表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園の精霊さまは恋を知る。  作者: 上舘 湊
18/24

精霊さまとご相談

「…どうしましょう…」


現在、私は月城さんのソファの上でうろたえている。


この間の男の方達から守って貰った時に感じた感情より、今回の事に対して感じた感情の方が大きかったというのは明確になっているのだが。


それが一体どういう感情なのかという説明がつかない。


これが世間一般に言う『恋』という感情なのだとしても、私は今まで恋愛というものをしてこなかった為、その感情自体の判断がつかないのだ。


七瀬さんに相談するという手もあるが、相談したら「それは恋だよ。おめでとう!」とすぐさま言われる未来は見えているので最終手段として残しておく。


(こういう時に別に頼れる方は居ないのでしょうか…)


私は心の方でそう考えながら誰かに頼れないかと人を当たってみたが、そもそも私に友人が少ない事もありかなり難しいものになっている。


普段から接してくれる少ない友人達の恋愛話に参加しようとすると「涼風さんに恋愛話は早いです!!」と言われすぐさま話が終了するので、まずそこは頼れない。


(他に頼れる方は…)


「…あ」


その時、私の頭の中に一人の名前が浮かび上がった。


× × ×


「…で、なんで俺は涼風さんに呼び出されてるんですか?」


翌日、私は喫茶店に如月さんを呼び出した。


普通に相談できる人であり、下心無しに接してくれるかつ、月城さんの理解者という条件で見た時に私の中では七瀬さんと如月さんが浮かんだ。


そして七瀬さんは最終手段という事にしたので、最も最適な相談相手は如月さんという結論を元に、ここに呼び出したのだ。


「涼風さん、メッセージに入ってた相談の内容って要に着いてだよね」


「…どうして分かるのですか」


「相談をするなら俺より要に相談をするだろ?涼風さんが要に相談しなかったという事はつまりは要件は要についての案件ってことじゃないか?」


如月さんが今説明した内容が一語一句合っていた為、如月さんの情報整理と理解能力の高さが伺えた。


あれだけ人と関わるのを避けているように見えた月城さんと、如月さんがプライベートでも友人として関係性を築き上げる事が出来ている理由が分かったような気がした。


「はい…月城さんについてなんですが、この間の月城さんが女の子と歩いていたという事がありましたよね」


「あったね」


「結果としてはその女の子は月城さんの妹さんだったのですが、それよりも月城さんが女の子と楽しそうにしている様子を見て何故か胸が痛くなったのですが…これがどういう感情なのかを如月さんに相談したくて」


「…涼風さん、まじで言ってます?それ」


「はい?どういうことでしょうか?」


「…はぁ〜…まぁ今はその事はいいです」


私が如月さんの質問に返答すると、如月さんは呆れた表情でため息をついた。


私自身としてはそんなに呆れられるほどの変な回答はしていないと思っていたが、如月さんから見ると呆れる程の事だったらしい。


「要するにその感情を再び感じて、その感情の正体が分かればいいってことですね?」


「簡潔に言えばそういう事です」


私が再び如月さんの質問に返答すると、如月さんは少し考えるような動作を見せてから、机の上の如月さんの前に置いてあるコーヒーを一口飲んでから私の方向を見て言った。


「涼風さん、今度の休日要とどこかに遊びに行きましょう」


× × ×


「…遊びに行くとはどういうことですか?」


「どういうことも何もそのままの意味ですよ。一緒に遊びに行く事によって相手に抱いている気持ちや自身の感情を把握しようって魂胆ですよ」


如月さんの言っていることも一理ある。


実際にこの前月城さんと一緒にショッピングモールへ出かけた時は、普段とは少し違う気分になっていると自分でも感じていたからだ。


それと同じように、月城さんと一緒にどこかへ遊びに行くことによって心情を理解する事も可能だろう。


だが問題はそこでは無い。


「…月城さんをどうやって誘えばいいのですか…?」


そう、月城さんをどのようにして遊びに誘えばいいのかが分からないのである。


こんな事になるなら対等な友人を作って、人と関わることについてもっと体験しておけば良かったと心の中で後悔している。


「普通に「遊びに行こう」って誘ってもいいし「行きたいところがあるから着いてきて」って言ってもいいと思いますよ」


「そう言われましても…」


「そう言うと思いましてこんなものを用意したんですよ」


如月さんはそう言うと、自分の横に置いてあった黒いカバンから2枚のチケットを取り出し、机の上に置いた。


「これは…」


「それはこの辺で1番大きい遊園地のチケットですよ」


「…そんな貴重なものを頂いてもよろしいのですか?」


「実は俺と伊織は元々この日に行く予定だったんですけど、商店街の福引きを引いたら同じ日にちのペアチケットが当たってしまって困ってたんですよ」


如月さんはすこし困ったような表情をしながら、机の上のチケットを私の目の前に移動させた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ