142.禁術闘気《レクス・オーラ》
私は胴着を脱いでリミッターを解除した。
ズズズズズ……。
「な、なんだその異様な闘気は!?」
魔神が声をあららげる。
一方、ミブロは私を見て困惑気味に言う。
「……アザ? あれくさんだぁさんの両腕と顔に、黒いアザが……?」
彼女は私の体の変化に気づいたようだ。
「これは……禁術闘気」
「禁術闘気……?」
「ええ、文字通り、禁断の技術です。下手したら……死んでしまうほどに」
「!? そんな危険なものを……?」
禁術闘気は普段使わないようにしてる。
自分の体が、壊れてしまうし、それにこれを使われると相手は確実に死んでしまうからだ。
「さぁ、始めましょうか、魔神」
「く、うぉおおおおお!」
魔神が闘気を全開にする。
だが、私には焦りも不安もなかった。
倒せる、という確信だけがあった。
魔神は空を蹴って私に接近し、そのままの勢いで跳び蹴りを放ってきた。
ズドンッ……!
「なっ!? ま、魔神が……地面にたたきつけられてる!?」
私は中を浮き、逆に魔神は地に無様に伏せている。
「なんだ……!? なにが……起きてる!? 全く目で追えなかった!?」
魔神はどうやら禁術闘気で強化した私の動きについて来れなかったようだ。
「手を抜きましょうか?」
「ほざ、けえええええええええええええ!」
だんっ! と魔神が飛び上がってもう一度蹴りを放ってきた。
私の目には……そんな魔神の動きが止まってみえるのだ。
私はさっ、と回避して、そして肩に向かって聖剣を振り下ろす。
ズドドォオン!
刃が魔神にぶつかった音、そして地面にたたきつけられる音が、同時に聞こえたことだろう。
「すごい……圧倒的だ……あれくさんだぁさんの……禁術闘気……すごい……」」
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