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マヴロス大陸開拓記  作者: おおらり
4. 探す意味
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魔王アステル、エオニアを歩く


 魔王アステルは、エオニアの首都を歩いている。彼は、少年の死体を探していた。


 黒いローブのフードを被らずに顔を晒していても、魔力を隠しているだけで誰もアステルに気がつかない。

 ときおり視線を感じても、金髪碧眼の見目麗しい青年がいるなあという程度のもので、魔王だなんて微塵も思われていないようだ。


(何百年も、引きこもりすぎたみたい)


 アステルの話なんて、御伽話の類なのかもしれない。先代魔王カタマヴロスと同じだ。


 引きこもって物語を読み耽るうちに、アステル自身が物語になっている状況にアステルは笑う。



 街の広場の噴水の近くに、アサナシアの像があった。聖女アサナシアの意匠のようだ。


 タフィ教の生き神アステルは、アサナシア教の女神 アサナシアに祈る。


「アサナシア様 人間も魔物もみんなが、仲良くできるように見守っていてください。

 ぼくは魔王カタマヴロスの意志を継いで、みんなが仲良く楽しく暮らせる世界をつくります。

 だからどうか、見守っていてね」


 アサナシアの像は、アステルにやさしく微笑んでいる。アステルも、微笑みを返す。


(ぼくはずっと、タフィ教とアサナシア教がどうして喧嘩しているのかが、わからなかったんだよね)


(ぼくの中の魔王カタマヴロスの記憶が、アサナシアを愛しているって、ずっとそう 伝えてくるからね)



 昼下がりの広場には、遊ぶ子どもたちが走り、親が子をたしなめ、店先で店主と客が喧嘩をしている。年老いた夫婦が語らい、楽しそうに議論する若者たちのそばで、旅人が歌を歌ってお金を稼いでいる。


 彼らはアサナシア像を見てはいない。彼らにとってその石像は、ただ、そこに自然にあるものだ。


 思い思いにそれぞれが過ごす広場にて。

 アサナシアの像は平和の象徴のように、人々に微笑み続けている。


(マヴロス大陸開拓記 おわり)


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