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プロローグ

光の花びらが舞っていた。


木漏れ日のような光のなかで、

輝く花弁はとても幻想的で美しかったのを覚えている。





この街では一番大きな神殿、歴史は長くこの街ができたときからあるという。

建物は街が大きくなるにつれて増改築され、内部は広く、豪奢で壮麗な空間が広がっている。


ステンドグラスやら光取りの窓から差し込む光と、暗く濃い影が美しいコントラストを魅せていた。


その中央――儀式の間に今年7歳の誕生日を迎えている子供たちが集められている。

保護者は見守るような位置で椅子に座っていた。


「皆さまは今日この時より、神の御手から解き放たれました」


儀式を統括する司祭長が始まりにそう告げ、ゆっくりと聖句を紡いでいく。

両手を広げ、今日は子供たちを祝福するように、謳うように


「その行先に困難と苦境があらば導きの光を願い、時に柔らかき闇の静寂に癒され満ち足りる時を過ごせるように…」


空から――いや、天井からゆらゆらと光が落ちてくる。

それが徐々に花弁のような形をなし、子供たちの頭上に振ってきた。


うわああっと子供たちが歓喜して、両手を伸ばしたり、はしゃいだりしている。

花弁は渦巻くように流れて落ちてくる。

花弁と共に木漏れ日のような暖かな日差しが降り注いでいた。


「我らが小さき命に祝福と、…神のご加護があらんことを」


ふわりと花弁の光が強くなり、金色に輝く



司祭長を始め司祭たちの聖句が教会内に満ちていた。

この時、リゼルと名付けられた少年が7歳の祝福を受け―――そして彼は気づいた。



(違う、世界だ――なんて綺麗で、素晴らしい世界なんだろう)



彼には前世の記憶を持っていた。

日本という国で生きそして死んだ一人の人間だったことを自覚したのだった。



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