苦手な球場
この球団は一年に何試合か、日本各地の地方球場でも試合をしている。いろいろな地方に行くのは楽しい。
ところが、そんな地方球場の中に一つ、苦手な球場がある。
その球場だと、なぜか勝てないのだ。去年までで十連敗。
そうなる理由はわからない。心当たりも特にない。
なのに、なぜ負けるのか? まるで呪われているとしか・・・・・・。
そこで球団は考えた。そうだ、お祓いをしてもらおう。
さっそく神主さんを呼んで、その地方球場でのお祓いをお願いした。
すると、試合に勝つことができた。連敗は十でストップ。やったね♪
そして、翌年も神主さんにお祓いをしてもらう。今年も勝つぞー。
しかし、負けた。ぼろ負けだった。
その翌年にもお祓いをしてもらう。ただし、去年は神主さんが一人だったが、今年は二人にしてみた。これで効果が上がるはず。
すると、試合に勝つことができた。
球団は考える。これは攻略法を見つけちゃったかも。毎年、神主さんを一人ずつ増やしていけばいいのでは?
そういうわけで、その地方球場では毎年、神主さんたちにお祓いをしてもらっている。
今年は十八人だ。神主さんたち、どうぞよろしくお願いします。
で、球場にやって来た神主さんたちは、片方のベンチ前に集まると、全員で円陣を組んだ。
「神主ー!」
一番ベテランの神主さんが大声で言うと、他の神主さんたちが、
「ファイトー!」
こうやって全員で気合いを入れるのが、お祓いをする前の恒例になっていた。
今年から加わった神主さんだけが、少し驚いている。これも恒例だ。
このあと十八人の神主さんたちはお祓いをするため、球場の各所に散らばっていった。
次回は「吹奏楽部」のお話です。