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学園の精霊さまは恋を知る。  作者: 上舘 湊
20/24

精霊さまと遊園地

「随分並んでいますね。もう15分位は待っているような気がしますが」


「土曜日の昼間近くだから仕方ないな。こう見ると全体的に学生が多いようにも見えるしな」


俺と涼風は現在遊園地の入場ゲート前で、凄い長さの行列に並びながら入場まで待機している。


入場開始の15分経った今進んだ人数から見ると恐らく後10分くらいには入れるだろうという予想だ。


人気の遊園地であるし、休日は人が人が多いという話はあらかじめ聞いてはいたのだが、正直ここまでの大盛況になっているとは思ってもいなかった。


「そうだ月城さん、この待機時間に園内の行きたい場所を色々と決めておきませんか?先程頂いた園内パンフレットもありますし」


涼風はそう言うと、さっきキャストの人に貰ったパンフレットを開いた。


「ジェットコースターに観覧車、コーヒーカップやバイキングか…基本的な遊園地にあるアトラクション系はほぼ全部あるみたいだな」


「あと、私は絶叫系があまり得意じゃないので絶叫系ばかりは少しやめて頂けると嬉しいです」


「分かった。俺もそんなに絶叫系を好んで乗るタイプでもないから大丈夫だ」


俺のその言葉を聞いて涼風はどこかホットしたような表情を浮かべた。


それほど絶叫系のアトラクションが苦手という事だろう。


俺の周りにも絶叫系のアトラクションが好きという人は居なかったし、なんなら苦手という人達ばかりだったので必然的に俺も別に好んで乗らないというのが幸をそうしたようだ。


「大変お待たせ致しました〜こちらで入場券の確認を致しておりますのでこちらへどうぞ〜」


そこからおおよそ10分程が過ぎ、ようやく俺たちの入場の番が回ってきた。


俺と涼風は、大きな入場ゲートの下に居る受付のキャストさんに誘導されるがまま向かいチケットを提示した。


「チケット確認致しますね〜…え〜っと、はい、しっかりと本日の分のペアチケットですね。それではデートをお楽しみください!行ってらっしゃいませ〜」


「え?」


俺が渡したペアチケットを確認したキャストさんは、最後の最後でとんでもない爆弾を落としてきた。


確かに休日に男女が2人っきりで遊園地に来たとなるとデートと勘違いされるのも無理は無い。


「…なんだか調子を狂わされましたが、とりあえずどこか行きましょうか」


「あ、ああそうだな。じゃあまずはここなんてどうだ?」


「いいですね。ではまずはそこに向かいましょうか」


そう言って、俺と涼風は目的の場所を目指した。


× × ×


「…どれにしようか迷いますね…」


今の時刻は12時30分、俺と涼風は遊園地の中にあるレストランのところに来ていた。


涼風は5分ほど前からずっと店の前の看板と今のようににらめっこをしながら悩んでいる。


「涼風、さすがにそろそろ決めないと机が埋まるぞ」


「そうですね、それではこれにしようと思います」


そう言って涼風が指さした先には大きな商品の写真と共に「エビとほうれん草のクリームパスタ」という文字が書かれていた。


俺は涼風の食べたいものを聞くと、カウンターの前で注文を待っている店員に注文をしに行った。


「すいません、注文したいんですけどいいですか?」


「はい、御注文承ります」


店員はカウンターの横の方に置いてあるレジの機械の前に立ち、注文を聞いてきた。


俺はカウンターの上に乗っている注文表で注文する物を再度確認しながら注文していった。


「えっと…エビとほうれん草のクリームパスタ1つにオリジナル和風パスタを1つで」


「はい、それでは御会計1850円になります」


「えっと…私は950円ですね」


涼風が店員の言葉に反応して自分の財布からお金を出そうとしたので、俺は涼風のお金を出す手を止めた。


「ここは俺が払うよ」


「え、でもそれは申し訳ないですよ」


「今日誘ってくれた分のお返しだと思ってくれ。だからその財布はしまってくれ」


「…分かりました」


涼風は少し不機嫌でどこか申し訳なさそうな表情をしながら手に持っていた財布を閉め、肩にかけていた鞄にしまった。


俺はその様子を見て商品のお金を払った。



「…おお、これは凄いな」


俺と涼風の目の前の机には、とても1000円以内で買えるとは思えない位のボリュームのあるパスタが2つ置いてある。


俺の前に置かれている和風パスタにはキノコやネギ、鶏肉などが乗っていてかなり食欲をそそる見た目をしている。


「月城さん、このパスタ凄く美味しいですよ」


涼風も目の前のパスタを見て目を輝かせながら食べている。


普段の落ち着いた雰囲気とは違い、今の涼風からはどことなく子供っぽさを感じる。


そして俺は涼風の口元についているクリームパスタのクリームを見つけた。


「涼風、口元にクリームがついてるぞ」


俺がクリームを指で取ると、涼風は顔を赤く染めた。


「…月城さん、ありがたいのですが、考えてから行動してください。心臓に悪いです」


その言葉を聞いて俺は自分の行動を思い返してとんでもない事をしでかしたと理解した。

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