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98.ハンドパワー



 私はニサラキの街に居るドワーフたちの治療を行った。

 凍傷となっている部位を一度破壊し、再生する。


 それによって皆を、驚くべき早さで治すことができた。


「神だ……」「獣医神ジーク様のようだ……」「いや聖女神キリエライト様の再臨だ……」


 私が治したドワーフさん達が私に感謝してくる。

 良かった。皆が無事で。


「あの……すみません……副王様」

「どうしました?」


 集会場で治療を行っていた私のもとに、一人の女ドワーフが近づいてきた。

 女ドワーフは、車椅子に乗っているドワーフを連れてきていた。


「そちらの車椅子に座っているおかたは?」

「主人です。ただ……現在植物状態でして」

「なんと……植物状態……」


 確かに車椅子に座っているドワーフは、うつろな目をしていた。

 こちらが近づいても一切反応を示さない。


「主人は数年前、鉱山での作業中に頭をぶつけてしまったのです。そのときから、植物状態になってしまい……」


 うっ、うっ、と奥さんが涙を流す。

 なんて痛ましい……。可哀想に。


「何人もの医者に診てもらいましたが、全員が匙を投げ出しました。そんな折、ドワーフたちを次々となおしてくあなた様がここにきたので、一縷の望みをかけて……」

「事情は、理解しました」


 私は植物状態のドワーフのもとへしゃがみ込む。


「おいおっさん。どうやって闘気で治すんだよ?」


 人間姿の古竜が尋ねてくる。

 まだ闘気を使うとは言っていないのだが。


「さっきのドワーフ連中のように、ぽーん! って頭を破壊、からの再生するのかい?」

「いえ、脳の治療には、繊細さが必要となります。先ほどのように、破壊&再生では治せません」


「じゃあどうやって治すんだよ」

「ふふ……」

「は? 何笑ってるんだよ、きしょくわりぃ……」


 私は言う。


「いえ、私のことを信頼してくれてるんだなと思って」

「はぁ? 信頼だぁ?」


「ええ。脳という、ブラックボックスを、私ならば、治せると、古竜さんは信頼してくれてるのですね」


 そうやって人から信頼してもらえるのはうれしい。


「いや、信頼っつーか……どうせ治せるんだろ? 正直ワンパターンだなっていうか……あきれてるっていうか……」


 信頼には応えたいし、泣いてる奥さんを笑顔にしたい。

 私は旦那さんの頭に手を置く。


「で、結局なにするのさ、おっさん」

「白色闘気を流し込み、壊れた脳細胞を再生します」


 白色闘気を付与することで、細胞を超活性化させることができるのだ。


「脳みそって頭蓋骨っていう、かったい殻に守られてるんだろ? 大丈夫なのかよ?」

「確かに、このままでは闘気は頭蓋骨に邪魔されて、上手く流し込めないですね」


「んじゃどうするのだよ」

「こうします」


 ずぶうぅう!


「ほげえええええええええ!? ゆ、ゆ、指を頭にぶっさしたぁ!?」


 私の両手の五指が、頭蓋骨に刺さる。


「いやそれどうやってんだよ!?」

「闘気です」

「またかよ!」


「闘気で指を強化し、頭蓋骨に刺しているんです」

「死ぬわ! 頭が穴だらけになっちまうだろうが!」


「死にません。指の周りの闘気で、頭蓋骨の穴を常に治療してますので。治療後指を抜いて穴を塞ぎます」


 指が脳に到達する。

 いまだ!

 私は一気に白色闘気を流す。


 傷ついてる脳細胞の場所はわかっている。 そこを正確に、それ以外を傷つけないように、正確に治療する。


 そして……指を抜いた。


「ほ、ほんとだ……穴がふさがっていく……」

「う、うう……」


 ゆっくりと、旦那さんが目を開ける。


「あなた! あなたぁああああああああああああああああああああああ!」


 奥さんが旦那さんの体にしがみつく。


「お、おれはいったい……?」

「ずっと植物状態だったのよぉ! それを、副王様がなおしてくださったの!」


 旦那さんが涙を流し、何度も頭を下げてくる。


「ありがとう……ありがとう! あんたは神様だ!」

「本当にありがとうございます! 神様!」


 良かった。治すことができて。

 しかし、おやおや。


「当然のことしたまでです。それに、私は神ではありません。ただの、人間です」


 そんな私の頭を……。


「いや! 頭に指ツッコんで、脳みその治療しちまうやつの、いったいどこが人間だっつぅんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 って言いながら、古竜が頭をはたいてくるのだった。

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