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93.おっさん、沈没船を引き上げる

93.


 私は海王を舎弟にした。

 これで海に平和が訪れたわけだ。良かった。

「それで……海王。これはいったいどういうことでしょう?」


 海底には、たくさんの船が沈んでいた。いわゆる沈没船というやつだろう。


『すまないのである……兄さん。我がやってしまったのである……』


 海王のすみかにはたくさんの沈没船がある。

 おそらく海王が船を沈めていたのであろう。

 木の腐り具合から、かなり前からの犯行だと言うことはわかった。


 ……ふむ。

 しかし解せないことがある。


「海王さん。人間の死体が一つも無いのがきになります」

『え? あ、ほんとだ。おっさんのいうとおり……船はあるけど、船乗りたちの遺体はみあたらねえぜ』


 クラーケン曰く、海王は人間を贄に欲していたと言っていたはず。


『実は、ここ最近の記憶がないのである』

「と、言いますと……?」


『昔から、船を沈めていたのである。でもそれは、人間たちの持つ宝石などの貴金属が欲しかったからやっていたのである』


 ふむ、本当だ。沈没船の隙間には金銀財宝がたくさんある。

 けれど、白骨化した死体は見当たらない。


『つい最近……であるかな。なんだか人間を襲わないといけない気持ちになっていたのである』

「そうですか……」


 なぜ急に人を襲うようになったのか。

 そして、襲った人間たちはどこへ行ったのか……。


 わからないことは多い。

 だが、海王の闘気オーラを見れば、嘘をついていないことはわかる。


 彼はどうして自分が急に人を襲うようになったのか、本気でわからないようだ。

 となると、海王に【何か】を施した、黒幕が存在する。


「君をそんなふうにした、黒幕に心当たりは?」

『すまいのである……兄さん……』

「わかりません……か」


 それについて考えるのは、今は辞めておこう。

 それよりも、だ。


「今はこの沈没船を、元の持ち主に返すことにしましょう」


 この沈没船には元々の持ち主が存在する。

 海王のせいで鎮められた船を、元の元主に戻す義務が、私にはある。


 きちんと返して、やったことをわびないと。

「副王よ。どうするのじゃ? 船は海底にあるのじゃぞ?」

『しかも沈没船は、かなりの数あるんだぜ? 全部海上に持ってくにしても、結構時間かかんじゃねーの』


 おや。おや。


「大丈夫ですよ。簡単です」

『簡単って……どうやるんだよ?』


 私は木刀を構えて、ぐっ、と腰を落とす。


『あ、やっべえ! 逃げろおまえら!』


 古竜が海王とガンコジーさんに言う。

 私はぎゅっ、と木刀を握りしめて技を放つ。

「極光剣。緑の型。【旋風】!」


 ぐるん! と私は体を回転させて斬撃を放つ。

 斬撃はうずとなり、それは激しく回転し出す。


 ごおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!


『どひー! んだよこのすげえうずしおぉ!』

『我が作ったうずしおよりも、遙かに勢いがあるのである!』


 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 海底にあった沈没船達は、私の放った旋風にのって海上へと向かっていく。

 さながら、台風にぶつかり、宙を舞う木の葉のようだった。


 私が発生させた渦巻きは、深い海の底から、海上へと伸びていく。

 その回転に乗って、沈没船はすべて、海の外へと飛んでいった。


『ほげええええええええええええ! おれまで巻き込まれるぅううううううううううううううう!』


 古竜が回転しながら海上へと向かっていく。

 海王の背に乗って、私とガンコジーさんも続く。


 ややあって。

 海上には何隻もの船が浮かんでいた。


「よし、あとは元の持ち主のもとへ……って、どうしました? 古竜さん?」

『いや……なんというか……おっさんって何もしないほうがいいんじゃね? あんたの剣術って、自然災害とほぼイコールだぞ』


「ふう……そんな大げさな」

『おおげさじゃねえええええええからぁ!』

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