28/37
28. おなじこと
※ アサナシア視点です。
ふたりの男は、私に同じことを言った。
銀髪の男は私に、小さな金色の剣を握らせて言った。
「アサナシア、この剣で魔王を封印するんだ。
そうすれば僕たちは夫婦になれる。
ようやく神様のもとで、愛しあうことができるからね」
黒髪の男はある日、鏡台から金色の剣を見つけた。
もう、どうでもいい。
ベッドの上で身を起こすだけの私の手に、男はそっと金色の剣を握らせて。ベッドの端に腰掛けながら、こう言った。
「アサナシア、俺を封印していいよ」
優しい眼差しで手を伸ばし、私の髪を撫でた。
「それでおまえが、生きる術を得られるのであれば、それでいい。
どのみちアサナシアがやらずとも、俺は封印される。それなら、おまえにやってほしい。
長年連れ添った、おまえに」
ふたりの男は、私を、思い通りに動く『なにか』だと思っている。
私を助けられるのは、私だけ。




