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125.異世界人



 さて。

 ミブロがごめんなさいして、村人達から許された後……。


 古竜を連れて、氷鬼の元へ行こうとした私の前に、ミブロが立ち塞がる。


「どうしました、ミブロ?」

「…………」


「?」


 ミブロはうつむいたまま突っ立ってる。

 おや、どうしたのだろうか。


「……その、あの、名前……」

「はい? ああ、私の名前ですか」


 名乗ったような気もしなくもないが、聞かれて答えないのもマナー違反だろう。


「私はアレクサンダー・ネログーマです」

「……じゃ、なくて」

「? じゃなくて、とは?」


 もにょもにょ、とミブロが口ごもる。


「……だから、あんたの、向こうでの名前」

「ああ、なるほど……」


 私には前世の記憶がある。

 つまり、前世の名前もちゃんとあるのだ。


「おっさん、向こうの名前って?」


 おや、古竜には言ってなかったか。

 ふむ。教えるべきだろうか。まあ、別に隠してることでもないし、古竜は身内ですからね。


「実は私異世界転生者なんですよ」

「は……………………?」


『名前は■■■■と言います』


 向こうの言葉で、向こうの名前を告げる。

 私は向こうとこちら、どちらの言葉も使える。


 多分転生者・転移者の特典なのだろう。ミブロもこちらの言葉を使えていたからな。


『……ぼくは■■■■』


 ミブロもまた、自分の本名を語る。

 ……向こうで聞いたことない名前だ。


「でも、ミブロって呼んで欲しい」

「……そうですか」


 新撰組の名前を、忘れないための決意表明なのだろうか。

 それとも、この世界に新撰組の名前をひろめたいのか。真実はわからない。


 が、そうして欲しいと頼むのならば、従おうと思う。


「わかりました。ミブロ。あなたも、私のことはアレクサンダーと呼んで欲しいです」

「……わ、わかった。その……あ、あれくさんだぁ、さん」


 若干良いにくそうだ。

 

「その、あれくさんだぁ、さん。その……お願いが、ある」

「お願い?」


「うん……ぼくを、その……ぼくを!」


 ?

 ああ、なるほど。弟子にして欲しいって話だろうか。


 彼女は良い腕をしてる。頑張ればより高見にいけるだろう。

 だから、私に師事したいということか。


めかけにしてほしい!」

「いいですよ……………………はい?」


 め、めかけ……?


「聞き間違いでしょうか……? 今あなたは、妾にしてほしいと……」

「ああ、ぼくは……あなたの剣もそうだけど、あなた自身に……心奪われてしまったんだ!」


 顔を真っ赤にしながら、ミブロの告白を受ける。

 おや、おや。どうしましょうか……。


「ちょぉおっとまったぁあああああああああああああああああああああああ!」


 古竜が大声を上げる。


「そうですね、古竜の言うとおり、少し返事については待って……」

「そっちじゃねえよ!」


 そっちじゃない……?


「いや、あのさ! 何さらっととんでもねーこと流してるの!? え、あんた……異世界人だったの!?」

「え、はい。おや、言ってませんでしたっけ?」


「言ってねええええええええええええええええええええええええええええ!」

 

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