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学園の精霊さまは恋を知る。  作者: 上舘 湊
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精霊さまとチョコケーキ

「よぉ要、今日も相も変わらずやる気の無さそうな顔してるな」


自分の机で本を読んでいると、どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえたので顔を上げた。


俺の目線が向く先にはこちらをじっと見つめている男子生徒が1人、俺は関わらないように目を本の方に戻した。


「ちょちょ、おいおい無視は無いだろ要〜」

「朝1番から変な絡み方してくるからだろ。実際、お前が街を歩いていて見知らぬ奴が話しかけてきたら無視しようとするだろ?」

「確かにそう言われるとそうかもな…って俺は知らない奴じゃないだろ!」


今、俺の言葉にノリツッコミを決めたこのイケメンは

如月(きさらぎ) 蒼真(そうま)


もうお察しの通りかなりモテる陽キャ男子だ。

しかしこいつにはまったくと言っていい程女子が寄り付かない。

その理由は


「お〜蒼真と要〜元気してる〜!?」


この元気いっぱいに蒼真の背中をぶっ叩いて登場した女子生徒だ。


七瀬(ななせ) 伊織(いおり)


焦香色のショートカットとひたすらに元気な様子が特徴的な少女だ。


こいつは現在蒼真と付き合っていて、今はおおよそ5ヶ月目らしい。


そしていつも教室でイチャイチャしている為、他の女子が付け入る合間も無いくらいなので一切女子が入ってこないのだ。


七瀬も例に漏れず、美少女と言っても過言では無いほど顔立ちが整っているのも理由の一つだろう。


「なんだ、うるさいバカップルが朝から揃って俺の所に」

「うるさいとはなんだうるさいとは!うるさいのは伊織だけだろ」


(バカップルは否定しないんだな)


俺は両手の人差し指を耳に入れ出し入れして、騒々しい蒼真の声を遮断した。


「あ〜あ〜うるさいうるさい、何かあるらなさっさと要件を話せ」

「無い」

「は?」

「要件なんて無い、ただただ遊びに来ただけだ」


『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン』


「あ、チャイム鳴った。それじゃあな要!」

「じゃ〜ね〜」


蒼真と七瀬は甲高いチャイムが鳴り響くと、俺に別れを告げて教室を飛び出して行った。


本当に俺に要件なしに遊びに来ただけらしい。


俺は去っていった嵐の後遺症で少し重たい体を椅子から持ち上げて、後ろのロッカーの中に入っている教科書を取り出した。


× × ×


「おかえりなさい月城さん。今日は遅かったですね」


俺が玄関のドアを開けると、奥の壁からひょこっと涼風が現れてお出迎えをした。


『かわいいな』と内心思いながらも決して口には出さない様に心掛けている。


今の関係性が心地いいのでこれを壊したくないからだ。


「お夕飯はもう出来てますよ…ってその箱は」

「ああ、こないだ涼風が食べたいって言ってた駅前のケーキ屋のケーキだ。今日の夕飯後にでも食べよう」

「ありがとうございます、それじゃあ夕食の準備をしますね」


涼風は少しテンションが上がったようで、先程と比べて若干口角が上がっているように見える。


余程ケーキが嬉しかったのだろう。


俺はケーキの入った箱を持って、香ばしい匂いのする方向へと歩いていった。


× × ×


「はい、チョコケーキで良かったよな」


夕飯後、俺は冷蔵庫から先程買ってきたケーキの箱を取り出し、少しオシャレなお皿に乗せて涼風の元へ持っていった。


「ありがとうございます。わぁ、綺麗…」


普段はクール寄りな涼風が、ここまで純粋に喜んで感情を出しているのも珍しい。


普段のお礼として買ってきたのだが、こんなに喜んで貰えると逆にご褒美を貰っているように気持ちになりそうだ。


「月城さん!このチョコレートケーキ美味しいですよ!」

「そうか、良かったな」

「月城さん、1口入りますか?」


涼風はフォークに1口分位のチョコケーキを乗せて俺の方に突き出した。


涼風自身恐らく分かっていないようだが、これを異性にすると勘違いする危険性がある為教えてあげるべきだろう。


「涼風、これはあまり異性にしない方がいいぞ」

「?なんでですか?」

「だって、これって間接キスにならないか?」


涼風は自分のフォークをじっと眺めていると、真っ白の肌は徐々に顔が赤くなっていきものすごく速度でフォークを引っ込めて、まるでハリネズミの様に丸まっている。


なんだかこの光景は凄く可愛らしいなと思いつつ、涼風が復活するのを待っている。


「…はしたない…」

「別にそんな丸々程のことでは無いだろ」

「だってお付き合いもされてない方に対してあんな事をしたら幻滅されるじゃないですか!」


この時俺の心の中では『涼風と間接キス出来たらほとんどの男共は歓喜に満ち溢れて大はしゃぎするだろうな』と確信していた。


「まあこれから先、間接キスを異性にするタイミングがあるとは思えないから大丈夫だとは思うけどな」

「どういう事ですか?」

「こないだ涼風が言ってた事だよ。『私に恋人が出来ることは無い』って奴」

「それは『親衛隊がどうこう言ってくるなら』という条件付きです」

「じゃあそれが無かったら恋人を作るのか?」

「無いですね」


この説明は一体なんだったのかという解答が帰ってきた。


実際、涼風の親衛隊が居なくなった所で涼風自信に興味が無いと意味が無いし、親衛隊以外にも色々言ってくる奴らは居る。


涼風も大変だなと思いつつ俺も買ってきたケーキを1口食べた。

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