96.凍りつく街をとかす
天王剣を使い再び転移。
そこから、古竜の背に乗ることしばし。
私達はカイ・パゴスへと到着した……のだが。
「これは……どうなってるのじゃ!」
ドワーフであるガンコジーさんが、目の前の惨状を見て、驚愕する。
『うっわ……氷付けになってるよ……さむぅ……』
私達がいるのは、カイ・パゴス北部の港町、ニサラキの街。
街は……完全に凍り付いているのだ。
建物、地面。
海に……そして、人も。
港近くの海は完全に凍り付いていた。
そして街にある生物、非生物問わず、すべてが氷の中に閉じ込められている。
『街が完全に凍り付いてるぜ……』
「なんということじゃ……」
『ここだけなのかな? 他の街も同じ状況かもしれんねえな』
「…………」
ガンコジーさんの表情が暗くなる。
それはそうだ。
ここは彼のふるさとなのだ。
故郷が失われたら誰だって悲しいだろう。
私だって、デッドエンド村が消滅したら……。
いや、今はそんなもしもを考えてる場合じゃない。
「大丈夫ですよ、ガンコジーさん。私がなんとかします」
ガンコジーさんの表情が少し明るくなる。
『でもよぉ、街全体がこーんなカチコチになってるんだぜ? どうやんだよ? 剣でぶった切るの?』
「中の人たちが砕け散って死んでしまいますよ」
『あ、わかった! 炎であぶって溶かすんだな』
「そうですね。方針としてはそうなりますね。ただ、並の炎で溶かせるか……」
『お? 出番か? ちっ。しゃーねえなぁ。まあ最近おれって驚くかツッコミしかしてねえからよぉ。ここらでいっちょ、古竜らしいとこ見せてやっかぁ!』
別にあおったつもりでもないのだが、古竜はなんだか勝手にやる気になっているようだった。
古竜は息を吸い込んで……。
『新ドラゴン・ブレス!』
古竜は上空から炎を吐き出す。
青い炎が氷を包み込む。だが……。
『ほげぇ! 全然とけねえ! くそぉおおおおお!』
闘気で強化された竜の息吹でさえ、この氷を溶かすことはできないようだった。
「そんな……古竜の炎ですら……とけないだなんて……」
落ち込むガンコジーさん。
そんな顔を、しないでほしい。私の前では、皆が笑っていて欲しい。
「任せてください。ガンコジーさん」
たんっ! と私が古竜の背から飛び降りる。
「極光剣。赤の型。【炎蛇】!」
私が木刀を振るう。
闘気が炎へと性質変化する。
巨大な炎の蛇が出現し、街を覆う氷にまとわりつく。
ジュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
『なにぃいいいい!? おれの炎ですら溶かすことができなかった氷を、軽々と溶かしやがるだとぉおおおおおおおおおおお!』
やがて、水蒸気が晴れると、そこに氷は一切無かった。
「す、すごい……」
『またおれ引き立て役になってんじゃねえかよぉお! なんかおれこんな役ばっかりじゃね!?』
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