすぎるような……?
なんかガントレットに無理やり何かしらをくっつけたみたいな、そんな感じだよねこれ。
「いや、流石に見た目がアレだね……どうにかアタシがいい感じに整えるから、明日また来てよ」
◇
……というわけで後日、ヒバナの元へやってきた。
だが……
「うーん……まぁ、うん。ガントレットの原型は……無いね」
「機能を上げると大きくなる、仕方ないね。てな訳でこれ着てみてよユキちゃん」
私の目の前には、灰色のアーマー(いろんなところに窪みがある)が鎮座していた。
そして、それを装備して……私はインベントリから大きめの鏡を取り出す。
「……えっ、普通にダサいじゃんこれ」
「…………いや、多分カッコいいよ」
「“多分”って言った! 今“多分”って!」
いや、もうちょっとこう……スリムにしないか!?
これダウナーお姉さんが着ていい装備じゃないって!
「……いや、君はダウナーお姉さんではないだろ」
「はー、これだからヒバナちゃんは……ラピスと狂夜は私のことを完璧なダウナーお姉さんだって言ってたよ?」
「あの2人はもうダメだね」
そろそろ決戦準備へ……
なんか思ったより面白くなりそうだったので期待していいよ。やっぱり期待しないで(豹変)
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