136.氷鬼
私はついに、王城の最奥部へとやってきた。
『ここにドワーフ女王のカタクナと氷鬼がいるんだな?』
『見ればわかるだろうが、ポン』
『ポン?』
『ポンコツ』
『むきー! 仕舞いにゃキレるぞ!』
二人の声が脳内に響く。
「そちらは問題ないですか?」
『うん、敵の姿はないよ。あれくさんだぁさんは、敵に集中して』
外のことはミブロに任せよう。
本当に頼りになる子が仲間にできた。
『さーせんね、おれ、頼りにならなくって』
いえ、そんなことは……。
そんなことは……。
………………。
「よし。行きます」
『無言で肯定された!? 酷い! ねえそこはそんなことねーよって言ってくれない!?』
私は扉に手をかける。
そして……ぐっ、と開ける。
中は、四方の壁、天井床、すべてが氷でできた美しい部屋が広がっている。
その最奥部には、天井まで届く氷の柱があった。
柱の中には一人の美しい女性が入っている。
彼女は……?
『あれがカタクナらしいぜ。隣のドワーフのおっさんが教えてくれた』
『初めて役に立ったな、古竜。いや、古竜がっていうか指摘者がか』
『うるせえ! わかってるよ! すみませんね役立たずポンドラゴンで!』
なるほど、氷鬼の手によって、女王は氷の柱の中に入れられているのか……。
「待ちくたびれたぞ、人間」
柱の前には、1人の男が立っていた。
一見すると人間に見える。
……しかし、額からはつららが生えている。いや、あれは角か……。
鬼。
角の生えた亜人のことだ。
20代くらいの、屈強な体を持つ鬼の男が立っている。
「あなたが氷鬼ですか?」
「ああ、そうさ。そして、おまえだな。我が四天王を倒して回っていた、人間は?」
「ええ、ネログーマが副王、アレクサンダー・ネログーマと申します」
私がそう自己紹介する。
『おいおいおっさん、なに自己紹介してるんだよ。相手は敵だぜ? さっさとぶっ倒しておくれよ』
確かにそうだけども。
相手はしゃべることができるのだ。知性がある以上、まずは話し合わないと。
『話し合いで解決するかね……?』
それですめば一番ではないですか。
「これはご丁寧な挨拶、どうもありがとう。そして……」
ズンッ!
「死ね!」
『おっさん!!!!!!!!!!』
私の胸から、氷鬼の腕が生えている。
『おっさんの背後に氷鬼が移動してる!? そんで、後ろから不意打ちとか、卑怯だぞ!?』
なるほど、ありがとう、古竜。状況をすぐに理解できました。
木刀で氷鬼の腕を切り飛ばし、そして、距離を取る。
「ふう」
『いやふう、じゃねえだろぉおい!?』
古竜がまたツッコミを入れてくる。
『後ろから胸ぶち抜かれて、なんで生きてんの!?』
おや、何を言ってる?
「胸をぶち抜かれたくらいでは、人は死にませんよ」
『死ぬわ……!!!!!!!!!!!!!』
秒でツッコミが入った。
『いや死ぬわ!!!!!!!!!!!!』
『いや、闘気使いはその限りではない。白色闘気で体を瞬時に治療すれば、死ぬことはないい』
ミブロが解説を入れてくる。
『攻撃が当たった瞬間に、治癒魔法で治したみたいな?』
『そういうことだ。ただ、あれくさんだぁさんのそれは治癒魔法ではなく、白色闘気だが』
ツッコミの古竜、解説のミブロ。
いいコンビですね。
「ふ……なんだ、中々やるじゃないか、人間」
私が生きてると知っても、氷鬼は余裕の表情を崩さない。
『これは強敵の予感……あれくさんだぁさん、気をつけて!』
『いや大丈夫だろ……むしろ、心臓ぶち抜かれても死なないバケモノを相手にさせられてる、あの氷鬼が不憫だわ……』
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