表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/62

第5話 ラッキーパンチ 【追放Side】

 俺達は王が待つ城へ向かう前に、魔物を倒そうと城近くにある岩山にきていた。ゴツゴツと突き出す岩場には、そこそこ強い魔物たちが済む。

 ま、俺達にかかれば雑魚同然だけどな。ましてや、子守りをする必要もなくなった完成形のパーティー。

 秒殺に決まっている。


 現れたのはオーガ。

 ギリ中級に位置する魔物だった。一匹の強さは問題ないが、数は6体か……。

 ちょっと面倒だな。


「これも今後のためだ」


 俺は気合の込めた斬撃を繰り出す。タイミングを合わせるようにアディが付与魔法を使う。


「【腕力強化《中》!!】」


 グンと振り下ろす剣の速度が増す。


 ズバァ!! 

 ボォオオ!!


 切り口が燃える。いつもよりも多めに燃えていますって感じだな。これも腕力が強化されたからか。

 付与魔法のお陰で一撃で魔物を葬ることができた。もしも、これがユライだったら、ちまちまと弓を撃つか、何もせず見てるだけだ。


「流石、俺が見込んだだけのことはあるな、アディ」

「そっちこそ、私を誘うだけのことあるじゃない。特殊な武器を持ってるのね」

「まあな。じゃあ、こいつらは俺達が倒すとするか。プリス、オストラ。お前達はそこで見ていろ!!」


 二匹目のオーガに斬りかかる。


 ズバァ!


 よし、やっぱり、相手にならないな。

 三匹目ぇ!!


 大きく振りかぶり、先に倒した2体と同じく一撃で葬ろうとしたときだった。

 オーガが口から炎のブレスを吐き出した。


「なっ!?」


 炎を正面から受けた俺はゴロゴロと地面を転がり後退する。


「おい!! アディ! 相手が魔法を使うなら早く言えよ! 相手の様子を察知するのが後衛の役目だろうが!」

「……ごめんなさい。ちょっと、調子に乗ってたわ」

「分かればいいんだ。行くぞ!!」


 今の一撃は俺達がまだ連携が取れていなかっただけ。

 ラッキーパンチだ。

 気を引き締めた俺は、残っていた三匹を軽々と仕留めた。


「オーガのブレスを喰らうなんてらしくないんじゃないの?」


 出番がなかったから、嫌味ったらしくプリスが笑う。

 こいつ……。

 自分の立場が分かってるのか? 見た目がいいからパーティーに入れてやってるだけのこと。お前レベルの法撃使いはいくらでもいるんだぞ?

 次はこいつを追放しようか?


 駄目だ。

 堪えろ。

 俺はプリスの身体を見て怒りを鎮める。こいつは口は悪いが身体は最高だ。


「まあ、初めての戦いですから、こういうこともありますよ。事前にすり合わせて正解だったということです。むしろ、初めてでオーガを6体葬ったことを褒めるべきです」


 オストラが手を叩く。

 こいつは分かってるな。


「ああ。そうだ。だが、アディ。後衛は全体を見るのも仕事の一つだ。【炎の闘士】では通用していたかも知れないが、俺達は違う。次のレベルにお前は進んだことを忘れるな」

「分かってるわ!! 次は任せてよね!!」


 キラキラと目を輝かせる。俺達のパーティーで戦えることが心底嬉しいようだ。

 そうだろう、そうだろう。

 なんたって【選抜騎士団】なんだからな。


「さてと。じゃ、擦り合わせも終わったことだし、王が待つ城に向かうか!」


 俺を先頭に歩いていく。

 まさに国の象徴に相応しい光景だろう。雲一つない空が俺達の門出を歓迎しているようだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ