Ep.106 【悲報】サナルガリクさん、普通にクズだった【狂天魔王】
オリジンスキル【彼方此方で紡ぐ物語】
所持者:アチコチ
“魂”が僅かにでも残留している場所で発動可能。既にその“魂”に関する情報をある程度得ているなら、その“魂”が過去に体験した事象を【ムービー】として流す。許可があるならばパーティメンバーも同時に視聴可能。
アチコチ<〜〜〜〜〜という訳でサナルガリクは立ち位置的には“勇者”だったんだよ。文脈的にもこれ以外あり得ない。ストーリーとしては大悪魔の力を借りて現在の魔王に挑んで、退けるけど大悪魔の力に犯されて狂乱、そして死ぬって感じ。魔王を封印した勇者たち、それより前の時代でね。
アステリア<外してたら煽っていい?
アチコチ<マジ絶対これだから。確定なんだよ。もう外すなんてあり得ないレベルだね。
アステリア<ふ〜〜〜〜ん?
◇魔神殿———“天魔王”サナルガリク
『グゥッハッハッハ……フハハハハ!!!』
『うわ、笑い方キショ』
『それアステリアちゃんが言う?』
『え?なんだって?』
豚をそのまま貼り付けたみたいな頭部の人型が、ギシギシと音を立てながら神殿の奥へと歩みを進める。
『ククククク……これでようやくゥ……あのクソオルダリウスを超える力が手に入るゥ……!』
『いいね、噛ませ犬選手権なら予選一位通過だよこれ』
『え、ちょっと待って嘘でしょ……まさかドストレートにやるんじゃないだろうね、これ』
『というか、なんかこの回想だとまわりの風景が普通に明るいんだけど……これは?』
『あー、それは大昔にこの世界が世界樹によって“反転”したからだね』
『へー……あとで詳しく聞こっと』
サナルガリクがその手に持った心臓……?を魔法陣の上に投げ捨てる。
すると、そこから黒い光が漏れ出し———
『オォ……おおぉっ!!! これが、大悪魔……ククククク……クァーッハッハ!!』
灰色の煙が周囲を満たし、やがてそれが晴れた時……そこにいたのは、黒いヤギのような角を生やした長身の女性。
『なんじゃ、妾を呼び出したのは……うげ、なんじゃお主。気色悪いぞ』
『ククククク……この俺様を気色悪い、だと……? 舐めるなよ大悪魔!! 貴様はオルダリウスを殺すための駒にすぎなぐぁぁぁっ!?!?』
大悪魔は特に何もしていないように見える。しかし、サナルガリクの体が自然と持ち上がり……その表情は凄まじく焦燥していた。
『お主、ちと弱すぎるのではないか?』
大悪魔の嗜虐的な笑みがサナルガリクに向けられ、サナルガリクのいたるところから赤いポリゴンが吹き出していく。
『サナルガリク実は凄い人説を唱えていた人は誰でしょうか! ぴんぽん!はい、そこの私! “アチコチさんです”……正解、正解、大正解!』
『随分と……うん、まぁ……ストレートに噛ませ犬だったね……』
まぁ考察って外すことよくあるからね、しゃーなし。でも煽るのはやめない。
『グオォォォォォッ!! ヌォォォォォッ!?!? ウグァァァァァァァッ!!!』
『うるさ』
『マズいね、本当に特に語ることないクズっぽくなって来た……』
『ふはは、少し面白いことを思いついた。どれ、しばし休ませてやろう』
『グゥッ!? ハァ、ハァ、ハァ……』
ずしゃ、と雑に転がされたサナルガリク。その顔は涙と怒りが50:50であった。
『誰だかは知らぬが……おるだりうす?とやらを殺したいのであろう? 手を貸してやる』
『なん……だと?』
『はいこれ頭いじいじされるやつです。理由は私だったらそうするから』
『うん、まぁ……そうだね……』
考察外したのを引きずり過ぎだろコイツ……
『ウグッ!? グァァァァァッ!!!』
『ふはははは! なんとも醜い叫び声じゃな? しかしまぁ、瞬刻の暇つぶし程度にはなったぞ』
『ウゥ……オォォォォォ……おる、だ、りう……す……』
『なんかこの回想シンプルすぎない?』
『おそらく私のスキルが発動する毎に自動生成してるからだろうね。大体こんなレベルのしか見れないよ、事実確認はできるけど……あ、でも元からしっかり設定されてるシチュエーションの場合はもっとしっかりしてるね』
『へー……』
なんか微妙に使い勝手悪いね……とか思ってたら視界が白くなってきた。え?これで終わり?
◇魔神殿———アステリア/アチコチ
この【サナルガリクの加護】とかいうスキル捨てたくなってきたな……分解しちゃお。
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『PP獲得:25』
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うまうまやね。
「ッスゥ———ねぇアステリアちゃん、私もきみの拠点にお邪魔していいかな? 少し話し合いたいことがあるんだけどさ」
「お、話題逸らした」
「それも、あるけどぉ……! 話したいことがあるのは事実だよ。だから、ね? お願い、私も入れて? あと今度ASMR配信一緒にやろ?」
「ふふふ、冗談冗談。ぜひ来なよ、私の国に……もうヒバナが改造しすぎて原型あんまり無いけどさ……!」
ASMR配信は……まぁ、やってあげないことも……ない、かなぁ……
◇神蘇国エル・レイヴィア———アステリア/アチコチ/ヒバナ/狂夜/LapiS.Lazuli
「これは?」
「よくぞ聞いてくれましたアステリアちゃん! それはね……私が書いた“物語”だよ」
「そういえば小説家になりたいとか言ってたね」
「いや、そういう意味じゃなく……」
「ふふふ……アチコチちゃん……また、あなたの書いた小説……読みたいな……」
おいバカやめろラピス! それ掘り出すのは流石に……いや、マジでアレはちょっと可哀想……
「ちぇっ……」
「なんだい、私の知らない話かい?」
「狂夜、人には聞いていけないものっていうのがあるんだよ」
「ふーん……あとでこっそり聞かせてね(小声)」
「おいそこ!何ヒソヒソしてるんだ! 私の話を聞け!」
「「はーい」」
ブチ切れたアチコチ先生が教壇を『ばんっ!』と叩いた。この教壇どこから持ってきたんだ……? というかこの教室みたいな部屋は……?
「暇だったから作ってみたんだよね。ちなみにラピスちゃんからの要求」
「ふふ……だって、この部屋があれば……《自主規制》とか、《自主規制》とか……《自主規制》とかも……」
「よし、ラピス。しばらく黙ろうか」
「しゅん……しくしく、ラピスちゃん悲しいよぉ……えーん」
さっきから話が1ミリも進んでいません。一旦みんなでアチコチ先生の話を聞こう! あの子鬼の形相浮かべてるよ!
今回ちょっと短め。ごめんね!
でも面白かったら☆☆☆☆☆くれると嬉しいな!
【“魔王”オルダリウス】
Ep.68でも出て来てたヤツ。次のメインイベントは彼が敵だとされているが……?
【“天命会総長”斬星】
茶髪ロングお姉さん(スーツ姿で刀を携帯)
アステリアのドッペルゲンガーPart2
アステリアは見た目が自分に似ていたので好きになった
バカ強いけど『そんな力何に使うの???』みたいなストーリーだった“星斬りの物語”さん……(出来自体はとても良い)
今度は活かせるといいね。




