50.元婚約者Side その4
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
《ハイターSide》
アレクがネログーマへ帰還してから、しばらく経ったある日のこと。
アレクの元婚約者、ハイターは命からがら、デッドエンド村へと戻ってきた。
「や、っと……かえって……これたぁ……」
サクツの街からここまで、かなりの距離があった。
今の彼女には馬車に乗る金もなかったので、徒歩で帰るほかなかったのである。
彼女は安全な道を選び、かなり遠回して、そしてやっと故郷へと戻ってきたのだ。
「もう……諦めよう。もう、アレクを頼るのは無理……だってもう、あいつは、ネログーマの副王なんだから」
逃した魚は大きかった。が、もう手の届く場所にはいないのだ。
大人しく、アレクを諦めるのがいいだろう。
「そうよ……アレクがいなくても、あたしにはあの道場がある。新築にしたばかりの、綺麗な家があるのよ」
全てを失ったハイターにとって、家は彼女の唯一の宝物。
彼女の精神的ともなっている、家。それを失ったら、もう今度こそおしまいである。
「……少し、疲れたな。家でゆっくり休もう。それから、どうするか考えよう」
フラフラ歩きながら、ついに、ハイターは帰還を果たす。
ピカピカで立派な我が家を見た時、じわり、と目に涙が浮かんだ。
それほどまでに、全てを失ったハイターにとって家は、精神を支える柱的存在。
だが。
そのときである。
ゴロゴロゴロゴロ……!
「な、なに? 空が急に曇り出したわ」
空を仰ぎ見ると、暗雲が天を覆っていた。
嫌な予感がして、ハイターは急いで家に入ろうとする。
が。
ピシャッ!
ドゴォオオオオオオオオオオオオオン!
……なんと、ハイターの家に雷が落ちたのである。
「は? え……? は? なに、これ。どういうこと……?」
雷はハイターの家に落ちる。
屋根が軽々と吹き飛び、そして……
ゴォオオオオオオオオオオオ!
落雷によって火災が発生したのだ。
「い、いや! いやぁああああ! あたしの家がぁああああああああああ!」
炎が一瞬にして家を包み込む。
ハイターは慌てて家に近づこうとするも、その炎と煙に阻まれて中に入れなかった。
「なんだ、騒がしい」
「村長ぉ!」
ハイターの元へやってきたのは、ここデッドエンド村の村長、ギルガメッシュだ。
「ねえお願い! 火を消すの手伝ってぇ! あたしの家が燃えちゃうのぉお!」
涙を流しながらハイターが懇願する。
しかし、ギルガメッシュは首を横に振るった。
「それはできぬな」
「はぁああ!? なんでよお! 村人が困ってるのよおぉ!? てつだいなさいよぉ! 助けなさいよぉ!」
泣きながらそう言っても、ギルガメッシュは首を縦に振らない。
「おまえは我が村の人間じゃない」
「は? なに、それ。どういうこと?」
「おまえは、アレクがいたからこの村にいれただけだ」
アレク。元婚約者。
「彼の婚約者だから、村においてやっていたのだ。だがおまえはアレクを追い出した。もう、おまえをこの村においておく義理はない」
「そ、そんな! ひどい! あ、あたしはアーサーの孫なのよ!?」
「そうだな。だが、アーサー氏本人じゃない」
だから、村人と認めないということらしい。
「アレクが出て行ったあと、無理やり村をおいださないでやっただけでも、感謝してほしいくらいだな。アーサー氏の孫じゃなかったら、今頃叩き出しているところだ」
ギルガメッシュからは、ハイターに対する明確な怒りと敵意を感じさせた。
彼は、否、村人たちは怒っているのだ。アレクを追い出した、愚かなる女のことを。許してないのだ。
「そんな……おねがいよぉ、雷が偶然おちてぇ。このままじゃ、家が燃えちゃうよぉお」
「それも、自業自得だ。落雷は、おまえがアレクに酷いことをしたことで、天罰が降ったのだ」
「天罰ぅ?」
「うむ。古来より、神に無礼を働けば、天罰が降ると相場が決まっているだろう? 師の技を完全に継承し、アレクは剣の神となった。それゆえ、今、おまえに天罰が降ったのである」
……何を言ってるのか、さっぱりわからなかった。
だが、これだけはわかる。
アレクに、酷いことをした。だから、そのしっぺ返しを受けているのだと。
そして……。
「それに、もう消火活動は必要ないだろ」
す、とギルガメッシュが指差す。
そこには、何もなかった。道場は、完全に燃えて、灰になったのである。
「あ、あびゃ、あば……ば……」
変な声を上げながら、ハイターは仰向けに倒れる。
今頃になって、ポタポタと雨が降り出した。
「アレクぅ……アレクぅごめんねぇ……あたしが、間違ってたよぉ……」
彼女は心から反省し、謝罪の言葉をアレクに呟く。
だが、今更謝っても、もう遅いのだった。
【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】
新作の短編投稿しました!
タイトルは、
『紳士がエロゲの悪役貴族に転生した結果〜「18禁のゲームを高校生ができるわけないだろ」な僕、ヒロインに酷いことをする役のはずなのに、無自覚主人公ムーブかますため、主役の座を奪ってモテモテになってた』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1534jg/