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82.最強ドラゴンをしたがえるおっさん

82.


 古竜を従魔にした。

 灰色髪の美女となった古竜を連れて、一度エヴァシマへと戻ってきた。


「きゅ! おかえり~♡」


 ミスリル・ドラゴンのリルちゃんが、人間姿で駆け寄ってくる。

 私は正面からりるちゃんを抱きしめてあげる。

 

 すりすりすり、と彼女が頬ずりしてくる。まだ子供の彼女は、とにかく私に甘えてくるのだ。

 あまり甘やかすのもよくないとはおもうが、この子の身の上を考えると、どうしても厳しく育てることができないでいる。



「きゅ? そっちも、りゅー?」


 リルちゃんが古竜を見て言う。

 りゅー? 

 ああ、竜のことか。


「そうですよ。今日から仲間になったドラゴンです」

「きゅ! ともだち!」


 てててっ、とリルちゃんが古竜に近づいていく。

 古竜は……どさっ、と腰を抜かした。


「あば、あばばばば……」

「どうしました、古竜?」


 古竜が白目をむいてひっくり返る。

 何か悪い病気にでもかかったのだろうか。


 しかし闘気オーラをみるに、健康体であることはわかる。

 闘気オーラのゆらぎから察するに、何かに怯えてることがわかった。


 私は彼女に近くに座り込み、体に闘気オーラを流す。

 闘気オーラの流れをよくすることで、精神が安定し、心を落ち着けることができるのだ。


「かはっ! はあ……はぁ……悪い夢を見てた」

「悪い夢?」


「ああ。あの伝説のドラゴン、ミスリル・ドラゴンと遭遇してしまったっていう悪夢だよ」


 夢……?


「りる、ミスリル・ドラゴンだよ?」


 はいはい、とリルちゃんが手を上げる。

 どさっ!


 古竜が再び気を失ってしまう。そして……。

 その、なんといいますか……。


「きゅ? あ、おもらししてる。おとななのにー」


 おや、おや。

 古竜が気を失ったまま失禁してしまっていた。


 私はすぐさま赤色闘気を流して、出してしまったものを蒸発させる。


「このりゅー、どうしたの? さっきからりるをみて、怯えてる……?」

「みたいですね。どうしたのでしょうか」


 私は再び古竜に闘気オーラを流す。


「起きましたか」

「はひ……」

「いったいどうしたのですか、先ほどから怯えてるようですが」


 すると古竜が説明する。


「だって……そいつ。ミスリル・ドラゴンじゃないか……」

「そうですね」


「そうですね!? いやいやいや! 古竜のなかでもトップクラスの強さを持つドラゴンの一角じゃないか!」


 ふむ……?

 そうだったのか……?


「りる、つよいの?」

「ひぎ! たべないでぇええええ!」

「りる、たべないよ?」


 完全に怯えきってる古竜を見るかぎり、ふーむ、本当のようだ。

 確かにリルちゃんが暴れていたときは、鎮めるのに少し手こずった。


 強いか、そうじゃないかと聞かれたら、まあ一応前者と答えるだろう。

 でも、だ。


「そんな怖がる必要ないですよ。こんなにも可愛いドラゴンじゃないですか」

「きゅい!」


 リルちゃんを抱っこする。

 彼女は私にくっついて頬ずりしてきた。


「ミスリル・ドラゴンをも配下に加えてしまうなんて、やっぱこの人ばけもんだ……」

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