EP5『Code付き』
不意に、ポツリと呟かれた、彼からの一言。
瞬間、高橋くんは一瞬の間に、私を背後に隠し、素早くその場から後ずさった。
まるで、これから危害を加えて来ると察知した動物のような、警戒心を表に剥き出したやり方に、私はすぐには反応出来ず、彼の背中に鼻をぶつけてしまった。
「アンタ、誰です。見たとこ、Originalの個体ですよね。」
見たこともない顔で、高橋くんはじっと目の前の彼を睨みつけている。
髪が明るいピンクベージュの彼は、その長い前髪のせいで瞳が見えない。
故に、何を考えているのか分からず、彼の意図が全く読めなかった。
スラリとした手足の長い体型は、モデルを彷彿とさせるし、瞳が見えないこと以外は、綺麗な白い顔をした男性だ。
シンプルなコーディネートがよく似合っていて、パッと見では、二十代の男性のように見える。
「怒るなよ、俺はその子から絵を買いに来ただけだ。別に何も企んじゃいない。」
「それに準ずる“対価”は?」
「なら、買った分の分前をお前にいくつかやる。俺は、その子の絵に対して“価値”を抱いてる。“価値”がある人間に危害を加えたりしない、それがお前への“対価”だ。」
「………。」
こちらに危害を加えるつもりはないらしく、向こうは両手をあげるような動作をしているが、高橋くんは未だ警戒したまま、私を背後に隠している。
数秒間、お互い何も言わずに睨み合った末、高橋くんは背後にいた私の腕を掴んだ。
「このまま、自分から離れないでください。」
「うっ、わ、」
視線は向こうの彼に向いたまま、高橋くんは私の腕を強く掴んで、私の部屋の前まで近付いて行く。
家の前に佇んでいた彼は、彼が近付くに連れて、危害を加えないという証拠なのか、一定の距離を保ったまま、動かなくなった。
高橋くんに腕を掴まれたまま、何も分からないまま、部屋の前に立つ。
鍵を開けて、部屋に上がり、電気を付ける。
「部屋汚っ、」
部屋を見た高橋くんにそう言われ、私はしょぼ…と何も言えずにちょっと落ち込んだ。
だが、玄関外にいる彼に、先に財布を返した方がいいだろうかと、手を付けずにそのまま置いておいた財布を手に取る。
「アンタ、部屋汚過ぎるでしょ。掃除とかしないんですか。」
「ご、ごめんなさい…」
「そんな言うなら、手伝ってやれば良いのに。」
高橋くんに部屋の汚さについて、軽く説教されていると、玄関外にいる彼が間に入って来た。
「部外者は黙っててください、自立させなきゃ意味ないでしょ。」
「その子に対して、随分知ったような口を聞くんだな。好きなのか?」
「うるせえ。彼女いるんですよ。」
「今時、本命童貞?流行らないよ、そういうの。」
「あ、あの、これ返します。お金に手は付けてないんですけど、本当に、全部買うんですか…?」
財布に関しては、ちゃんと返してから自分の手でお金を渡して欲しいと、私は少し強引ながら、彼の手に財布を乗せる。
「適当に全部抜いても良かったのに。金握らせときゃ、少なくとも、すぐに縁は切れない。はい、これあげる。」
「え、…いや、なんですか、これ?」
財布を返した代わりに、彼が渡してきたのは、分厚い茶封筒。
今度は、警戒してすぐには受け取らないぞ、と、彼を見ると、「気に入らない?」と、胡散臭く口角を上げて、顔を近付けてくる。
「へぁ…?」
確認させるように、彼が茶封筒から半分ほど中身を覗かせると、なんとまあ万札が束になって入ってた。
いかんせん、漫画の中とかでしか見た事のない大量のお金に、現実味がなく変な声が漏れてしまう。
「君の絵画、あの窓際のヤツ以外にもあるんでしょ?俺に全部ちょうだい。」
「ええ…?!」
「ちょっと…この人の絵使って、何する気ですか。大体、アンタ、何者なんだよ。」
申し出があまりにも直球過ぎる。
と言うか、どこから持ってきたんだ、このお金。
胡散臭さに拍車がかかるせいか、高橋くんが敵意を隠そうともせず、彼の身元を聞き始めた。
「ただの大学生だよ。Code付きのね。君の隣の男だってそうだろ?、Code持ってんなら知ってると思ったけど。」
「Code…?」
チャリと音を立てて、彼の首からチェーン付きの何かが見えた。
一見、プレートが二枚通った、ただのチェーンネックレスにしか見えない。
彼のプレートには、小さな赤い宝石のようなものが埋め込まれていて、よくよく見れば、プレートにも何かが記載されている。
何の文字が刻んであるんだろう…と、私が目を凝らそうとした時、不意に高橋くんの首元からも、同じものが出てきたのには驚いた。
高橋くんのものには、青い宝石が埋め込まれている。
「あの…それは?」
「…え、もしかして本当に分からない?知らないでソイツとも関わってたの?」
「…ってことは、高橋くんも…?」
そう言えば、高橋くんもそれらしい会話をさっきしていたような気がする。
Blood Codeとか、Blueなんたらとか、…あと、『対価』と『代償』が何とかみたいな。
それに関連することなのであれば、私は何も知らないし、そもそも、『Code付き』なんて単語、初めて知った。
血液型のことかと思えば、高橋くんも違うと言うし、何のことなのかさっぱり分からないまま、知っているテイで話が進んで行ってる。
「…ま、良いけど。でも、説明くらいしといたら?この短期間に、この子目当てのCode付きが二人居るの、偶然にしては出来過ぎてるでしょ。」
「今からしようと思ってたんですよ。邪魔してんのはそっちでしょ。」
「辛辣だなぁ、そんなに嫌かよ。」
「嫌ですね。Originalは横暴なのが多いんで。」
「そうだな、間違いない。」
ふん、とさして気分を害した様子もなく、彼は口角を上げたまま、私に向き直る。
「悪いんだけどさ、やっぱ君の絵画、全部欲しいって話、一旦保留にして貰える?」
「あ、はい…、じゃあ窓際のヤツも保留にして……」
「いや、それは全部これで買う。」
あ、買うんだ……。
彼は茶封筒に入った万札の束を私の両手に握らせ、「部屋上がってもいい~?」と、玄関に手をかける。
「汚いですけど…、」
「おいコラ、ホイホイ他人の男を家にあげるな、警戒心欠如し過ぎでしょ。」
玄関への道を開けると、高橋くんに半ギレで怒られたが、そのままでいるのもアレだったので、とりあえず全員、家に上げてしまうことにした。
バタン、とドアを閉めて、自分も靴を脱いで、部屋に上がる。
だが。ふと、一足先に部屋にいた高橋くんが、自分のスマホを見て、ため息を着いていた。
「あっ、高橋くん、ごめんね、彼女さんは大丈夫?、もしアレなら、すぐに……」
「いえ、なんか今日、部屋に友達上げてるみたいです。写真送られてきました。」
「あ、そうなんだ…」
「遠回しに今日は帰って来るなって言われてますね、これ。家に友達、泊まらせるみたいです。」
「…ええ、」
高橋くんはため息混じりに返信しているが、それで良いのだろうか…。
「ほ、本当にいいの?、帰らなくても、」
「向こうが帰って来るなって怒ってるんでね。どうしようも。」
それに、元々はネカフェに行くつもりでしたし。と高橋くんはスマホを閉じて、「で、どうするんですか。」と、ピンク髪の彼に視線を向けている。
高橋くんはこう言っているが、彼氏彼女って、そんな冷めてるもんなのか…?
やっぱ、絵画の件があってから、どうも歪になり出している気がする。
彼の心境の変化に、何か関わっているんだろうか…。
「いやぁ…まさかな。」
そんな訳ないかと、首を横に振って、とりあえず私は冷蔵庫を覗いてみる。
お茶くらい出せないかと覗いて見たら、都合がいい事に、ストレートティーの一リットルが入った、ペットボトルを発見した。
「高橋くん、紅茶飲めたっけ…?」
「自分は好き嫌いないんで、なんでもいけます。」
「じゃあ、お茶出すね。」
「そんな気遣いなくていいです。」
「エッ」
急に拒否されて、私は部屋が汚いから、衛生的に無理と言われたのかとショックを受ける。
だが、高橋くんはどうやら、そういうことを言いたいのではないらしい。
ピンク髪の彼に視線を向けて、未だ警戒しているようだった。
「アレにまで気を遣い出したら、どんどん図に乗りますよ。Originalってのは、そう言う個体なんです。」
「あの、高橋くん、そのOriginalとか、Blood Codeって何なの…?」
さっきからよく耳にする、Blood Codeと言う、聞き慣れない英単語のようなもの。
それがそもそも何なのかと、私は高橋くんに話を聞いてみる。
けれども、先に口を開いたのは、リビングで絵画を見ていた、ピンク髪の彼だった。
「Blood Codeってのは、国で管理されている、特殊な遺伝子を持つ人間のことだよ。」
「特殊な遺伝子…」
「ほら、よく居るでしょ。足が早い子とか、勉強が出来る子とか。それの進化系みたいなもんだよ。」
「な、なるほど…?」
なんかこう、超人的な力を持ってるのは分かった。
「そんな子供の夢みたいな、キラキラしたもので作られてませんよ、Blood Codeは。」
「どういうこと…?」
「もっとオブラートに包めよ、一般人には刺激強いって。」
やれやれと言いたげなピンク髪の彼は、高橋くんを軽く窘めながら、話を続ける。
「さってと、んー…どっから説明しようかな。とにかく、Code付きの人間は、身体能力だとか、異様な頭脳ってか、まあ特殊能力を持った人間だってことは覚えててよ。それこそ、身体を改造されてサイボーグみたいになっちゃった奴とかもいるからねえ。」
「は、はぁ…、分かりました…、」
高橋くんや、彼がそうなのであれば、彼らも何か能力的なのを持っているんだろうか。
地頭が良くないので、あまり説明されてもピンとは来ない。
「んでまぁ、本っ当に最初の最初を説明するとね、なんで、Code付きの人間と、そうでない人間の二パターンがあるのかって話なんだけどさ。」
「…?」
「そもそも、Code付きの人間って、なんでCode付きって呼ばれてるか知ってる?」
「わ、分からないです……、国で管理されてるって言うのはさっき聞きましたけど、それと何か関係があるんですか…?」
私がそう言うと、彼は「正解、正解。」と、笑顔で軽く手を叩く。
「俺達、Code付きは、言ってしまえば、存在しているだけで『悪』なんだよ。なぜならば、Code付きは国が作った『兵器』だから。」
「…え?」
兵器……?
彼の言っていることが、上手く飲み込めず、私は困惑して首を傾げてしまう。
「漫画みたいだろ?でも現実なんだ、Code付きは皆、生まれ持った遺伝子によって、性質が異なるけれど、その個体はどれもが『好戦的』で、代償として『命』を求める。生きてるって価値が欲しいんだよ、俺達は。」
「ご、ごめんなさい、わ、分からないです…『兵器』ってどういうことですか…、Code付きは、う、生まれてからずっと、国に管理されてる『兵器』って意味合いにしか聞こえなくて…」
「そうだよ?」
あっけらかんと、彼はケラケラ笑いながら、私の言葉を肯定してくる。
自分の解釈が間違っていると思いながら話したので、それが正しいと肯定され、ますます彼の意図が掴めない。
「原因はね、昔むかし、戦争してた俺達の先祖だよ。在り来りな話、戦争に勝とうとして、ある時、禁忌を犯した。」
「……。」
「まあ、最初は無難に薬物投与から始まったよね。てか、戦争起きてる国には今でもあるでしょ?、そう言う薬物を投与して、戦争でドンパチするってなった時、逃げないように兵士をラリった状態にさせるの。」
それで、いざ戦うってなった時、人を容赦なく殺すための違法薬物の投与。
Code付きの歴史はそこから始まったのだと、彼は呟く。
「初めは、Codeもクソもなかったらしいけどね。だって、そこら辺に横行してる従来の違法薬物の投与だったし。それがどこで間違えたのか、戦争に勝とうとした上の連中は、秘密裏に計画を立てた。」
それが、“Blood Code計画”と称されるもの。
この後、難しい単語が飛び交ったので、私が理解出来る範囲で掻い摘んで説明すると、要は、薬物を摂取した人間の中で、薬物耐性が特に強かった人間を選び出し、血液の中に、別の特殊な薬物を投与した。
その薬物は、国が秘密裏に作った、表には出せない薬物で、普通の人間に投与すれば、まず依存性に苦しみ、その後、薬物を定期的に摂取しなければ、凶暴な性格へと変貌を遂げる。
しかも、薬物を投与すればするほど、凶暴性は増し、最終的に待っているのは、違法薬物を摂取し続けた者達と同じ、『死』だ。
だが、その薬物には、薬物耐性のある者に投与すれば、一定の確率で、超人的な身体能力と、本人が元から持っていた潜在能力を大幅に増強させる効果があった。
しかも、一度投与して適合すれば、依存性もないという、都合のいいおまけ付きでだ。
薬物はOriginal、BlueMoon、Yellow Oneとそれぞれ三つに分類され、最初はOriginalのみが投与されていたが、それに適合出来る人間が極端に少なかった為、Blue Moon、Yellow Oneの二種類が増えた。
しかし、だ。
いわゆる、その薬物の遺伝子を受け継いだ子孫達は、戦争が終わった後も、未だ人間に紛れて、こうして生き続けている。
国に管理されながらも、その性格は異様なほどに好戦的な人間が多く、犯罪を侵しやすい。
Code付きは皆、元は、戦争に行く為に作られた、過去の負の遺産であり、戦争とは、同族を殺す事だ。
極端な話、人を殺す事に抵抗がないようにするために作られた薬物なのだから、それを受け継いでいる子孫が、好戦的になるのは当たり前の話ではある。
……、そう、だから、Code付きは、無意識の内、自分の存在意義の為に、命を賭ける。
戦争のために作られ、それを良しとしなくなった国からは、Code付きとして管理され、マイクロチップが埋め込まれた物資を常に身に付けるように命令される。
何か問題を起こして、捕まった時の身元が、Code付きだと分かるように。
生まれてからずっと、その監視下に置かれ、何をするにも、Code付きであれば制限を課せられる。
逃れられない闘争本能は、同じCode付きと出会えば、基本的に殺し合いに発展し、『命』か、『価値』か、『対価』か、『最適解』か、そのどれかに行き着くまで、戦いは終わらない。
その性質を利用してか、Code付きが犯罪に巻き込まれるリスクだってあるし、その逆、進んでCode付きが、戦えると知って、加担する場合だってある。
どちらにせよ、Code付きは、その事実だけで、疎まれる存在なのだと。
「だからなのかは知らないけどね、Code付きは、基本的に他者との接触を避けるんだよ。つか、興味無いんだよね、健常者って言うか、普通の人間に。」
だって、戦えないから。
戦えないし、Code付きを管理してるのはその健常者だし、Code付きにとって、普通の人間はあまり価値のないものだと認識されている。
なので、興味もないし、自分から用でも無い限り、関わることもない。
Code付き同士が出会ったとしても、中々厄介な話ではある。
好戦的な者同士、出会えば高確率で戦闘、酷いと目が合っただけで、殺し合いにまで発展することもあるのだから。
「__ さて、突然だが、ここで君に質問だ。」
「えっ…」
ニッコリと、彼は片手を体の後ろに回し、空いている手は、私の腰に回してくる。
「今、その好戦的なCode付きが二人、しかも、特にレアなナンバーを持ってる奴らがいる訳だけども、君、どうしたい?」
「どうしたい…??」
「君は、Code付きが無意識下で、生かすことを条件とする場合の『価値』、『対価』、『最適解』のどの要素も持ち合わせてる。完璧な程にね。」
「いや、あの…」
どうしたいって、こちらがどうしてやればいいんだ。
Code付きの話を聞いたとて、私にどういう判断を仰いでいるのか分からないし、元を辿れば、なんでCode付きの話を私にした………、
…?、いや、本当になんで…?
国が絡む重要そうな、彼らの正体の話を、なんで私にしたんだ…?
そんでもって、高橋くんもそう。
彼の話自体に、高橋くんは口を挟むことなく、私に聞かせていた。
Code付き同士は、出会えば、戦闘は避けて通れない。
じゃあなんで今、その判断を私に委ねるかのような質問を、私に投げかけるんだ?
「質問の仕方が悪かったかな?、じゃあ、手っ取り早く行こう。」
私が口を開きかけた瞬間、ヒュッと鋭い何かが、私の顔の真横を通り過ぎて行った。
その次に聞こえてきたのは、ガキンッ!と言う、重い金属音。
金属同士が擦れてキリキリと音を立てている。
私の顔の真横で。
ナイフと、包丁が、彼と高橋くんに、それぞれ突き付けられている。
「俺、基本、ナイフあんま使わないんだよね。どっちかてぇと、オノとかが好き。」
「俺もですよ、即席で家庭用の包丁使うことになるとは思いませんでした。」
そもそも、目の前の彼は、体の後ろに利き手を回した時点で、すでに得物となる武器を所持していた。
私と密着することで、彼は高橋くんにのみ狙いが定まるよう、傷付けないように敢えて接近することを選んだ。
無い頭で、その考えを捻り出す頃には、彼らの次のフェーズが始まっていた。
私は彼らの間から押し出され、勢いよく尻もちを着く。
「そうそう、Code付きは、自分の主人を選ぶ権利があるんだ、知ってる?」
キィン!と音を響かせながら、彼は、高橋くんから距離を取り、私に話しかける。
「|Blood Code Type :Original、first.7《ブラッドコード タイプ オリジナル ファーストセブン》、主人は君がいい、生かすも殺すも、君次第だ。」
あ、肝心なこと忘れてた。
彼はハッとして、そう言えば、と、この局面で話を続ける。
「俺、佐藤な。あのBlue Moonと同じく、佐藤くんって呼んでくれよ、俺の事も。」
人の良さそうな胡散臭い笑みを浮かべて、彼は襲いかかってくる高橋くんを軽くいなす。
「ダメです。自分は許しませんよ、こんなヤツと関係を結ぶなんて。」
「それを決めるのは、お前じゃない。」
懐に入ってきた高橋くんの胸ぐらを掴み、勢いのまま彼が投げ飛ばすも、まるで猫のように音も立てず綺麗に着地する高橋くん。
まずい、このままでは家の中で、本格的に殺し合いが始まってしまう。
「お互いこの子狙ってんならさ、まどろっこしいこと無しで、生き残った方だけでいい。価値か、或いは命を。」
「自分はそう言うの好きじゃないです。でも、アンタは気に食わないんで、それでいいです。対価か代償、或いは、その命を。」
「猫かぶりめ。」
「飼ってると、だんだん性質が似て来るんですよ。」
二人は会話をしているだけなのに、空気に飲まれて、口が開かない、声が、出せない。
殺し合い、が、始まる。