140.リミッター解除
受肉した魔神の蹴りは相当なものだった。
だが……。
「ほほぉ! 我が蹴りを受け、肉体を保っていられるとは! 驚嘆に値するぞ!」
魔神が実に楽しそうに笑う。
「闘気操作の早さ、そして練度。どれも一級品だ。その強さ、魔神に匹敵するほど」
「す、すごい……神が、あれくさんだぁさんを認めてる……」
倒れ伏すミブロが言う。
彼女も立ってるのがやっとのようだ。
古竜はノックアウトしてる。
他のドワーフたちも同様に、意識を保っていられないようだ。
「だが、我には決して勝てない」
「そんなことは、やってみないとわかりませんよ」
私は一瞬で距離を詰める。
背後に回り、聖剣ファルシオンで切りつける。
天王剣。
空間を切り裂く斬撃で、袈裟に切りつける。
「やったか!?」
「残念だな」
「なに!? 無傷だとぉ!?」
ミブロが驚愕するのも無理はない。
天王剣はもろにあたったはずだ。
魔神の体は虚空へと消えたはずだった。
だが、すぐに戻ったのである。
相手が瞬きする間に、百回の斬撃。
だがやはり攻撃が通らない。
「そんな……いったいどうなってるんだ? どうやって防御を……?」
「いいや、ミブロ。相手は防御していないです」
「防御をしていない!?」
「ええ。攻撃そのものが、通っていない感じがします」
「!?」
ほぅ……と魔神が感心したようにつぶやく。
「よく気づいたな。そう、人間では神を決して殺せない」
「なっ!?」
「【神は神でしか殺せない】。これは、この世界が創生されたときから定められし、絶対理だ」
「そんな……」
ミブロがその場に崩れ落ちてしまう。
「そんな……人間では、倒せないなんて……。ずるい、ずるすぎる……もう、おしまいだ」
にやぁ……と笑う魔神。
だが……彼は私の顔を見て、不愉快そうに表情をゆがめる。
「なんだ貴様……? なぜ、絶望に顔をゆがめない……?」
「簡単なことです」
私は、身につけている胴着を脱ぎ、上半身裸になる。
「なんだ……? 急に服なんて脱いで……」
ひょいっ、と私は胴着を放り投げる。
ズドォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!
「「なっ!?」」
胴着が地面にめり込んでクレーターを作る。
「な、なんだ!? なんだその服は!?」
「重しですよ」
「重しだと!? つまり……貴様はずっと、そんな重い胴着を身につけた状態で、神と互角に戦っていたということか!?」
「ええ、そのとおり」
私はファルシオンを構える。
魔神の表情が驚愕に染まる。
「闘気量が……跳ね上がった! どんどん……上がっていく! これは……人間の領域を超えている! まさか……! 貴様ぁ……!」
魔神が顔を怒りで真っ赤に染める。
「力を、セーブしておったなぁ……!」
「ええ、そうです。今まではレベルを落として戦っておりました」
ちゃき、と私はファルシオンを、両手でしっかりと握りしめる。
「さて……仕切り直しです。ついてきてくださいよ、魔神?」
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