149.呪われた聖剣
カタクナ様は私に聖剣をくださるそうだ。
しかし、剣はこの場にはないという。
やってきたのは王城。
その地下へ降りる階段を私たちは歩いていた。
「おっさん、もう歩いてだいじょーぶなん?」
私の隣を人間姿の古竜が歩いてる。
「ええ、おかげさまで」
「あんだけ激しくバトルして、数日で回復するなんて。やっぱあんたはバケモンだわ……あいたっ」
ミブロが後ろから古竜の頭を叩く。
「あれくさんだぁさんに失礼だぞ貴様。敬意を払え。貴様が生きてられるのはあれくさんだぁさんがいるおかげだと理解しろ」
「そりゃまあ、おっさんがいなかったらおれら魔神に皆殺しにされてたところだしな」
だから敬意を払えと言われても、私としては、そんなことしなくていいと思ってしまう。
「いつも通りのあなたでいいですよ?」
「あ、そう。んじゃいつも通りにするわ」
そんなこんなあって、私たちは王城の地下へと到着する。
地下ホールの扉を開けると、そこには無数の武器が飾ってあった。
「うお、すげえ。なんだよこのお宝の数々!」
「あたしらドワーフの王たちが作った武器を飾ってあるのさ」
なるほど、歴代のドワーフ王たちの作品が、宝物として飾られてるようだ。
どの武器にもいい闘気が込められている。
相当の業物なのが1発でわかる。
「女王さんよぉ、おっさんにあげたいっていう剣はどこに飾ってあるんだよ?」
「あれだよ」
私たちは宝物殿の最奥へとやってきた。
台座が1つあり、そこには剣が刺さっている。
「んだよ、あれ?」
「八宝斎が作りし伝説の剣だぜ」
「はっぽうさい?」
「この国でいちばんのドワーフ職人さ。後にも先にも、彼を超えた職人はいない」
どうやら伝説の職人が作った、伝説の武器らしい。
「その名も、【聖剣グラディオン】。その一振りで大地を引き裂いたという伝説が残ってるんだぜ」
「とんでもない剣ですね」
なるほど、凄まじい闘気をグラディオンから感じる。
そして……ふむ。
「剣が呪いを受けてるようですね」
「! わかるか、英雄殿!?」
「ええ」
グラディオンからは邪悪な闘気が感じられる。
多分誰かに呪いをかけられたのだろう。
「そのとおり。グラディオンは呪われてる。台座に突き刺さったまま、誰にも抜けない状態で数世紀過ごしてるんだ」
なるほど……それはさぞ無念だろうに。
剣は振るってもらってこそだから。
「はいはい、この後の展開よーくわかってるよ」
けー、と古竜がつまらなそうにいう。
「どうしたのですか?」
「どーせ女体化だろ? んで、どーせ惚れちゃうんだろ?」
何を言ってるのでしょうかね、この古竜は。




