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学園の精霊さまは恋を知る。  作者: 上舘 湊
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精霊さまとお誘い

「涼風さん!今日の放課後俺と遊びに行きませんか!!」


ある日の朝、クラス内で1人の男子生徒が涼風の元に立っている。


涼風は精霊さまとして圧倒的な人気を誇り、それゆえこの涼風を遊びに誘うという光景は、うちのクラスでは当たり前のような光景となっているのだ。


そして決まって涼風が返す一言。


「すみません。あなたの事はあまり知りませんし、何より本日は予定がありますのでお断りさせていただきます」


涼風はニコッと微笑みながら男子生徒にそう返答した。


涼風の返答を受けた男子生徒は負けじと涼風に反論した。


「それじゃあ俺の事知って貰って予定がある時ならいいってことですか?」


「…まだ続けるのですか?私はお断りしたはずですが」


「今日じゃなくてまた今度って話です!!」


涼風は男子生徒の圧に押されて少し怯えているように見える。


俺はそんな涼風の様子を見て男子生徒と涼風の間に割り込んだ。


「おい、それ以上は辞めておけ」


「なんだお前!!俺が用があるのは涼風さんなんだ!!」


男子生徒も躍起になっているのか俺の言葉に過剰に反応している。


「断られているんだからそれ以上詰めたって意味が無いだろ。それに誘い相手を怯えさせる様なら尚更だな」


「うるさい!!お前は黙ってろ!!」


男子生徒は俺に向かって拳を勢いよく突きつけてきた。


この光景は前にも同じことがあったのでその時と同じようにしようとした瞬間、俺の目の前の拳は横から入ってきた手に覆われた。


「断られたからって暴力に頼るのはダサい奴のする事だぞ」


声のする方向を見ると、そこには蒼真が立って左手で男子生徒の拳を受け止めていた。


「ほんとに、もし凛さんに当たりでもしたらどうするのよ」


後ろを見ると七瀬が涼風を庇うように覆っている。


お人好しのこいつらの事だから、いつものようにうちのクラスに来たら俺と男子生徒が口論している所が見えたので飛んできたのだろう。


「凛さんとついでに要も大丈夫?」


「ついでは酷いだろ」


「だって凛さんはか弱い女子だから危ないとしても要だったら受け止めるなり、投げるなりできるでしょ。なんならそうしようと思ってたでしょ?」


「…」


七瀬の言う通り、たった今までそうしようとしていたので特に反論の言葉も出てこない。


「で、こいつはどうするんだ?先生に突き出すか?」


「はぁ…まあいい、もうこれに懲りたら涼風に一切関わるのを辞めろ。というか俺たちが先生に言わなくとも『精霊さまが危なかった』という噂を聞いて、他の奴らが動き出すから別に無視でいいさ」


「だな。じゃあこれから反省しながらじっくりと絞ってもらえよ」


「ひぃ!」


蒼真が笑顔で男子生徒にそう言うと、怯えながらその場に座り込んだ。


× × ×


「涼風、大丈夫だったか?」


「は、はい、私は大丈夫ですが…」


涼風は少し心配そうな顔で、俺の横に立っている蒼真の左手を見ている。


おそらくさっき男子生徒の拳を受け止めた時の事を心配しているのだろう。


「ああ、こいつなら大丈夫だ。心配しなくてもいい」


「それは酷くねぇか?」


「そうだよ!いくら蒼真が耐久ゴリラだからってそれは酷いと思う!!」


「…伊織はもっと酷くね?」


「ふふ」


俺たちがコントのような内容の会話をしていると、それを聞いていた涼風は笑っている。


これで少しでも恐怖心が無くなってくれると嬉しいが、どうも内心には心配心が強く残っている。


「如月さんも七瀬さんも、そして月城さんも助けて下さりありがとうございます。もし良ければ何かお礼をさせて下さい」


「そんな堅苦しく無くても〜…う〜ん…そうだな〜、あ!じゃあ凛さん!私と友達になってよ!!」


「私が七瀬さんの友人に、ですか?」


それは初対面の人ともまるで昔からの友人のように話し、そして素直な性格な七瀬らしい提案だった。


「うん!!涼風さんめっちゃ綺麗で可愛くて友達になりたいと思ってたんだよね〜その綺麗な髪の毛を色々アレンジしたい!」


「下心見えてんぞ七瀬」


「なぁ!失礼な!そんな下心なんて無いよ、ただただ友達なら合法的にあの綺麗な髪の毛に触れるなと思っただけで!」


「それが下心なんだよこのバカが」


「いて!」


俺が七瀬の頭を少し小突くと、七瀬は涙目になりながら自分の頭を両手で覆っている。


その光景を見ていた涼風が蒼真に質問をしていた。


「…なんだか月城さんと七瀬さんはとても仲がいいように見えますが、どういう関係なのでしょうか?」


「ああ、要と伊織は幼馴染なんだ。小学校から高校までずっと同じ場所に行ってる」


「そうなのですか」


涼風は蒼真の説明を聞くと、どこか安心したような表情を浮かべていた。


そしてしゃがみこんでいた七瀬は復活すると同時に涼風の目の前に飛び出して机に乗り出した。


「で!友達になってくれるって事でいい!?」


「は、はい。ご友人なら大歓迎です」


「やったぁ!!じゃあ今度から凛ちゃんって呼ぶね!」


七瀬のハイスピード距離詰めに圧倒されながらもどこか嬉しそうな涼風だった。

元々彼女に振られて書き始めたこの作品も気づけば10部を超えていました!!

今までの作品で1番書いていて想像力を使っている作品だと思います!

色々試行錯誤しながら書いているので更新は不定期ですが気長に待って貰えるとうれしいです!!

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