表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/153

84.古竜を国王に謝罪させる

84.


 あくる日、王都エヴァシマに来客があった。

 同盟国ゲータ・ニィガから、国王がやってきたのである。


 謁見の間にて。


「パパ! ひさしぶりね!」


 私の妻にして、ゲータ・ニィガ王女のスカーレットが、国王を出迎える。

 国王は微笑むと、娘の頭を撫でる。


「久しぶりだなスカーレット。元気そうで何よりだ」

「うん! 元気よ元気! 毎晩アレクに可愛がってもらっているわ! 元気な赤ん坊がうまれるのも、時間の問題ねっ」


 確かに毎晩のように、スカーレット姫は私に抱かれにくる。

 王族としての義務……というより、私との行為を楽しんでいる。


 そして、私の子をなすことを喜んでくれてるのが伝わってくるのだ。

 

「そうか。それは楽しみだ。有能で優秀なアレクサンダー殿との子ならば、優秀な子供になるだろうからな」

「当然よ! 生まれ来る子が女だろうと男だろうと、世界一凄いアレクの遺伝子を継いでるんだもの! 明るい未来が確約された、将来有望な子が生まれてくるに決まってるわ!」


 さて、と王が話を切り出す。


「今日ここに来たのは他でもない。アレクサンダー殿。こたびは、古竜の脅威から、我らを救ってくださったこと、誠に感謝申し上げる」


 古竜の……脅威?

 はて?


「古竜の脅威なんてありましたか?」

「あったじゃないのよ。ほら、最近ハーレム入りしたあいつを、アレクたちがボコボコにしたでしょう?」


 あー……。

 あれのことか。


 しかし、おや、おや。

 あんなのが脅威だったなんて。


「わざわざ感謝しにきてくださって、ありがとうございます。ですが、あれは私というより、わが国の兵士たちが対処してくれましたので。感謝の言葉は兵士達にあげてください」


 すると国王がきょとんとした顔になる。

 おやおや。どうしたのだろう。


「聞き間違えだろうか……? 兵士達が、古竜を対処したと? やっつけたのか?」

「はい。まあ、殺しはしてないですが」


「殺してない……?」

「ええ。竜は倒さず、私の従魔にしました」


 私は窓の外に向かって言う。


「隠れてないで出てきなさい」


 窓から一人の美女が飛び降りてきた。

 灰色髪に、竜の角と尻尾を生やした女。


「そのときの古竜です」

「どーも……あんときボコボコにされた古竜です……」


 苦い顔をして古竜が言う。

 トイプちゃん達にボコられたときを思い出しているのだろう。


「信じられん……アレクサンダー殿は、古竜を従魔にしたと!?」

「はい。なので、もう彼女が貴国に迷惑をかけることはありません。そうですね、古竜?」


 古竜は「へいへい。さーせんした」と失礼な態度を取る。

 ふむ……。


「オシオキが必要ですかね……」

「ひぎぃいい! ちゃんと謝りますぅうう!」


 古竜はその場で四つん這いになり、頭を深々と下げる。


「このたびはゲータ・ニィガの皆さんに迷惑をおかけして、たいっへん! 申し訳ありませんでしたぁ!」


 よしよし、ちゃんと謝れて偉い。

 すると国王は目をむいて、呆然とつぶやく。

「古竜を完全に従えている……。やはり、アレクサンダー殿は……すごいな……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ