153.おかえり
天王剣を使って、私はネログーマ王都へと帰ってきた。
久々の、この穏やかな気候。すぅ……と息を吸い込むと、体の中に清らかな空気が入り込んでくる。
この緑の空気……もはや懐かしさすら覚える。
「なーんか久々だなぁ、おっさん」
古竜がそうつぶやく。
「そうですね。そんなに日が経ってないのですが」
「なんか数ヶ月くらい離れていた気ぃすんぜ」
同感です。
さて。そろそろですかね。
「せんっせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
どどど! とバーマンたち嫁が、こちらに駆け寄ってくる。
「あーあ、おっさんしらねーぞ」
……そうですね。
ここを出る前に、約束していた。これ以上女は増やさないと……だが。
「先生おかえりっ!」
だきっ、とバーマンが渾身の力で抱きしめてくる。
「ただいま、バーマン。良い子してましたか?」
「もっち……ろ……ん……」
バーマンの目から光が失われていく。
隣にミブロ、そして聖剣グラディオン。
そして……。
「ども。ドワーフ国カイ・パゴス女王、救世主殿の女、カタクナだぜ。よろしくな」
……別れたはずだったのに、カタクナさまは付いてきてしまわれたようだ。
「!?!???!??!?!?!??!!?」
……衝撃を受けたように、バーマンがその場に崩れ落ちる。
エルザが来て、ああやっぱり……みたいに、顔を手で覆っていた。
おやおや。
「すみません、新しい娘を、後宮に迎え入れようと思ってまして」
「ああ、うん。まあ……うん。ま、いっか!」
にかっ、とバーマンが笑う。
「先生が無事なら!」「そうね、アルが元気なら」
ふふっ、と笑い合う守護神達。
「けっ。まーたおっさんに都合の良い展開かよ。少しは修羅場っておけよ」
悪態をつく古竜。
だが、笑ってる。この場の全員が、幸せそうに笑っている。
私は、この穏やかで幸せな国が、大好きだ。 これからも、私はこの国のために剣を振るおう。
「ただいま」
「「「「おかえりっ!」」」」
【☆読者の皆様へ】
これにて第1部完結です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
アレクの物語はまだ続きますが、一旦ここで区切らせていただきます。
2部開始は少々お待ちくださいませ。
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