152.別れ
カタクナさまの許可もあり、聖剣グラディオンを手に入れた。
2本の聖剣、そしてガンコジーさんたちドワーフの職人を、私はカイ・パゴスで手に入れたことになる。
カイ・パゴス港町にて。
「かえっちまうのかよぉ~……」
寂しそうに、カタクナさまが言う。
「ずっとここにいていいんだぜ? うちと一緒に幸せな家庭を……」
「残念ですが、私にも家族がおりますゆえ」
「そ、っか……そうだよな。うん……! またいつか遊びにきてくれよなっ!」
カタクナさまが目に涙を浮かべている。
ネログーマからここまでは、かなり離れてるから。
もう二度と会えないと思っているのだろう。
天王剣を発動。
ずばん!
「へ?」
「はい、これでネログーマとカイ・パゴスの間に、門を開きました。これでいつでも遊びに来れますよ」
ぽかーん……としてるカタクナさま。
おや、どうしたのだろうか。
「おっさんよぉ~……」
はぁ、と古竜があきれたようにため息をつく。
「ムードぶち壊しだぜ」
「? どういうことですか?」
「カタクナ女王はよぉ、浸ってたんだよ」
「浸る? 水にですか?」
はぁ~~~~と古竜がため息をつく。
「おっさんは本当に、なんつーか……剣術の腕が極まってる代償に、人として、男として大事な感情が欠落してるかんじよな」
「なんだか失礼ですね」
さて。
カタクナさまの元へ行き、私は笑いかける。
「いつでも遊びにきてください」
「お、おう! すぐいく! 遊びにいくからな!」
ぶんぶんぶん! とカタクナさまが手を振る。
私はドワーフさん達と一緒に門をくぐるのだった。
「おっさんがいると別れが別れじゃあなくなるから、なんつーか、別れが盛りあがらねーな」




