90.超人おっさん
90.
海底に住むという海王を討伐することになった。
『本当に海の中で呼吸できる……』
古竜の背につかまり、海底へと向かう私達。
古竜、そして私達の顔面の周りには、緑の闘気で覆われている。
風を発生させる闘気をまとうことで、こうして海底でも呼吸、そして会話が可能なのである。
『闘気やべえわやっぱり……。一番すげえのは、お手軽に超人を作り出すあのおっさんだけど……』
おや、おや。何を的外れなことを言ってるのだろうか。
「お手軽に超人なんて作れませんよ」
『いやあんたに関わった人間全員もれなく超人にレベルアップしてるじゃん! すごいんだって!』
「いえ、関わった人たちがみな才覚に優れた人物だったというだけですよ。私はきっかけを与えただけにすぎません」
『謙虚通り越して嫌みにきこえんだけどよぉ~……』
さて。
そんな風に無駄話をしてると……。
『【うずしおだっ。逃げろ】だってよ』
クラーケンが触手で前方を指す。
確かに、かなりの大きさのうずしおがこちらにやってくるのがわかった。
『おっさんどうする? 一端海上にあがるか?』
「いえ、そんな暇はありません」
私は海中で木刀を構える。
『まさかと思うけど、あのうずしおをぶった切るなんてことはさすがに無理だよな?』
私は木刀を振り上げる。
『いや、無理だよな?』
そして振り下ろす。
『無理だよね!?』
ずばん!
振り下ろすと同時に海が割れる。
海が左右に割れたことで、海流はそもそも消滅した。
そしてまた海が元通りになる。
「よし」
『よしじゃねえええええええええええええええええええええ!』
古竜が声を荒らげる。
「おや。どうしました?」
『どうしました、じゃねえよ! なにさっくり海割ってるんだよ!? しかもここ海中! 地上のように剣は振れないだろうが! つーかそもそも闘気を生み出すときって、呼吸が必要なんだろ!? 海の中でどうやって呼吸するんだよ!?』
おや、おや。
この子は結構ツッコミを才能があるようだ。
「簡単です。闘気で体を鍛え、思い切り海をぶった切った。それだけです」
『いやだから、闘気は自然エネルギーを特殊な呼吸ををつかって取りこむのが必須じゃん? どうやってんだよ?』
「はは、これはおかしなことを言う」
『今んとこおかしなこといってるのあんただからね!?』
「海だって自然の一部です。海中にも闘気の元となる自然エネルギーであふれているのですよ?」
海中のエネルギーを取り入れることで、闘気を練り上げているのだ
『……肝心の、海の中で呼吸する方法は?』
「水の中にも、酸素分子が含まれておりますのでそれを……」
『あ、いいや。どうせ理解できないしおれには……』
はぁ、と古竜が大きくため息をつく。
おや、おや。そんなに難しいことだろうか。水に含まれる酸素分子だけを選んで、呼吸すること。
まあ、常人には無理だろうが。
闘気使いなら、これくらいはできるはずなのだが。
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