25.魔物の大群に襲われてる村を助ける
聖域に向かう途中、黒いスライムみたいなものと遭遇した。
北へ向かおうとしたその時だ。
「バーマン。二人を頼みます」
「先生! どうしたんですかい!?」
「説明は後で」
私は白色闘気で体を強化し、前方へと全力ダッシュ。
【おじさんどこいくのっ?】
中級精霊ちゃんが尋ねてきた。
気づけば私の肩に座っていた。
「獣人が敵に襲われてます」
【そんなことまでわかるの!?】
「ええ。闘気を感知すれば」
【しゅ、しゅごすぎる!】
街道を進んでいくと、一人の狸の獣人が襲われていた。
【狼の魔物?】
「いえ、あの黒いスライムのようです」
狸獣人を押し倒してるのは、一見すると狼に見える。
だが闘気を感知できる私は、あの黒いスライムが、狼に擬態してるのがわかった。
「極光剣。【緑の型】。鎌鼬」
私は木刀を振るう。
風の刃が飛翔し、狼の体を一刀両断する。
ぱきん! という音がすると同時に、狼がドロドロと溶ける。
「うひゃあ!」
スライムは黒い泥となって地面に落ちた。
狸獣人は目を閉じてブルブルと震えている。
「もう大丈夫ですよ」
「ふぇ……?」
おっかなびっくり、といったかんじで、狸獣人ちゃんが目を開ける。
「ま、魔物がいないのです?」
「私が倒しました」
「あう? に、人間……? も、もしかして、剣神さまです? 村の大人たちが言ってた」
「ええ、その剣神です」
ほぉ……と狸獣人ちゃんは安堵の息をつく。
「た、たすかったのですぅ〜」
そこへ、バーマンと兵士たちがやってきた。
「先生! 大丈夫ですか!」
バーマンはちゃんと二人と歩調を合わせて、こちらにやってきた。
えらいですね。
「ええ。問題ありません」
「そりゃよかった……って、誰だいそいつ?」
あわわ、と狸獣人ちゃんが慌てて頭を下げる。
「た、タヌコと申しますです!」
タヌコちゃんがぺこぺこと頭を下げる。
「け、剣神様に戦神さま! ここで会えたのは奇跡なのです! ど、どうか村を助けてくださいなのです!」
「村を? どうしたのですか?」
「く、黒いスライムが、村を襲っているのです!」
黒いスライム。さっきバーマンを襲ったあのスライムのことか。
「やべえスライムがいるってことっすよね!」
「たすけないと!」
ワンタくんトイプちゃんは助けるつもり満々らしい。
バーマンは苦い顔をする。先ほど襲われ、敵の厄介さを痛感してるからだろう。
「やめておいたほうがいい。あのスライムは触れると相手を麻痺させるし、剣がきかねえ」
「あう、そんな……無理なのです?」
ふむ?
「いや、もっと簡単に倒せますよ?」
「「「えええ!?」」」
驚く獣人たち。
ふむ?
「か、簡単にって。先生の神技じゃないと、不定形のあの黒スライムは倒せないんじゃ?」
「いえいえ。もっと簡単に倒す方法がありますよ。では、実践で説明しましょうか。タヌコちゃん、案内をよろしく」
ということで、私たちはタヌコちゃんに村まで案内してもらった。
どうしてこんな呑気してられるか?
それは簡単。まだ、村人のみなさん無事だからだ。
「見えてきたのです! あ、あれなのです!」
小さな村には、無数の黒いスライムがいた。
小さな子供くらいの大きさのスライムが、こちらに気づいて、飛びかかってくる。
「気をつけてください。あのスライムの中には、村人たちが保管されています。まだ生きてはいますが」
「!? まじっすか!? で、でも中に人がいるんじゃ、おれたちの剣じゃ倒せないっすよね?」
斬る、斬らないの選択ができない自分には、できない、とワンタくんは言いたいらしい。
「大丈夫です。衝気さえ使えればね」
「衝気?」
「闘気を手から放出する技術のことですよ」
飛びかかってきたスライムに向かって、私は右手を向ける。
「闘気を手のひらに溜める。そして、水鉄砲のように放つ」
ぼっ! と闘気の玉が勢いよく発射。
スライムは闘気の球を吸収。
「先生! 敵が闘気を食っちまったよ! 効いてないんじゃ……」
ぱぁん! と黒いスライムだけが弾け飛ぶ。
中にしまわれていた村人が落ちてきたので、私は優しく受け止め、地面寝かせる。
「スライムはどうやら、闘気を吸収しやすい体質のようです」
「なるほど! 自然エネルギーを体内に溜め込みすぎて、腹がパンクしちまうんですね! すげええ! これなら簡単にスライム倒せる! さすがです!」
私とバーマンは手分けして、闘気を飛ばしてスライムたちを破裂させる。
これなら、剣の腕が未熟な方達でも、中の人たちを傷つけることなく、スライムを退治できる。
私はスライムを倒しながら、ワンタくんたちに衝気のコツを教える。
「闘気を一度手のひらにためるのがこつです。風船のように、ためて、ためて、一気に放つ」
「「できたぁ!」」
ワンタくんたちも、衝気を使えるようになった。
「上手ですよ二人とも。筋がいい」
「あざっす! でも、剣神様の教え方がいいからっすよ!」
「うん! さすが剣神さま!」
そんなふうに私は兵士たちに闘気を教えながら、村を襲っていたスライムたちを全て退治した。
「ありがとうございます、剣神さまっ!」
タヌコちゃんが私に向かって、何度も頭を下げてきた。
「剣神さまがいなかったら、みんなあの黒いスライムに食べられ、死んでたところだったのです! 本当に、本当にありがとうなのです!」
「いえいえ。どういたしまして」
守護神として当然のことをしたまでなので。
しかし、ふむ。この黒いスライム、いったい何ものなのだろうか。
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