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70.またしても前代未聞

70.


 私とバーマンは一端エヴァシマにいる、治癒神エルザのもとへ向かう。

 天王剣を使えば一瞬で行きたい場所へいけるので便利である。


「はぁあ……」


 エルザの診察にて。

 彼女は私を見て深々とため息をついた。


「どうしました?」

「……何度見ても、規格外だなって思ってね」


「?」

「古代魔法である転移魔法を、そんな風に軽々使われると……魔法使いとしての自信を失ってしまいそうで」


「大丈夫です、エルザ。これは魔法ではなく、剣術ですから。魔法使いとしては貴女の方が上ですよ」

「………………ありがとう」


 疲れ表情のまま、エルザが尋ねてきた。


「それで、どうしたの?」

「実は見て欲しいものがありましてね」


 私は採取してきた魔銀を、エルザに見せる。

「な、なにこれ……?」

魔銀ミスリルです」

「ただの魔銀ミスリルじゃないわ! こんな凄い魔銀ミスリル……初めて見た!」


 表情を一転させ、エルザが目を輝かせながら言う。


「凄いわこの魔銀。魔力伝導効率が桁違い。しかも大気中に微細な魔力を自ら吸って、硬度を底上げしてる! 素晴らしいわ……!」


 ふむ、どうやら通常の魔銀ミスリルとは異なるものになっているようだ。


「どこで手に入れたの!?」

「手に入れたっつーかよぉ、先生が作ったんだよ」


 バーマンが答えると……エルザは目を丸くし、口をぽかんと開く。


「ど、どういうこと……?」

「だからよ、魔銀に闘気を流して、新しい魔銀を作っちまったんだよ」


 エルザが頭を抱える。どうやら理解できないようだ。

 私は自分の理論を説明する。


 細胞を闘気で増殖させられるなら、ミスリル・ドラゴンの血液である魔銀も、闘気で増やせるのではないだろうかと。


「…………聞いたことないわよ」

「なるほど、こんな魔銀の製造方法を聞いたことないんですね」


「そうじゃなくて!!!!!!!」


 ……おや?

 そうじゃない。


「魔銀を人工的に作るなんて方法! 聞いたことないわって意味!」


 ……なる、ほど。

 長生きしてて、博識なエルザですら、魔銀を人工的に作る方法を知らないってことは、私のやったことは前代未聞ってことだ。


「先生やっぱすげえや! しかも人工で作ったやつの方がすごいんだろ? ちょーすげえってことじゃーん!」


 バーマンが私にぴったりくっついてくる。


「……ただ、人工的に作るんじゃなくて、天然物を凌駕させるなんて。やっぱりとんでもないわね、アルは……」


 

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