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マヴロス大陸開拓記  作者: おおらり
4. 探す意味
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苦しみの名前


 こころは、苦しい。


 けれど肉体を失ってからはずっと、以前よりも思考がはっきりとしていた。闇のなかは、あたたかかった。あなたと私の魔力が混ざって、ひとつになれて嬉しかった。


 私は闇のなかで光り輝いている。

 今の私は、神聖力のかたまりだ。



 あなたは、私を探して、指先に触れる。


「アサナシア、戻ろう」


 城の寝室へ行こう、もう一度眠ろうと、促す。


「アサナシア、」


 私に触れるたびに、あなたの指先は焼け爛れる。魂から悲鳴がきこえる。

 けれどあなたは、あなた自身が損なわれることに、気づかない。


 なにも気づかず、私に笑いかける。

 



 ある日、可愛らしい女の子が闇のなかにやってきて、私に言った。


「アサナシア様、私ととりかえっこしませんか?」


 救いの手を伸ばしたいと、彼女は私に微笑んだ。


 苦しみから逃れる方法なんて、あるのかな。


「私が『魔王の花嫁』を代わりますから――」


 その瞬間に、わかった。

 救いの手なんて、いらない。


 あなたのとなりをとられたら、私には、もうなにも残らない。

 あなたを知らない私は、私ではなくなってしまう。



 あなたを愛するから、苦しい。

 私の苦しみに名前をつけるなら、それはあなたの名前だ。


 だから、私の苦しみは、私だけのもの。


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