150.お約束
私は台座に突き刺さってる聖剣を握りしめる。
瞬間、黒い靄が発生して、私を包み込んできた。
「崩壊の呪いが発動した! 英雄殿! 手を離すんだ!」
私の体を黒い靄が包み込んでいく。
なるほど、これに触れると肉体はチリとなって消えてしまうようだ。
「なにぃいい!? ピンピンしてるだってぇ!?」
「ま、そりゃそーだわな」
驚くカタクナさまとは対照的に、古竜がいつもの調子で言う。
「おっさんの肉体は闘気で強化されてんだ。呪いに負けるわけがない」
「触れたものすべてを崩壊させる呪いだぞ!? あり得ないだろ!」
「あり得ない、ということが、あり得ないんだよ。あのおっさんに関しては」
「そんな馬鹿な……」
つぶやくカタクナさまをよそに、ミブロが冷静に言う。
「普段おまえがツッコミ役なのに、今日は解説側なんだな」
「うるせえよ、いつもツッコみたくってツッコんでるんじゃあねえよ!」
さて、呪いの影響を受けないとわかったので、私は一気に、白色闘気を聖剣に流し込む。
かっ……!
ゴォオオオオオオオオオオオオオオ!
「なんというまばゆい光だ! 目が開けてられない!」
私はゆっくりと剣を抜く。
黒い靄は私の闘気で吹き飛ばされた。
そして……空中には、裸身の女性が浮かんでいたのだった。
「はいはい、お約束。つぎどうせお嫁さんとか言い出すんだぜ絶対」




