122.トラウマ
ミブロにかかっていた呪いを解いた。
「これであなたは自由ですよ。もうあなたは、過去にとらわれなくて良い」
この子の呪いを斬った際に、どんな呪いだったのか理解できた。
過去のトラウマを悪化させ、そのトラウマを払拭させるためには、呪いをかけた本人に従う必要がある……。
という、強迫観念にかられる呪いだったのだ。
と、私は呪いについて説明する。
「うん、いやあのさ。おっさん。斬ったからって呪いの正体がわかるわけないやん?」
「おや、そうですか?」
「そうだろ!」
「しかしほら、目隠しで包丁で何かを切った際に、その手応えから、何を斬ったのかとか理解できません?」
「理解できないのはあんたの言動すべてだよ……! 今までずぅぅううううううううううううううううううっと!」
おやおや、失礼な。
「…………」
ミブロはその場にしゃがみ込んでうつむいてる。
「貴女はもう自由です」
彼女は固まったままうごかない。
「過去に縛られなくて良いのです。女だったせいで、戦いに参加させてもらえなかったのが、ずっと心残りだったのですね」
「!? な、なぜそれを……」
なぜって?
おやおや。
「そんなの、剣を交えたら、わかるでしょう?」
一流の剣の達人は、剣を交えただけですべてを理解するという。
私はミブロと戦ったことで、彼女のトラウマについて、理解できていたのだ。
「やっっっっっっぱり、さぁっっっっっっぱり! 理解できねーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
古竜だけがそう叫んでるのだった。




