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66.才能を見抜く

66.


 私たちは魔銀の鉱山へとやってきている。

 みんなには、訓練をかねて、魔銀を採掘してもらっている。


「ぜえ!」「せやぁ!」


 兵士達は剣で魔銀を切っている。

 まだ皆、【モノを斬る極意】を身につけていない。


 だが、皆剣に闘気を纏わせることで、斬撃力を高めることに成功。

 その技術を使って、魔銀を斬っていく。


 うんうん。良い感じだ。……ただ一人を除いて。


「うう……落ち込むっす……」


 ワンタ君が一人その場にしゃがみ込んでいじけてしまっていた。

 私は彼の元へ向かう。


「うまくいってないみたいですね」

「はいっす……」


 ワンタくんの妹、トイプちゃんは、闘気を纏わずとも、モノを斬る極意で魔銀を斬っている。


「おれには、できねーっす……」


 ワンタくんは別に、剣の腕がないわけじゃない。

 しかしトイプちゃんと比べると、数段、剣の技量という点において彼は劣ってしまう。


「副王様に剣を教えてもらってるのに……自分だけ落ちこぼれで……。申し訳ないっす」

「謝る必要はありませんよ。それにワンタくんは落ちこぼれじゃないです」


「でも……」


 ふむ……そうだな。

 私は前から気になっていたことを言う。


「ワンタ君。君は、剣よりもこっちのほうがあってるかもしれません」


 私は空間を斬って、しまっていた【それ】を取り出す。


「これは……手甲っすか?」


 両手にはめる、手甲を見て、ワンタ君が目を丸くしていた。


「そうです。ガンコジーさんに作ってもらいました。はめてみてください」


 ワンタくんは言われたとおり手甲を身につける。


「それで魔銀をなぐってみてください」


 ずずう……と手甲に闘気を纏おうとするワンタ君。 


「あ、武器に闘気を纏わなくて良いです。あなたは、内力系活気だけを使ってください」


 前から、気になっていたのだ。 

 ワンタくんは闘気を外に出すのが、苦手なのだろうと。


「闘気を外に出力するのではなく、内にとどめる。貯めて、貯めて、そして……一撃を放つ。そのスタイルの方が君にあってると思います」

「………………わかったっす!」


 ワンタくんは素直にうなずいた。

 彼のそういうところは、本当に評価すべき美点だと思う。


 彼は内力系活気で、体を強化。

 そして魔銀に向かってストレートを放った。

 ドゴオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 ワンタ君の放つ一撃は、魔銀の鉱床に大穴を開けた。


「す、すごいわお兄ちゃん! こんなでっかい穴を開けちゃうなんて!」

「すごいっす……おれに、こんな才能があっただなんて……」


 才能と言うより、適正が正しいとおもう。

 人には向き不向きというものがどうしても存在する。


 ワンタ君は単に外力系衝気が苦手だったってだけだ。


「お兄ちゃんの適性を一発で見抜いちゃうなんて、副王様はすごいです!」

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