お客さんの数
忍者の里で野球の試合が始まろうとしていた。『プロ忍者リーグ』の公式戦だ。
ところが、野球場の中にお客さんの数が少ない。客席にいる人の数は「まばら」だ。
その原因ははっきりしていた。
今日はすぐ近くで、年に一回の『手裏剣安売り市』が開かれている。そっちの方は大盛況だ。『ハンゾー商会』の『かわいい手裏剣シリーズ』が特に人気を集めているらしい。
そっちのイベントにお客さんをとられたために、野球場の方は寂しいことになっているのだ。
さすがにお客さんたちも、「今日は人が少ないな」と感じていた。
そのあとにする行動はだいたい同じだ。相手チームを応援しているお客さんたちを、目で数える。
(あっちよりは多いはず)
しかし、すぐに気づく。
(あれ? ひょっとして、こっちの方が少ない?)
だったら、こうする。『分身の術』だ。えい!
それを見て、相手も動く。『分身の術』を使ってきた。
みるみる内に、お客さんの数が増えていく。
そんな光景を見ながら、野球場のオーナーはスタッフに尋ねた。
「本日の観戦チケットはどのくらい売れていますか?」
「今のところ、百三枚です」
「そうですか。ありがとう」
野球場は今、お客さんでごった返している。
さらに質問するオーナー。
「ビールはどのくらい売れていますか?」
「今のところ、十二杯です」
「そうですか。ありがとう」
野球場は今、お客さんがあふれ出していた。見た目の数なら二万人以上いる。
オーナーとスタッフはため息をついた。
次回は「春季キャンプ」のお話です。




