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124.謝罪し惚れられる



 ミブロの呪いを解いた。

 その後、私とミブロは、ドワーフの村にいった。


 ミブロが殺した、ドワーフたちに向かって、一緒に頭を下げる。


「このたびは、この子がご迷惑をかけてしまい、申し訳ございませんでした」

「ふ、副王殿! 頭をお上げくださいませ!」


 村長が慌てた様子で言う。


「いえ、カノジョは剣士として、力を持つものとして、許されざることをしてしまいました」


 だから、謝る。私もミブロもだ。


「その女が謝るのはわかるけどよぉ、おっさん。なんであんたも謝るんだよ? 別に関係なくね?」


 古竜の言うとおりではある。

 けど、だ。


「私も彼女も同じ剣の道を究めんとするもの。他人ではないです」

「はー……何言ってるのか、さぁっぱりわっかねー……。ようは、あれだろ? ハーレムメンバーにしたから、ハーレムの長として謝ってんだろ? そういうこったろ?」


 急に何を言ってるのだろうか……?

 ハーレムメンバー?


「いつミブロがハーレムメンバーになったのですか?」

「え? マジで言ってるの……? 顔見りゃわかんじゃん……」


 顔?

 隣で頭を下げるミブロを見やる。

 彼女は私と目が合うと、さっ、と目をそらされてしまった。


 おや、おや。


「嫌われてしまったようですね」

「何でそうなるんだよ!? あんた、剣のやりすぎで、人間として大切な部分ぶっ壊れてんじゃあねえの!?」


 人間として大切な部分……?

 なんだろう。普通のおっさんのつもりだが。

「と、とにかく! 頭をおあげください。副王様。それに……剣士殿も」


 私達は頭を上げる。

 そして、事情を説明した。


 ミブロは氷鬼に操られて、殺したくもないのにドワーフたちを傷つけてしまったと。


「なるほど……そういうことでしたか。それは……お辛かったでしょう」

「……許してくれるのか?」


「ええ。ええ。許しますとも」

「……なぜだ?」


 ミブロが村長に尋ねる。

 きもちはわかる。自分は操られていたからとはいえ、村人達を殺してしまったのだ。


「そーだよなぁ。おっさんが偶然通りかからなかったらよぉ、このドワーフたち死んだままだったんだしな。キレて当然だぜ」


 古竜の言うことももっともである。

 でも、だ。


「あんたは子供じゃろう?」

「!?」

「子供の過ちを許してやる。それが、年長者というものじゃ。あんたは今回の間違いを心から悔いてるんじゃろう?」

「…………ああ」


「なら、もう二度と同じ過ちはしないな?」

「……………………はい」

「じゃあ、もういいよ」


 うぐ……ぐす……とミブロが涙を流す。

 彼女の頭を、私が撫でてあげる。


「……なんで、皆、そんな……やさしいんだ……?」

「世界は貴女が思うより、少しだけ、優しいんですよ?」

「うううううう……」


 ミブロが私に抱きついて、また涙を流す。

 おやおや。


「ほらなぁ、おっさん。見て見ろよ。この女のメス顔。こりゃもう、おっさんにぞっこんだぜ? 面倒見てやんなきゃな」

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