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12.ボス魔物も瞬殺

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 女将とその娘と一緒に、山菜をとりに、森の奥へとやってきた。

 たくさんの山菜をとり、さて、戻ろうとしたそのときだった。


「クルミちゃん。少し、離れててくれるかい?」


 私の左腕を抱きしめている、リスの獣人少女にいう。


「どうしたんですか、あれくさま?」

「敵が来たようなんだ」

「てき! ま、まもの!?」

「断定はできませんが、こちらに敵意を持ってるのは確実です」


 クルミちゃんが体をこわばらせる。

 シマリさんの闘気から、かなり怯えているが伝わってくる。


 シマリさんは魔物に腕を食いちぎられた経験があるゆえ、だろうな。


「大丈夫です。二人とも。落ち着いてください」

「で、でも……」


 私は、笑いかける。師匠にも、こうしてもらったな。

 笑うことで、人を安心させられるのだそうだ。


「私には剣の心得があります。二人を、必ず守ってみせますので」


 二人の闘気の乱れが治っていくのがわかる。

 先ほど、私が剣を披露したことで、私の剣の腕を多少信用してくれてるようだ。


 ありがたい。

 必ず守ってみせる。


「バウバウ!」「ウォオン!」


 やってきたのは、なんだ、狼か。

 しかも故郷の村にいる、厄介な狼よりも弱い個体だ。


白狼ホワイト・ファング! ま、まずいよお客さん! 兵士を呼ばないと……!」


 白狼? そんな大層な名前がついてるのか、あの狼。

 こんな弱い闘気しか纏っていないのだ。魔物ではなく、単なる野生の狼に違いない。


「ババウ!」


 狼の一匹が私に向かって飛びかかってきた。

 私は木刀を抜いて、正眼に構える。

 すぅ、と呼吸をする。闘気を体に充満させ……。


 そして、殺気を込めて睨みつける。 

 どさ!


「「えええええ!? た、倒れたぁ!?」」


 どさ! どさどさ!

 倒れ伏す狼たちを前に、シマリさんたちが驚いてる。


「白狼は、どうしちゃったんだい!? 急にその場で泡吹いて倒れたけれども」

「闘気に殺気を乗せて、睨みつけた結果、ショック死しましたね」

「ショック死だってぇええ!?」


 ふむ。そんなに驚く事だろうか。


「? 野生の獣くらい、闘気をこめれば、睨みつけるだけで相手を殺すことくらいできますよ? ほら、目で殺すって表現があるじゃないですか」


 野球とかで。


「いやあれは比喩表現だろう!? というか、なんで睨むと死ぬんだい!?」

「殺気を闘気で強化し、体外へ指向性を持って放出することで、それを見たり感じたりした相手は心臓麻痺を引き起こすんです」


 最も、雑魚にしか使えない手だが。


 しかし私の説明を聞いても、シマリさんは理解できてないようだ。

 一方、クルミちゃんはさっきまでの怯えは消え去り、私にキラキラとした目を向けてくる。


「あれくさま、すごいです! にらんだだけで、魔物やっつけちゃいました! すごいすごーい!」


 ふむ。

 しかし、だ。


「二人とも、まだ私のそばを離れないでください。今度は、本当に魔物のようですよ」


 狼どもよりも強い闘気を纏った個体が、こちらへと近づいてくるのだ。

 この感じはおそらく、魔物だろう。


『おいおいおいおい! これはいったいどういうことだぁ?』


 茂みの奥から現れたのは、二足歩行する巨大狼だ。


「!? ま、まさか……その姿。そして、左目の傷……。【東のガロウ!?】」


 シマリさんが体を震わせながら叫ぶ。


「東のガロウ?」

『おいおいおいおれさまの名前を知らないとは、もぐりかぁ、てめえ』


 二足歩行の狼魔物……東のガロウが私を睨みつけてきた。

 ふむ。質問されてるな。別に答える義理はないが、答えないのはそれで失礼だろう。


「おっしゃるとおり、よそからきた剣士です」

『そうかい。が、だからと言って、おれさまのテリトリーに土足で入ってきた罪が消えるわけじゃあねえぞ』


 なるほど。

 ここはガロウのテリトリーだったか。


「それは失礼しました。すぐに出ていきますので、許してくれはしませんか?」


 するとガロウはニヤリと笑う。


『嫌だね。なんで人間みたいな、脆弱な連中の話を聞いてやらねえといけないんだよ』

「まあ、確かにあなたのテリトリーに無断で入った私たちが悪いです。責められてもしかたありません」

『だろ? つーことで、死ねや!』


 ガロウがこちらに襲いかかってきた。


「お客さん! 逃げな! あいつは、兵士を何人も殺してる! そんで、あたいの腕を食いちぎったのもこいつだよ!」


 ……そうか。

 つまり、あの国の人たちにとっての、敵、ということか。


 話ができる相手だから、穏便にことをすませようと思ったのだが。

 人を殺してる、そして、シマリさんを傷つけた相手となれば、容赦しなくていい。


『死ねええええええええええ!』


 ガロウが右手を振り上げ、爪で攻撃してきた。

 パキィイイイイイン!


『なにぃい! お、おれさまの自慢の鋭い爪が!? 粉々に砕け散ってしまったぁ!?』


 私は木刀でガロウの一撃を防いだ。

 ガロウの爪は木刀に触れた瞬間、ガラスのように砕け散ったのである。


『ど、どうなってる!? ただの木の棒で、おれさまの自慢の爪が壊れるわけがないのに!』

「闘気で、刃を強化してますのでね」


 極光剣。【橙の型】、鋼鉄化。

 闘気の性質を、鋼鉄のように固く変化させることで、敵の攻撃を防ぐ防御の型だ。


『あ、ありえねえ! おれさまの爪は鋼鉄をも切り裂く爪なんだぞぉ!』


 驚いてるガロウ。

 集中力が途切れた瞬間を狙い、私は一気に間合いを詰める。


「あなた今、本能的に逃げようとしましたね」

『は、はや!』


 私は【橙の型】斬鉄を発動し、ガロウに向かって木刀を振る。


「剣技、【秋雨連斬】」


 私は地面に降り注ぐ豪雨のような勢いで、敵を連続で切りつける。

 スパパパパパパパパパン!


「む? あれ……? 防御しないのですね……」


 ガロウは私の攻撃を前に、死ぬまで棒立ちだった。

 おかしい。


 どうして、こちらの攻撃を防御しなかったのだろう?

 ともあれ、ガロウは悲鳴ひとつ上げられず、死亡。遺体はそのばにサイコロステーキとなって崩れ落ちた。


「…………」


 シマリさんが目を向いて口をぱくぱくさせている。


「す、す、すっごーーーーーい!」


 クルミちゃんがほおを興奮で赤く染めながら、私の腰に抱きついてきた。


「すごいよ、あれくさまっ! 木の棒で、相手を粉々にしちゃった!」


 木の棒ではないのですがね……。


「すごいよ……お客さん。あんたほんと、なにもの……?」

「先ほどもいいましたが、ただの、おっさん剣士ですよ」

「いやさすがにそれは、ないって言い切れるよ……」


 そのときだった。


「剣聖様ぁああ!」


 若き獣人剣士くんが、こちらに慌てた様子でやってきた。


「おや、おはようございます。どうしたんですか、血相変えて」

「剣聖様が外に出ていったと、報告を受けたので、何か異常事態が起きたのかと思って、みんなで様子を見にきたのです!」


 なるほど、心配させてしまったようだ。


「大丈夫です。朝の軽い運動をしていたところです」

「か、軽い運動……? ってええ!? 白狼が死んでる!?」


 私が殺気だけで殺した白狼を見て、剣士くんが驚いてる。


「それと、その足元のサイコロステーキは?」

「東のガロウとか言ってましたね」

「はぃいい!? ひ、東の長じゃないですか!」


 東の、長?


「ネログーマ東の森を牛耳ってる、強力な魔物ですよ! 今まですごい数の兵士を食ってきてるやつです! 国もだいぶ長い間頭を悩ませていました!」


 ……なんと。

 こんなのに、手こずっていたのか。


 なるほど。兵士たちは、思った以上に……相当鍛えがえがありそうだ。


「まあ、なんにせよ、シマリさん。君たちも。これで少しは、安心して暮らせますかね?」


 するとシマリさん、兵士の諸君が、唖然とした表情になった。

 ふむ?

 どうしたことだろうか。


「いや少しってどころじゃないよ!」

「そうですか」

「そうですかって……ほんと、あんた何者なんだい!?」


 すると兵士くんがいう。


「この御仁はミーア姫が連れてきた、辺境の剣聖アレクサンダーさまです!」

「んな!? なんだってぇえええええええええ!?」


 ううん、その辺境の剣聖って本当にだれなんだろうか……。

 ミーア姫たちも私をそう呼ぶし。


 だが、アレクサンダー?

 いや、私はアレク・サンダーなのだが。


 やはり、辺境の剣聖は私のことではないだろう。


「いえ、私はただの、宮廷剣術指南役の、剣士のおっさんですよ」


 シマリさんは青い顔をして、ばっ、と頭を下げる。


「そんなすごいお人とは知らず、失礼な態度とってしまい、申し訳ない!」

「いやいや、そんな、気にしないでください。大したやつじゃないので、私」


 クルミちゃんが私に向かって笑い、頭を下げた。


「けんせーさまっ、たすけてくれて、ありがとー!」


 ……剣聖ではないのですが。

 まあ、何はともあれ、喜んでもらえてよかった。


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