夜空と朝
海を覗き込むかのようだった。
窓の外を見ると遠くから朝の色がやってくるのが見えた。
カセットの音楽を聞くために耳につけた、そのまんまだった2000年代風のヘッドホンを外せば蝉の鳴き声は未だなく、ただ何処かから来た燕か何かが朝の歌を囀っている。
その声に心臓の鼓動が共鳴するのを抑えながら手元の小さな置き時計を見やれば、その短針は4と5の間の位置を刺していた。
先程まで聞いていた和製バンドのどこか間の抜けたロックのせいか、じんわりと広がる蒸し暑さのせいか、寝れそうな感じもしないからリビングに降りて水道水を飲む。
汗ばむ体の不快感にシャワーを浴びて、ふと鏡を見れば目の下のくまの酷さに人の弱さを痛感する。
風呂場の磨り硝子越しに見える夜空の一番星の輝きを探す。
そこで今日が休みではないことを思い出す。
私は絶望した。
目を醒ました私を襲ったのは夢で感じた恐怖だった。
あぁ良かった。今日は休みだ。。
日付を見れば最後の休日はとっくに終わっていた。
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