【連載版】おっさん剣聖、獣の国でスローライフを送る～弟子に婚約者と道場を奪われ追放された俺、獣人国王女に拾われ剣術の先生となる。実は俺が世界最強の剣士だったと判明するが、泣いて謝っても今更戻る気はない

73．性質

　転移門を完成させた私。

　これで私がいなくても、鉱山と王都を行き来できるようになった。

　私たちは採取した魔銀をもってエヴァシマに戻った。

　ガンコジーさんに武器を作ってもらう。

　結果、兵士たちは全員ミスリル剣を装備しパワーアップした。

「もう少し強化したいですね」

「いや、十分でしょう？」

　エヴァシマ、工房にて。

　魔銀武器を手に取る私。エルザが呆れたように言う。

「現状で最強武器でしょこれ」

「まあ確かに。ただ、もう一段強化したいです」

　さっきファルに魔銀を食わせたときに、気づいたことがある。

「魔銀にはその人の持つ闘気《オーラ》を吸収して、変質する性質がある気がしました」

「つまり？」

　私は赤色闘気をバーマンの剣に通す。

　すると、魔銀の剣の刃の色が赤色に変わる。

「バーマン、これを」

　バーマンは赤色になった武器を手の取る。

「お！　これ、闘気をさらに通しやすくなってる！」

　やっぱりそうだ。

　そういう性質が、ある。

「ミスリルにそのような性質があるとは。それに気づくとは、さすがじゃな副王」