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Ep.111 (本当に)大解剖! 渡り人の身体に隠された衝撃の真実!

あけおめ

アウロンに続く第二の不憫枠、それがアチコチです

まぁこっちはアウロンと違って自業自得だけど……あと普通にゴミクズだけど……

「アチコチちゃん、やっぱり私はキミのことが許せない……だから、いいよね?」

「な、何を言ってるんだアステリアちゃん……こ、こんなことが……こ、こんなことが許されるわけないだろ……!」

「いいじゃん。私たちの仲でしょ?」

「仲間だとしてもやっちゃいけないことというものが……ひぃっ!?」


 びたん!と触手で彼女の体を押さえつけ、即席の手術台にアチコチを固定する。



「大体、キミがこれをやろうって言い出したんじゃないか……」

「そ、それはアステリアちゃんの身体でやる前提で……」

「うんうん、そうだね。やっぱり自分の身体でやるのが一番だよね」

「ア、アステリアちゃん……本当に謝る! 謝るからぁ! こ、これはやめてくれない……かなぁ……?」


 今私が求めてるの謝罪じゃないから。悲鳴だから。



「オリジンズ・ウォー解剖学の進捗は鈍い。その理由分かるかな、アチコチちゃん」

「え、えっと……被験体がすぐに死んじゃうから?」

「被験体がすぐに逃げちゃうからだよ、アチコチ」

「……わ、わかってるってそのぐらい。でもさぁ、これ私でやる必要特にな……待って待ってそのおっきいやつ口に突っ込まないで。分かった、分かったから……うぅ……!」


 ふふふ、分かってるじゃん。それじゃあ始めようか……








◇1時間後



「手術は成功です」

「うぅ……よかった……ふ、ふふ……!」


 途中から隣で見学しだしたラピスに向けて、私はそんな言葉を伝えた。大成功だよ、本当に……



「ぉ……ぁ……」

「な、なんか改めて見ると……やりすぎたかも」


 手術台の上は赤いポリゴンで満たされており、その中心には……アチコチを捌いたものがあった。そうとしか形容できない。


 まぁお仕置きってことで。



「治すの……? それなら、わたしが……」


 ラピスが祈るようなポーズをとる。

 すると、どこからともなく光が差し込み———アチコチの身体がみるみるうちに元の形へ戻っていった。



「うぅ……も、もうお嫁に行けない……責任取ってよね!」

「強かだね。もう一回行っとく?」


 私は指に付着した赤いポリゴンをペロペロしながらそう呟く。



「茶化してすみませんでした。もうしません。許してください」

「ヨシ!」

「じゃあ次はアステリアちゃんの身体を私が弄る番だね! 元々こっちの予定だったし!」


 ……いや、それは許されない。



「ふんっ」


 ぶしゃぁっ!と私の心臓付近から赤いポリゴンが大量に吹き出す。あ、やっばこれBloodが減る……



「んぁ…...」

「あ、ちょっと急にそんなこと……んんっ」


 無意識にフラつき、私はアチコチの身体にもたれかかった。そのまま首筋に牙を突き立て……



「がぶっ」

「!?!?」


 突然のことに驚いているらしいが、とりあえず今は血がヤバいから飲ませて……


 ……んー、まぁそこそこ?



「……よーし、回復。んで、これを……」


 私を解剖しようとした目的って、つまりこれでしょ?

 私は『中』から黒い(・・)臓器を抜き取った。持続的にBloodは減り続けているが、まぁ一旦回復したから少しは保つだろう。



「んん……あ、あぁ! こっちの話だったね……そう、それが取り出せるんなら話は早いよ」

「正直自分でもよく分かってないんだけど、これ何?」


 なんかドクンドクン脈動してるし……心臓ではない?っぽいけどさ。



「その臓器は【“淵月虚殻”アステルス】にも確認されているのは知っているよね?」

「まぁアレ私の()肉体だからね。私があの状態だった時は……まぁ別に弱点ではない、ぐらいしか分からなかったけど」


 なんなのこれ?



「これはオリウォ学会において【カルマ・コア】と呼称されているものでね、瘴気と似た性質を持つ……というか、瘴気への耐性を宿主にもたらす臓器だね」

「へー」

「名前の通り【カルマ】が著しく高いプレイヤーにはほぼ全員、この臓器の発生が確認されてるんだよね。基本は賞金首の討伐証明として使われるんだけど……って、話が逸れたね。んで、ここからが本題で……」


 さっきまで魚みたいに捌かれていたはずのアチコチが、そんなこと無かったかのように元気な笑顔でこちらを見つめ、口を開く。



「この臓器を強化したいんだよ。瘴気に完全適合できるぐらいに、ね」

「強化と言われましても……【カルマ】でも上げるの?」

「それじゃ足りないし、そもそもアステリアちゃんの大々的なお披露目のインパクトは大きくしたいからね。それはナシだよ」

「じゃあどうやって強化するのよ」

「それはね……ヒバナーっ! アレ持ってきてー!」


 ひょこ、と扉の奥から赤い髪が見える。

 ヒバナがこちらへとやってきたのだ。



「出番カナ?」

「はい、てことでガントレット使ってちゃっちゃとやっちゃって」

「任された。せいっ!」


 指が鳴らされ、周囲に光が満ちる。


 光が収まった後、カルマ・コアは私の体へといつの間にやら戻っていて……



「これで強化されたと思う。リソース量的に問題ない範囲の“願い”だったはずだ」

「あんまり変わった感じ無いけどね」

「それはそうだろうけど、ほら……これで確認しなよ」


 そう言いつつ、アチコチは邪悪な棒……?を私へと放り投げた。

 なるほど、瘴気属性持ちの武器ってこと?


 じゃあこれで私の身体に傷がつくかを確認……つかない。

 叩いてもダメ。スキル使いながら自らに攻撃しても傷一つつかない。



「多分成功……?」

「よかった。これなら問題ない……けど、多分この強化は一回死んだら解除されるからそこ注意ね。本番でもストーンの力は使いたいし、クールタイム考えるとこの段階で強化はしとかなきゃダメだったから……死なないように頑張って!」

「うーん、まぁ【灰裏界】でもなきゃ死ぬことはないだろうし……多分大丈夫だよ。多分ね」


 さて、これでアチコチに求められた要素はすべて満たせたかな。



「あとなんかやるべきこと残ってる?」

「ん、んー……何個かあるけど、まぁもう少し後でもいい……あ、でもこれだけやっといて」


 そう言って、彼女は私のフレンドチャットにデータを送信する。これは……ポスター?



「ネクサス・メガロポリスには【宣伝ポスター】というシステムがあるんだ。まぁ悪い大人しか使ってない機能だけど……」

「あー、あの一瞬詐欺に使われそうになってたシステムね」


 あれの対応めちゃくちゃ早かったんだよなー……まぁこういうのにさっさと対応できるのはドリメカの良いところだよ。

 課金システムはもう《自主規制》!《自主規制》!!《自主規制》!!!



「ふぅ……で? これを金払って(リアルマネー)全サーバーに見えるように掲載しろ、ということで合ってる?」

「うん。これのお金は私が……うん……頑張って出すから……」

「……あー、おいくら?」


 アチコチは2本の指を立てる。



「2万円ならそれぐらい払いなよ。そっちがやりたいって言い出したんだし」

「20万……うん、まぁ私が言い出したのは確かだから、これはちゃんと私が払おう……うぅ……うぐっ……うぅぅぅ……」


 なんか目隠し越しに視線がチラチラこっちを見ているような……まぁ気のせいか!



「………………(こちらをじっと見つめてくる)」

「………………はぁ。まぁ、分かった。半分までなら出したげる」

「………………(まだじっと見つめてくる)」


 う、嘘だろお前……!?

 ちょっと本気でヤバい奴だって自覚した方がいいよ!?

 え、これ元々キミがやりたいって事で始まったよね!?


 嘘だろ!?(2回目)



「なんだか、キミがこういう振り回され方してるの珍しいね」

「アタシはあっちゃんのこういうところ、本当にどうにかした方がいいと思う」

「ふふふ……でも、拾い上げたのは……ユキちゃん、だよね……?」

「配信者として生きれる程度までは助けたけど、それとこれとは話が違うからね? え? これ私なにか間違ってる!?」


 普通に考えてそんなことはないはずだが……あぁもう、しがみつくなしがみつくな!



「仕方ないから15万円は出してあげるけど、あとはアチコチが出してね! もうこれ以上は無理だよ!」

「ヤッターッ!!!」


 なぜ私が金を払わなきゃいけないのかはまだ分からないままだが、まぁ今回だけは特別……ん? なんか数年前も同じことした記憶が。


 ……気のせいか!



「ふふふ……これは、まごう事なき……母親、だね……?」


 …………


【綺羅 ヒカリ(アチコチ)】

可憐な名前からは想像できないほどのクズ。

幼少期にあっちこっちフラフラしがちだったため『あちこち』と馬鹿にされたのをそのままニックネームにした。

両親共に他界。

雪宮ユキを母親のように感じている(←!?)

経緯はまぁ……書くかもしれないし書かないかもしれない。



よければ☆☆☆☆☆してくれると嬉しいです。

執筆の励みになりますので。

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