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132.剣術で結界



 王都のドワーフさんたちに、現状を説明する。

 

「お願いします、【カタクナ】様をどうかお助けください!」


 ドワーフさんが頭を下げてくる。


「カタクナ……?」

「我らドワーフたちの王の名前でございます。カタクナ様は王城で捕まっておられます」


 なるほど……。


「なるほどな、カタクナ。それが次おっさんが手に入れる女の名前な……あいたっ」


 私は古竜の頭をペンとたたく。


「冗談もほどほどに。行きますよ」

「へいへい……っつーか、このドワーフたちどーすんの? おっさんが離れたら、狙われちゃうんじゃねーの?」


 古竜の言うとおりである。

 ミブロを一人残していく手もある、が。


 ミブロ一人で、王都のドワーフ全員を守るのは、少々骨が折れるかもしれない。

 それに、まだこの場にいないドワーフたちも、王都に残っている可能性も高い。


「…………」


 私は先ほどファルを振るったときに、とあるインスピレーションを抱いた。

 いけるか? いいや、いける。


「おっさん、どうしたの? 聖剣なんてもって」

「今から、皆さんを守る結界を張ります」

「結界を張ります??????? ついにおっさんが剣士にあるまじきセリフ言い出したぞ!?」


 私はファルを握りしめ、己の極光剣と組み合わせる。


「天王剣……【破邪葛籠はじゃつづら】」


 元々は水で檻を作る剣術と、天王剣(空間を立つ斬撃)とを組み合わせた、剣術だ。


 私は剣を回転させながら振る。


「美しい……まるで、剣舞だ」

「おっさんが光る剣を振り回してる……端から見るとちょっと滑稽……あいたっ」

「あれくさんだぁさんの剣舞は美しいだろうが」


 刃から放たれるまばゆい光が、我々のいる場所に、巨大なドームを形成する。


「なんだよこの光のドーム」


 古竜がドームに近づいて、突こうとする。


「危ないですよ」

「ふぇ?」


 ジュッ……!


「んぎゃぁああああああ! 指! 指が消えたぁああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


 ゴロゴロと転がる古竜。

 だから忠告したのですがね。やれやれです。

 私は彼女の手を取り、白色闘気で失った指を戻す。


「なんだよおっさん! このドーム!?」

「天王剣を応用した結界術です」

「さっぱり理解できねえ!」


 私は説明する。


「このドームには転移の力が付与されているのです」

「ドームに転移の力……?」

「ええ。攻撃が触れた瞬間、その部分を転移させるのです」


 外から氷鬼のつららが降り注いでくる。

 だが、つららがドームに触れた瞬間、消える。


「なるほど……内と外の空間を完全に断絶してるのですね。だから、内側の人間は安全と! さすがですあれくさんだぁさん!」

 

 ミブロは仕組みを理解してるようだ。


「おれはさっっっっっっっっぱり理解できねーけどな! だいだい剣士が結界術使ってる時点でおかしいから!」

「いえこれは結界ではなく……」


「はいはい剣術って言いたいんですね! さすがにこれを剣術って思ってるやついねーから! なぁドワーフ連中!?」


 後ろにいたドワーフたちはというと……。


「なんと見事な剣術!」

「結界を剣術で再現してしまうなんて!」

「こんな剣術みたことない!」

「すごい剣術だ!」


 ドワーフたちは私の言ったことを信じてくれたようだ。


「おれがおかしいの!? ねえ!? おれの感性だけがおかしいの!? どう考えても剣で結界作ってるこのおっさんのほーがおかしいだろうがぁああああああああああ!」


 これでこのドワーフたちは安全だ。

 あとは、氷鬼を倒すだけである。


 待っててください、カタクナさん。

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